概要
春木競馬場は大阪府岸和田市にあった公営競馬(地方競馬)の競馬場。昭和3年から泉南畜産組合により主催され、戦後には主催を大阪府などに何度か変更し開催されていた。
全盛期には全国の地方競馬場の中でも有数の売上げがあったものの、治安の悪化等から大規模な廃止運動に発展(後述)、廃止が決定される。
その後、廃止に伴う関係者への保証金充当のためちょろっと再開されたりするも昭和49年に完全に廃止。なお、この時、必要な保証金額に対して売上が大幅に上回りそうだったため、お別れ会的な名目で5000万円くらい雑に使い、地元民が激おこみたいな記事が残されている。
治安、崩壊。
岸和田市は大阪府南部の泉州地域にある自治体であり、だんじり祭等で知られている。だんじり祭は別名けんか祭とも呼ばれる事から分かるようにとても雄壮な祭であり、これを愛し幼少期からどっぷりと浸かっている地元民たちの気質も、ちょっと…なかなかに…かなり荒っぽい事で知られる。
一方、競馬場という施設は、現在でこそ中央競馬場などでは女性やファミリー層などを取り込むため結構オシャンティな感じの造りで治安もそこらの路地よりは余程良くなってきているが、昭和の時代においては外れ馬券や新聞を撒き散らす小汚ない爺どもが群れ散らかり、しばしば焼き討ちされてたりするようなカスの動物園のような施設であり、治安や客層はお世辞にも良いと言えなかった。というか悪かった。
この2つの要素が邂逅を果たす。しかも市街地のど真ん中で。結果は明白であった。
路地にはテキ屋が溢れ(だんじり祭にも多くの露店が出店するため余計に集まりやすい)通行の邪魔になり、「大穴をあける」の願掛けから周辺住民の洗濯物にタバコで穴を開ける不届き者が現れ、市内の窃盗事件は300件を超え、有り金全部失ったおっさんが帰りの電車賃を無心するため近隣の住居を訪問し、場内外でエロ写真を売る者が現行犯逮捕され、ウマが路上で脱糞したり(厩舎との間に公道が通っていたため)、ヒトもそこらで放尿したりと、当時の新聞報道や地域史的な文献を漁るとまぁまぁカオスな状況がボロクソに書き散らかされている。
そして廃止へ…。
このように、春木競馬場を中心にまぁまぁカオスな状態が生み出されたが、その状態を許容するほど地元民たちも寛容ではなく、婦人会などを中心とし府や市を巻き込んだ春木競馬場廃止運動へと繋がる事になる。仏の顔も三度までというが、仏というより修羅に近そうな市民の気質も相まって、一度始まった廃止運動は爆発的な拡がりを見せ、結局春木競馬場は廃止される事になった。
この時代、競馬場の廃止自体は日本各地で盛んに行われたが、その多くは経営上の問題が大きかった中での廃止であり、黒字経営での廃止は珍しい事例である。
この時の存続派と廃止派の対立はかなりの禍根を残したらしく、近年でも某テレビ番組の企画で近隣住民に春木競馬場についての質問をしたところ、突如激昂され身の危険を感じた取材班が逃げ出すという放送事故寸前というか放送事故そのもののようなバチクソやばいシーンが放送されているなど、地域における黒歴史となっている事が伺える。
現在では跡地が運動公園になっており、ヒトカスが走る用のトラック(土/400m/両周り)などが造られ地元民の憩いの場となっている。また、周辺には他に春木競輪場(アスファルト/400m/右周り)があり、こちらは廃止されずに存続している。
コース概要
一周1250mの右周りダートの平坦コースで、障害競争用としていわゆる襷コースをX状に有した。二級河川春木川の上を通っており、比較的珍しい川を跨ぐコースであった(溝みたいなのであれば園田競馬場等も跨いではいるが)。
右周り○、小回り○有効。加速スキルは知らん。