概要
講談社ノベルスより発売された、森博嗣によるミステリー小説シリーズ。
同作者の過去作品『S&Mシリーズ』『Vシリーズ』の続編という形だが、過去シリーズを読まなくても内容を吟味することは可能。
シリーズ名の由来は、それぞれの作品タイトルにギリシャ文字(Greek)が入っていることから。
ギリシャ文字入りの謎めいたメッセージと共に行われる不可解な犯罪と、その過程で行動を起こす大学生の少年少女らの姿を描く。
事件のキーワードとなっているメッセージがそのまま小説タイトルになっているという特徴を持つ。
既刊一覧
φ(ファイ)は壊れたね
2004年9月刊行。
ビデオテープ『φは壊れたね』に記録された密室殺人事件を描く。
θ(シータ)は遊んでくれたよ
2005年5月刊行。
メッセージ『θは遊んでくれたよ』にまつわる連続転落事件を描く。
τ(タウ)になるまで待って
2005年9月刊行。
ラジオドラマ『τになるまで待って』の放送後に発生した密室殺人を描く。
ε(イプシロン)に誓って
2006年5月刊行。
謎の集団『εに誓って』が引き起こすバスジャック事件を描く。
λ(ラムダ)に歯がない
2006年8月刊行。
メモ『λに歯がない』が発見された集団密室殺人を描く。
η(イータ)なのに夢のよう
2007年1月刊行。
遺書『ηなのに夢のよう』と共に起こる連続首つり自殺を描く。
目薬α(アルファ)で殺菌します
2008年9月刊行。
劇薬入りの目薬『α』が示す変死事件を描く。
主な登場人物
西之園萌絵(にしのその もえ)
国立N大学ドクターコースの学生。『S&Mシリーズ』の主人公でもある。
容姿端麗かつ文武両道であり、優れた観察力・洞察力を持つ才女。
そのことから男性からの人気も高いが、本人は同大学助教授『犀川』にのみ関心がある模様。
犀川創平(さいかわ そうへい)
国立N大学建築学科の助教授。『S&Mシリーズ』では探偵役を務めた。
気分屋かつずぼらな性格で、興味の無いことには全く干渉しようとしない。
反面、関心を持ったことに対してはとことんまで思考力を発揮する『指向性が卓越している』タイプ。
加部谷恵美(かべや めぐみ)
私立C大学の学生。
大学生にしては幼さを帯びた容姿をしており、声調もアニメ声であるらしい。
萌絵に憧れており、彼女の言動をことあるごとに観察している。
山吹早月(やまぶき さつき)
私立C大学の大学院生。
温和で人当りのいい性格だが、恵美にはSっ気があるのではないかとも疑われている。
同人誌を好む姉が存在する。
海月及介(くらげ きゅうすけ)
私立C大学の学生。
寡黙で感情表現に乏しく、恵美や早月など僅かな人間だけが表情を読むことができる。
発言時は整理された言葉遣いで喋れる為、作中では事件の真相を解説する役割を担うこともある。
赤柳初朗(あかやなぎ はつろう)
私立探偵の中年男性。
容姿や職業柄、他人に怪しまれることが多いが、変装が得意という取り柄も持つ。
作中におけるギリシャ文字関連の事件に興味を持っており、独自に捜査を行っている。
真賀田四季(まがた しき)
人工知能分野の研究で名を馳せた、天才の女性。
常人を超えた記憶力を持ち、自身の思考を分割することで意図的に多重人格を形成する能力も持つ。
事件の裏に名前が見え隠れしており、関係者ではないかと疑われている。