She-Ra
しーら
誘導
カナ表記が『シーラ』となる人名等は複数の分野に存在するが、そちらは当該記事を参照。
本項目では『MOTU(Masters of the Universe)』シリーズ第二の主人公であるプリンセス・オブ・パワーと、1985年のアニメーションシリーズ『She-Ra: Princess of Power』(2シーズン計93話、日本語未翻訳)について記述する。
2018年のリブート作に関しては『シーラとプリンセス戦士』の記事を参照。
剣の秘密
1985年、TVシリーズの放映開始に先駆けて劇場映画として公開されたのが、『The Secret of the Sword』である。内容としてはTVシリーズの第1話から第5話までを編集したものであり、前作『He-Man and the Masters of the Universe』の主人公であるヒーマンが、新たな主人公・シーラとなるアドーラ(Adora)と出会う主役交代のエピソードとなっている。
アドーラ
女戦士キャプテン・アドーラは、惑星エセリアを制圧している銀河の軍事組織ホード軍の超人部隊指揮官として登場した。
反乱軍(ブライトムーン王国残党)の協力者である謎の異邦人・ヒーマンを捕らえたアドーラは尋問を試みるが、彼が『守護の剣』の担い手となる運命の人物としてアドーラを探しにきたことを告げられ、その能力はホード軍ではなく正しいもののために使うべきだと諭されてしまう。
自らが正義と信じていたホード軍の実体を何も知らずにいたことを思い知らされたアドーラは、白馬のスウィフトウィンドを駆りエセリアを巡り、ホード軍が弱き民を虐げ徒に破壊を繰り返す邪悪な存在であったことを目の当たりにする。
ホード軍の支配者・ホルダック卿に反旗を翻したアドーラはシャドー・ウィーバーの妖術によって精神操作を受けるが、守護の剣を通して語りかけてきたソーサレスの導きに従い、グレイスカルの力をそなえた新たな超人・シーラに変身。ヒーマンと共にホード軍の新兵器・マグナビームを破壊し、天馬に変身したスウィフトウィンドに乗って脱出。
そしてソーサレスはヒーマンの正体であるアダム王子がアドーラの双子の兄であること、かつて惑星エターニアに侵攻したホルダックがスケルターと共謀し、赤子であったアドーラ王女は異次元に連れ去られてしまったことを明かす。
兄妹はホード軍のハーピーに捕らえられていたブライトムーン王国のアンジェラ女王を救出、エターニアに帰還し両親との再会を果たす。
しかしアドーラを追ってエターニアにやってきたホルダックは再びスケルターと手を組み、エターノス宮殿を襲撃しアドーラを拉致。
ホルダックはアドーラを連れ帰り再び洗脳するつもりだったが、スケルターはアドーラをランドール王に対する人質にするためホルダックを裏切り、ホルダックだけがエセリアに送り返されてしまう。
そしてアドーラはスケルター一味を出し抜き守護の剣を奪還、未知の女戦士シーラを前にスケルター一味は苦もなく倒されてしまう。
ヒーマンとシーラは再度エセリアに赴き、ブライトムーン王国軍に協力しホード軍の城塞を壊滅。
だがホルダックとシャドー・ウィーバーは逃走したため、アドーラは再び現れるであろうホード軍との決着をつけ、エセリアに真の平和が訪れるまで、この地にとどまることを決意するのであった。
プリンセス・オブ・パワー
『MOTU』はアクションフィギュアを中心としたシリーズであり、主に男児向けの作品として成功していたため、制作サイドとしては女戦士を新たな主人公に起用することで、女性層を取り込むことを意図していたとされる。
しかし力強さと華やかさを兼ね備えたプリンセス・オブ・パワーの描写と演出は極めて微妙な匙加減を要求するものであり、主人公の出生や裏切り要素などの深刻な設定と、前作に較べコメディ要素やメルヘン要素を多く盛り込んだ演出との不調和もあって、意図していたような市場の開拓には苦戦したようである。
また女性キャラクターを積極的に戦う位置づけで活躍させる展開がその方面の社会運動に対して果たす役割を過剰に期待され、結果的に批判の種になった側面もある。
とはいえバトルヒロインの系譜を語る上で『She-Ra: Princess of Power』の存在は極めて重要な事例であり、現在でも愛好家による支持は根強い。