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イルムガンド=ホープレイズの編集履歴

2024-08-06 20:02:23 バージョン

イルムガンド=ホープレイズ

いるむがんどほーぷれいず

とは『月が導く異世界道中』の登場人物。

CV:伊東健人


概要

学園都市「ロッツガルド」の中央学園に所属する学生の一人である少年。

リミア王国の大貴族家系で、王家と血縁関係にもある「ホープレイズ家」の当主アルグリオ=ホープレイズの次男。

長男でありホープレイズ家の跡取りであるオズワール=ホープレイズを兄に持つ。


勇者としてリミア王国に召喚された音無響と関わりを持っていた。


人物

端正な顔立ちと長い金髪が特徴の美少年。

上流階級出身の為か非常にプライドの高く虚栄心の強い性格をしており、些細な事ですぐに激昂する等、衝動的になり易い。また、何事においても大貴族としての対面ばかりを優先してしまう傾向があり、自尊心が傷ついてしまう事への拒絶感から腰の低い姿勢を取る事が出来ず上から目線での横柄な振る舞いばかりを見せる等、人間的な器が小さい。

この為、自身と同じくホープレイズの名前を持っている庶民出身のアベリア=ホープレイズの事は蛇蝎の如く嫌っており、相手が何もしていないにも拘らず、顔を合わせる度に高圧的な態度を向けては罵っている。


ロッツガルドの飲食店である「ゴテツ亭」で働くルリア=アーンスランドとは幼馴染の間柄。

幼少期より彼女に対しては想いを寄せていた様だが、ロッツガルドでの再会時における自らの態度が原因で、現在の彼女からは完全に避けられる事になっている。

また、そこへ現れたライドウの二人によってルリアを助ける為に取り巻き共々あしらわれた結果、彼等の事を逆恨みする様になり、やがてそれは彼等の担当する学生達の面々にまで向ける事になっている


客観的に見れば、自身の家柄の立場を笠に着て威張り散らしている傲岸不遜な人物にしか見えないのだが、祖国であるリミア王国では貴族の義務を思い出させようという意識改革の為の活動に参加しており、父のアレグリオや兄のオズワールからも愛されていたとされている。

そんな中で、勇者として王国に召喚された響と出会っており、彼女の理想に共鳴した結果、いずれその力になろうと勉学に励んでいたらしく、響本人からも「大貴族では珍しく領民の事をきちんと考える事が出来ていた」と高く評価されていた。

しかし、祖国での行動とロッツガルドでの振る舞いにはあまりにも大きな隔たりがあり、家族や響等はロッツガルドにおけるイルムガンドの振る舞いや人の好き嫌いの激しさについて知らなかった事が伺われる。


来歴

幼少期よりの決意

リミア王国の隣国であるケリュネオンがまだ滅亡していなかった幼少期、実家のホープレイズ家と懇意の関係にあったアーンスランド家の令嬢であるルリアと関わりのあったイルムガンドは、腐敗した貴族社会を憂いた事に共感し合い、いつか二人でそれを改革しようという誓いを交わしていた。

しかし、ケリュネオンは数年後に魔族の侵攻を受けてしまい、アーンスランド家もまた滅亡する事態となり、約束が果たされる事の無いまま二人は疎遠となってしまった。


年齢が十代後半に差し掛かった10年後、幼少期と変わらない形で腐敗した貴族社会の変革を望み活動していた中で、異世界より召喚された勇者である響と出会い、魔族とヒューマンの戦争を終結させて貴族至上主義の思想を改革させようとしていた彼女に強く共感。いつの日か彼女の力になって協力すべく、学園都市ロッツガルドに入学して勉学に励む事になる。


ライドウとの関わり

ロッツガルドの中央学園で学生としての生活を送る中、魔族の侵攻より生き延びてロッツガルドのゴテツ亭でウェイトレスとなっていたルリアと偶然にも再会。しかし、10年の月日の中で魔族の侵攻から逃げ延びて生きていた事を縁者の貴族達からは「恥」と見なされ、姉のエヴァと共に迫害され続けてきた事で心に大きな傷を負っていた彼女からは避けられてしまう。

それに対し、イルムガンドは逃げ延びた貴族であるルリアを侮蔑する取り巻き達と同様に彼女を罵ってしまい、当然彼女から愛想を尽かされるが、半ば逆上して彼女に迫ろうとした所で偶然居合わせたライドウと識の二人に諫められてしまい、取り巻き達と共に逃走する。


その後、心無い事を言ってしまった事を謝ろうと再びルリアの元へ訪れるも、彼女は自分を追い払ったライドウと識の二人と交友関係を持つ事になり、その事へ苛立ちを募らせる事になるが、そこへヒューマンのカレン=フォルスを名乗った魔族のロナからの接触を受け、彼女から自らの能力を向上させる為の「薬」を提供される。

勿論、最初こそは躊躇しつつ使用していたが、薬の副作用によって次第に自制心を失っていき、ゴテツ亭にいるルリアに再びしつこく言い寄るが、クズノハ商会の所属する森鬼のアクアとエリスの二人に妨害される。更には中央学園にライドウ達が講師として勤務している事実を知った結果、対抗意識が暴走。ライドウと識の二人を中央学園から排除するという過激な考え方まで見せ始め、彼等の受け持つクラスの面々にも過剰な敵意を抱く様になっていく。


ライドウの受け持つクラスとの合同実技の授業にて、予てより毛嫌いしていた自身と同じ「ホープレイズ」の姓を持つアベリアを模擬戦で痛めつけようと画策。しかし、ライドウ達の指導によって自身の想像以上に成長していた彼女を痛めつけるどころか、逆に手加減された上で敗北を喫してしまう事になり、これによって大恥をかかされたと、彼等に対する逆恨みを加速させ、形振り構わない形で「薬」の更なる服用をするようになる。


学園祭の二日目のパーティーにて、取り巻き達と共にライドウに食って掛かるも、当のライドウには自身の存在を忘れ去られていた。それによりプライドを傷つけられた事で、食べ物や飲料水への毒や下剤の混入更には暗殺者の差し向け等、次々と陰湿な妨害工作を行う様になり、自らの家の力を利用して商人ギルドにまで圧力をかけている。

そしてライドウの生徒達と競い合う事になる三日目の闘技大会においては、個人戦においてライドウのクラスの生徒同士で潰し合いをさせる試合の組み合わせになるよう仕向けるだけでなく、ライドウのクラスの生徒のみ「他の生徒との均衡を計る為」という名目で貧弱な武装しか装備させない(逆に自分は「格式ある大会に出る際の仕来り」という名目で重武装で参戦)、団体戦では生徒達の総合レベルに規制を敷かせる事でライドウのクラスの生徒達の出場人数を限定させる等、自分を有利にする為に次々と卑劣な策略を駆使し、もはやリミア王国にいた時の腐敗した貴族社会を変革させるという理想に燃えていた頃の面影は無きに等しかった。

なお、この頃にはロナから受け取った「薬」の影響でライドウ達から見ても明らかに不安定な様子を見せていた。


だが、既にライドウのクラスの生徒達と力の差が桁違いに大きくなっていた事実を見計れなかった結果、個人戦ではあっけなくジン=ロアンに敗退。団体戦においては、もはや「薬」の副作用によって半狂乱の状態となった結果、取り巻き達とまともな連携も取れずライドウへの逆恨みや響と共に理想を実現させる妄言を叫んでいる始末だった。しかし、再び対峙したジンからは、「試合で汚い真似をする奴の理想なんざ、聞く価値もねえ!」と一蹴され、最後は彼とイズモ=イクサベ、ユーノ=レンブラントの三人による連携によって完全敗北した。

そしてその直後、「薬」の副作用による限界を遂に迎えた結果、闘技場の多くの観衆やリミア国王、第二皇子のヨシュア、そして実の父親であるアルグリオの目の前で醜悪な怪物「変異体」へと変貌してしまう事になった。

同時刻、イルムガンドと同様に「薬」を服用していたロッツガルドの人々もまた同様の怪物へと変貌し、都市中を暴れまわる事態となった。


闘技場が大混乱になる中、自我も理性も失った変異体となり果てたイルムガンドは、手始めに取り巻きの生徒達を捕食する形で殺害。駆け付けた王国の精鋭部隊である「パープルコート」も返り討ちし、取り巻き達と同様に捕食している。

しかし、変異体となって強化された身体をもってしてもライドウのクラスの生徒達には太刀打ち出来ず、最後は識との二人に指揮されたジン達7人の連携攻撃の末、自身が散々馬鹿にしていたアベリアの放った魔法の付与を受けた矢を額に打ち込まれて変異体化した身体を粉々に砕かれた。


「制裁」という末路

粉々に砕かれた後、実は不定形の肉塊になりながらも正気を取り戻しており、唯一その事実に気付いて闘技場へ戻って来た澪には「記憶の残滓を持った肉塊に過ぎない(つまり、イルムガンドは既に人間として死を迎えている)」と評されている。


澪「記憶が残っているなら嬉しい誤算ですわ…。制裁になりますもの…」

イルムガンド「な…何を!?」

澪「言ったでしょう…?『制裁』ですわ…」


自らと響の理想を実現させたいという未練から、肉塊の姿となった身体を鎧で隠してでも彼女の盾として生きようとしていたイルムガンドであったが、それを認めない澪によって容赦の無い攻撃が行われる。


イルムガンド「俺はもう…お前達に危害を加える気は無いのだぞ…!?」

澪「だから?あなたは若様に迷惑をかけ暴言を吐きました。その償いが済んでおりません…」

イルムガンド「償い?い、今の俺には『償い』として差し出せる物など何も…!」

澪「命で結構ですわ」

イルムガンド「ッ!?」

澪「償いとしては足りませんけど、それで許してあげます。せめて果たせぬ願いを抱いて消え去りなさいな…」

イルムガンド「く、クズノハはそこまで俺を憎んでいるのかッ…!?」

澪「若様があなたを?ふふふっ…愚かも度が過ぎれば可愛げがある物ですわね。若様はあなたなど、たまたま蹴り飛ばした小石程度にしか思っていませんわ…」

イルムガンド「ならばっ…どうしてっ…お前はぁぁぁっ!!」


一切の弁明も許されず、澪以外の誰にも気付かれないまま、イルムガルドは最後に彼女の手で容赦なくとどめを刺される形で消滅を迎える事になった。

もはや肉片も跡形も無くなった彼に対し、澪は「私があなたを許せないからに決まっているでしょう」と冷徹に吐き捨てるのだった。


自らの死後、魔族との関わりが明らかになった事で「魔族に加担しロッツガルドで大虐殺を行う大罪人」の烙印を押されてしまう事になったイルムガンドは、実家のホープレイズ家に致命的なまでの汚点を残してしまう事になり、その話の旨を聞かされたオズワールも、当初は受け入れる事が出来なかった。

また、この一件は第二皇子のヨシュアが付け入れる隙を与えてしまう事態にもなり、負傷したオズワールも実質人質にされる形で、アレグリオは隠居の道を選ばざるを得なくなり、ホープレイズ家はヨシュアの傀儡となり掛ける事になるが、クズノハ商会の介入によって思わぬ方向へと向かう事にもなっている。


評価

劇中において行き当たりばったりな空回りを繰り返した挙句に身を滅ぼす事になったイルムガンドであったが、一応幼少期に様子や響との関わりに関する回想からも、「腐敗した貴族社会に変革をもたらしたい」という理想に関して嘘偽りは無かった模様。


しかし、内面には「自らの理想を実現させたい」という想いの他に、「崇高な理想を実現させる事で家族や響、ルリアといった周囲から認められたい」といった下心も少なからずあった節があり、またルリアの様に実家を失うといった挫折経験はおろか、兄・オズワールの様に戦場で魔族と戦うといった実戦経験も無い所謂「温室育ち」であった結果、聡明な考え方の出来る響と異なって、自らの成し遂げようとした理想の実現がいかに困難であるかに根本的に理解の乏しい部分があった。

更に、再会時のルリアとの会話で見せた振る舞いや「薬」を複数する以前より同じ姓を持つアベリアに酷い差別的な態度を向けていた事で露呈させていた器の小ささからも、自分自身もまた上流貴族故の「無自覚な傲慢さ」を内包させてしまっていた。その結果、僅かな躓きを機に、自尊心を守る為だけに安易な手段をもって力を得ようとし、傲慢な振る舞いや卑劣な手段の行使を繰り返して自分で自分を貶めていった挙句、順当な形で破滅を迎える事になってしまった。

加えて、変異体となって倒されて肉塊になり果てた際も、「響の理想を実現させたい」という想いを呟きながらも、自らが喰い殺してしまった取り巻き達やパープルコートの面々、変異体になり果てて暴走する光景を目の当たりにしてしまった父・アルグリオやリミア国王、散々迷惑をかける振る舞いをしたライドウ(真)達クズノハ商会に対する謝意は一切見せていないばかりか、傷つけてしまったルリアに関しては「もう未練はない」等と勝手に自己完結してしまう等、自己中心的な考え方を最後の最後まで見せている有様で(変異体と化した自らと戦ったジンは、仕方が無いとはいえ嫌っていたイルムガンドを倒した事に苦悩していると、対照的)、ライドウに酷い仕打ちをされて怒りを覚えていた澪からしてみれば許すにも値しない存在でしか無かったのも当然と言える。


結局の所、真っ当な理想を持ちながらも、自らの「甘さ」や「弱さ」と向き合う事はおろか自覚さえも出来無かった思慮の浅さが、イルムガンドの破滅を決定付ける事になったのだろう。


関連タグ

月が導く異世界道中 音無響 貴族

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