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主力戦車

しゅりょくせんしゃ

「Main Battle Tank(略称:MBT)」の訳語。現代の戦車はほとんどが主力戦車に分類され、陸上戦力の要となっている。
目次 [非表示]

概要

直訳すると、「主戦闘戦車」になるが、「戦闘」と「戦車」で意味が重複するので、一般的に「主力戦車」と訳されている。

※タンクのみだと単純に「容れ物」の意味でも通じてしまう(メインタンクだと主たる燃料等のタンクともとれる)ため、バトルタンク=戦車という使い方もされる。その場合は直訳で主力・戦車となる。


かつて第二次世界大戦終了までは軽戦車中戦車重戦車歩兵戦車騎兵戦車巡航戦車快速戦車、さらに戦車に近い存在として駆逐戦車突撃砲砲戦車など、主に技術面の未熟が原因で「メインじゃないバトルタンク」が様々な区分として存在したため、この呼び方がされた。

技術の向上によりそれらの統合が可能になった戦後開発された戦車は、ほぼ主力戦車に一本化されている。


一本化された要因は様々であろうが、

  1. 戦訓の蓄積によって「機動力重視の戦車にはより厚い装甲」「装甲重視の戦車にはより高い機動力」といった具合に求められる性能が似通ってきたこと
  2. 上記の戦訓の蓄積に加えて、技術の発展によって従来様々な種類の戦車がそれぞれの特徴を生かして担っていた任務を「主力戦車」に集約させることが可能になったこと
  3. 他の分野の兵器や装備品の開発によって、それまで様々な種類の「戦車」が担っていた任務を代替させる事が可能になったこと

などが主な要因であると考えられる。


こうして、火力・機動力・防御力を両立した戦車として主力戦車が誕生した。

とはいえ、防御力を多少犠牲にしても機動力を重視するか、機動力を多少犠牲にしても防御力を重視するかについては、開発国の個性が出る。


開発された時期によって、第一世代MBT第二世代MBT第三世代MBTという区別がなされるほか、それらの発展形などが第2.5世代MBT第3.5世代MBTと分類される。

戦車の主目的である敵塹壕・敵陣地の突破や歩兵支援などのほか、敵装甲戦闘車両の撃破や敵の攻撃が想定される様々な状況下での運用を目的に設計・開発される。


また、英語の“Main Battle Tank”が語源であることからも分かる通り、主力戦車の概念はアメリカ合衆国が中枢に位置する西側諸国が発祥となっている。なので、ソ連を中枢とする東側諸国の戦車に対しては100%当てはまるわけではない。

具体的に言うと……


西側での分類\東側での分類中戦車重戦車
WWII後半T-34JS-2JS-3
T-34/85  プラウダ高校IS-2 スターリン重戦車
第1世代T-54T-55
T-54/55 and VariationsT-55AM
第2世代T-62T-64
T-62 Main Battel TankComic style T-64B
第3世代T-72T-90T-80
センシティブな作品真理的力量
技術の継承国ロシア連邦ウクライナ
前科者の将軍~宇侵攻軍最高司令官セルゲイ・スロヴィキンの眼光ウクライナ軍総司令官ヴァレリー・フェードロヴィチ・ザルジニー大将

これは、ソ連の陸戦ドクトリンと外交姿勢に依る。

第二次世界大戦中の「とにかく数で押す」戦術に、戦略が加わり、「まず大量破壊兵器で西ドイツ(当時)オーストリアNATOの即動部隊を潰しその後に大量の戦車と装甲兵員輸送車で蹂躙する」という基本ドクトリンとなる。

こうなるととにかく大量の戦車が必要なのだが、その前提に沿ってT-54を完成させたものの、この時点で西側には早くも50トン級のアメリカ……ではなくイギリスのセンチュリオンが登場しており、T-54では不安……ということで、一部強化したT-55が設計された。次いでT-62が開発されるが、T-54~T-62初期型と同程度の攻撃力を持つ今度こそアメリカのM60が制式化されたため、これに対抗すべくT-64を開発した。


また、ソ連はワルシャワ条約機構加盟国(事実上の属国)や中華人民共和国朝鮮民主主義人民共和国に戦車を供給しなければならなかったが、その結果自分に牙を剥かれてはたまらない為、T-54→T-62→T-72をこれに充てた。


そして皮肉なことに、ソ連崩壊の結果、その中核である筈のロシアには先鋒が突撃していった後の後続部隊の為のT-62・T-72ばかりが残り、かつてのソ連の外縁部だったウクライナやカザフスタンに配置されていたT-64→T-80はそのままウクライナ、カザフスタンに継承された。

カザフスタンが継承しているあたりは、冷戦時代においてもソ連が中国を信用していなかった事を如実に表している。

ソ連の東の端は海岸線であり、重いT-80が必要になるとは考えていなかったのだろう。1億総頭お花畑島国を舐めていたのはしょうがない。……が突然バケモノが制式化された時には後の祭りで、その翌年にソ連は崩壊する。


そもそも、T-64、T-80の開発を行ったのは現在のウクライナにあるO・O・モローゾウ記念ハルキウ機械製造設計局であるため、ロシアはこれらの戦車の部品を内製化できておらず、ウクライナから買っている有様だった。この為T-64は早々に退役(モスボール)、T-80も少数が残った。その後ロシアではT-72の発展形としてT-90が、ウクライナではT-80の発展形としてT-84が開発された。

…………確かにT-90は優秀な戦車だが、相手はベースのシャシーからして格上なのだから、ガチでやったらT-80の方が有利なんである。

ちなみに、T-84の最新バージョンであるT-84BM、NATO弾薬仕様のT-84-120はアメリカが欲しがっている(性能を知りたい)が、T-90の最新バージョンであるT-90MSはウクライナ軍に鹵獲されたが「今更見るべきものがない」とNATOは回収せず、そのままウクライナ軍の戦力として配備された。


この他、ソ連時代のドクトリンに必要とされた強襲渡河作戦用に、自重を抑えて水陸両用化したPT-76軽戦車を開発している。一方アメリカはアメリカで、「空挺戦車」とか言って軽戦車そのもののM551を開発しているのだが。


交通関係の法律の中の戦車

戦車とは言っても法律上は自動車(日本では大型特殊自動車の扱い)なので、平時の公道では信号や標識、警察官の指示や誘導に従い、道路交通法に基づいて走行することになる。

また、日本の場合は車両の保安基準を定めた「道路運送車両法」の対象ではないものの公道走行を前提にナンバーもついているし、ウィンカーやバックミラーも取り付けられるようになっている。

運転免許証をお持ちの方はよくお分かりかと思うが、ウインカーやストップランプの無い車両が公道を走ることの恐ろしさといったら…

余所の国も、大体このような灯火がある為日本だけが特異な訳でも無いとか。


装填手はいる?いらない?

どんな乗り物でも自動化が進み省力化されている現代であるが、現代の主力戦車に関しては主砲の自動装填装置が実用化されているにもかかわらず、装填手を不要とするかは国によって好みが分かれている。

東側諸国や日本、フランスなどは自動装填装置を採用して装填手を廃止した3人体勢(車長、砲手、運転手)だが、西側諸国では今なお自動装填装置を採用せず装填手を残す4人体勢(車長、砲手、装填手、運転手)が主流である。イスラエルに至っては砲弾の取り出しだけ自動化して装填は装填手が行うという徹底ぶりである。


これは、戦後最大級の戦車戦を経験したイスラエルでの「戦車を守るには最低でも4人必要」という戦訓に由来する。

装填手を廃止した3人体勢は、確かに車体を小型軽量化できるという点でも有利なのだが、1人でも負傷すれば他の乗員の負担が増し有効な戦闘が行えなくなってしまうためだ。

また、現場での簡単なメンテナンスや防御陣地の構築などは、ミーティングなどで不在しがちな車長以外の乗員で行う事が多いのだが、装填手を廃止した3人体勢ではこれを2人で行わなければならずやはり負担が増してしまうという問題もある。

しかしながら、少子高齢化による人口減少や官民での労働人口の取り合いにより、人員確保に苦労する国もあるため、やむを得ない面もある。

更に新世代の戦車が大口径化した場合、人力での装填が困難という問題もある。例えば日本の場合、体格などの問題から105㎜砲弾までがギリギリの範囲であり、120㎜…ましてや130㎜以上となると、負担は更に増える。


第4世代MBT

第3世代まで来たのだから、次は当然第4世代になる、のだが、1945年から1990年頃までの間に第1、第2、第3と来た後、実に40年近く「第4世代戦車」は出現していない。


これは理由がはっきりしている。第3世代戦車の重量は軒並み45トン超で、第二次世界大戦中の重戦車並の重量になっており、エンジンの飛躍的な性能向上により機動力こそ優れているが、橋梁や狭隘な地形、泥濘などでの運用に支障が出てあるのだ。かつて24トンの四式中戦車を持て余した日本ですら90式戦車で50トンである。これ以上は装甲や火砲を充実させるために重量を一気に増やすことができない。


では、別のアタッチから世代交代を判定するしかないが、現在、2車種がその候補になっている。

  • 10式戦車(日本)
    • 高度なデータリンク能力を持ち、集団戦闘を考慮した戦車。
  • T-14(ロシア)
    • 砲塔を完全無人化し、その分の重量を車体の装甲に回し、搭乗者の生存性を高めた戦車。

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