概要
一般的に外性器を見ただけでは性別が特定できないような性質のこと。5万人に1人ほどの割合で実在する。
半陰陽の事をふたなりと呼ぶ事もあるが、一般的に呼ばれるふたなりが異なる性別の生殖器を複数以上持つのに対して、半陰陽の生殖器はあくまで一つ。その性質上一般的に呼ばれるふたなりは創作物にしか存在しないファンタジーの産物である。(外性器だけならクリトリスが巨大化しただけの、一見一つだけの様なタイプも存在するが、射精能力と挿入可能な膣が同時に存在するのは複数以上でないと不可能。)
また、実在する半陰陽の人物に対しては、上記のふたなりとのイメージの混同を避けるために、こちらの言葉を使う場合が多い。
実在する人物としては漫画家の新井祥などが有名。なお新井は、「30歳を過ぎるまで普通の女性だと思った」が、結婚後、体の不調を覚え、病院へ行って検査した際発覚したという。漫画「性別が、ない!」によれば、クリトリスは尿道として使えないという。
後述の通り、今現在は性分化疾患と呼ばれているが、当事者の山下ナオは「性分化疾患の状態を疾患ではなく身体的特徴の1つだと考えている為、インターセクシャル又は半陰陽と呼称している」と明かしており、性分化疾患ではなく半陰陽又はインターセクシャルと呼称する人物は多い。
性別をあいまいに表現したい人にとって有用な表現であるが、逆に性機能障害、不妊などに悩む当事者にとって、性別を忽せにするこの概念や呼称は非常にセンシティブな表現となりうる。
自称はともかく、他称として用いることはリスクを伴う。いずれにせよ医療界では現在、半陰陽という呼称は推奨されていない。
医学的な説明
過去に半陰陽と呼ばれていたものは医学的には性分化疾患のことを指していると思われる。
人間の体は女性ベースで作成されるため、男性化する因子である男性ホルモンの分泌異常、もしくは男性ホルモンを受容するレセプターに異常があると遺伝子に関係なく女性化する。逆に、男性ホルモンの分泌と受け渡しが優勢だと男性化する。
性腺(卵巣精巣)は遺伝子どおりに発達する例が多いが、例えばXX男性は精巣を持つため、性染色体はあらゆる例外を網羅する性別決定の条件とはいえない。
副腎皮質過形成
男性ホルモンは精巣だけではなく、副腎皮質でも作られる。(つまり女性にも存在する)
ここで過剰に男性ホルモンが胎児のうちから作られると、外性器に男性化傾向が見られる状態となる。
つまり、陰核が肥大して男性器のようになる。ただし卵巣を持ち、女性ホルモンの分泌量は正常であるため女性をベースとした肉体となる。
また、性染色体の疾患の場合もある。
クラインフェルター症候群
男性として産まれる(外性器・内性器共に男性型)。乳房の肥大が起こることがある。
精液は薄く透明に近い(精子が極端に少ない)ものの、人工授精で妊娠に成功した例もある。
自他ともに全く気づかない場合もあり、いわゆる半陰陽的特徴は少ない。不妊治療のため受診した結果、発見されることも多い。
アンドロゲン不応症
性染色体はXY。しかし男性化に必要なホルモンであるアンドロゲンの受容体異常によって男性化が起こらない症例。
程度によって大きく3種に分類され、完全型(ほぼアンドロゲンに反応しないタイプ)では見た目がほとんど典型女性と変わらない。というより完全型アンドロゲン不応症は過去から現在まで女性として認識されている。
乳房発育などをみるが、卵巣や子宮は無い。
アロマターゼ過剰症
思春期でないのに男性の乳房が大きくなる。一過性で終わらず、高度に発育する。親戚同士で罹っている事例が有り、遺伝する可能性が有る。
(女性でも発症する。症状は巨大乳房・不正性器出血など)
真性半陰陽
卵精巣性性分化疾患。卵巣組織と精巣組織の両方をもって生まれる最も稀なケースだが、性染色体、性腺の組み合わせは多様である。(例えば右が停留精巣、左が卵巣と精巣の合体など)
性器は男性女性の中間型を示す。 …とはいえ実際には排泄に支障をきたしたり、健康が維持できない場合があり、様態によっては第二次性徴までに何度かの手術が必要になる。
心の性は後天的に決まるとするジェンダー思想では第三の性として考えられている。
また、古来の陰陽思想では理想的な中間型としてむしろ理想形と考えられていた。