概要
機能、理論を追及した結果、一般的な感性とはかけ離れた実態を得た機械。軍用機(主にイギリス空軍機・ロシア空軍機)に対して使用されることが多い。
大別すると、
- 環状翼機、トリープフリューゲル、串形翼のような、方式からして異質なもの。
- 3Vボマー、Tu-95のような、結果的に特異な外観を持つに至ったもの。
- サーブドラケン、シーハリアーのような、運用形態が異質なもの。
にのようになる。
本人たちは、至って真剣に作り、運用しているのが特徴。
さらに、Ta183やF-4ファントムⅡなど、時代背景や技術の流行等により定義にはバラつきがある。
変態機の例
発想がぶっ飛んでいるもの
CV880:経済性が重要な旅客機の業界において速度重視のコンセプトで設計された。初期型は前縁スラットすら排する徹底ぶり。
デ・ハビラント98 モスキート:奇跡の木製単葉爆撃機。木製故にイギリス空軍は様々な副次効果の恩恵にありつけた。機体自体も優秀で、これまた様々な用途に多用されている。
フェアリーロートダイン:チップジェット(ローター先端にジェットエンジンを付けて回転させる)方式を採用し、更には前進用のエンジンまで着けた旅客用ヘリコプター。
フォッケウルフ トリープフリューゲル:チップジェット式ローターを持つVTOL戦闘機。
XFV・XFY-1:二重反転プロペラを採用した「テイルシッター」と呼ばれるVTOL機。
X-13:純粋なジェットエンジンでのVTOL実験を行ったXプレーン。見た目は割と普通だが想定した離着陸がアレ。
キ109:75mm砲(原形は高射砲)を搭載した迎撃機。
M-15 ベルフェゴル:複葉・固定脚で最高速度200km/hのジェット農業機。
VM-T アトラーント:タイトル絵の機体。後述のAn-225の登場前にブラン/エネルギアロケットの空輸を担った規格外貨物輸送機。見えないところでは色々と手の込んだ改造が施されているが、傍目にはM4爆撃機の背中に、自分より数倍太い巨大なコンテナをそのまま乗っけただけにしか見えない。イラストでもいい加減呆れるが、実機が宙を舞う姿を見れば、100人中100人が我が目を疑うこと必至。An-225登場で文字通り「荷を降ろした」現在ではコンテナはかなり小さくなったものの、未だ現役らしい。
X-6:コンベア社が開発した試作型原子力推進航空機、搭載予定のエンジンはなんと大気中に放射性物質入りの排ガスをばら撒く構造になっている。当然こんなものが採用されるはずもなく、1953年に開発中止。
NB-36H クルセイダー:X-6開発の検証のため、専用に改造したB-36の後部爆弾倉に原子炉(ただし、動力源ではない)を搭載した実験機。試験飛行時には放射線量を測定するB-50と、墜落した時に現場を封鎖する人員を乗せたC-119が随伴する。
外観がアレな奴ら
3Vボマー:イギリス製ジェット爆撃機三羽烏。外見に関しては信頼と実績の英国製。
BAe146:小型機ながら4発エンジン。そのため一部地域では「ジャンボリノ」とも呼ばれている。
Bv141:ビックリドッキリ、空前絶後、驚天動地の左右非対称の偵察機。こんなものがすっ飛んできたら全速力で逃げ出す自信があります。
Fw189:上記Bv141の競作となった、双胴式偵察機。Bv141程ではないがこれもかなりキモい見た目の部類。
F-8 クルセイダー:相当にデカいエアインテークが、バランスのとれた造詣を台無しに。ただし偶然ショックコーン化した機首との相乗効果で、元々高かった性能と信頼性を跳ね上げた。
X-29:前進翼試作機。試作機ながら中東の某国で武装を追加した上で日本人エースパイロットの乗機となったためか日本では結構知名度がある。
X-32:試作戦闘機。こいつをデザインした奴はイングランド出身だろ。
XF5U フライングパンケーキ:円盤翼機。試作機がUFOと見間違えられて通報されたことがある。
XF-85:パラサイトファイター(爆撃機に格納する護衛戦闘機)。発想と見た目が・・・
エジレイオプティカ:ヘリの代用品として開発された、非常に独特な外見の軽飛行機。こんな変な飛行機を考えつくのはイギリスしか無いだろうと思ったらやっぱりイギリス製。
スーパーグッピー:大型貨物輸送用の貨物機。まさか「中の人」がB-29から発展したC-97とは気付くまい。
エアバスA300-600ST:ベルーガという愛称の方が有名な空飛ぶシロイルカ。
ボーイングB747-400LCFドリームリフター:どう見ても座薬です本当にありがとうございました。
パーシヴァルP.74:イギリスの試作ヘリコプター。紅茶の香り満点の外見、フェアリーロートダイン同様のチップジェット式ローター、そしてパワー不足で飛ぶことすらできなかったという英国面の模範的存在。
ビーチクラフト2000 スターシップ:カナード翼と推進式(プロペラが後ろに付いている)ターボプロップエンジンを採用したビジネス機。
フェアリーガネット:世界一醜い軍用機と言われる個性的な外見。
ルータン ブーメラン:Bv141同様左右非対称のビジネス機。見た目とは裏腹に乗り心地は快適らしい。
存在自体が規格外なこいつら
An-225:泣く子も黙る世界最大の飛行機。最大離陸重量や機体サイズなど、240項目でギネス認定。現在事実上1機のみしか存在しないが、日本では「あの出来事(救援物資を運んできた)」とこいつのおかげで割と知名度がある。因みに機体設計とエンジンの恩恵で、パイロット曰く「戦闘機並みに動く」らしい。つまり動けるデブ。
B-36:B-29をも超える超大型爆撃機。アメリカ航空機製造業界の暴れん坊・コンベアの作品といえば納得が行くだろう。搭載エンジンは10基。搭乗員は多いと20名。
Me323 ギガント:超大型輸送機。独特の見た目から宮崎アニメに登場する大型機のモデルとなったこともある。あまりにも簡単に撃墜できるため、撃墜スコアに入れてもらえない。
富嶽:架空戦記でお馴染みの日本製超重爆撃機。長らく計画のみと思われていたが羽田空港の拡張時に地面に埋められていたエンジンが見つかった。
バードオブプレイ:ボーイングが自社開発したステルス実証機。
Mi-12:全長37m、ペイロード40tを誇る世界最大のヘリコプター。
「ありえん」をやっちゃった連中
A-1:キッチンシンクや便器まで搭載して敵地に投下。さらにレシプロ機ながらジェット戦闘機相手に一本取った。しかも2回も。
Tu-95:二重反転プロペラと強力なエンジンにより最高速度920km/hを達成した世界最速のプロペラ機。日本を含む周辺諸国にピンポンダッシュをよくしてくる。
零式水上観測機:時に単葉戦闘機を退けることすらあった複葉観測機。人呼んで「最強の複葉機」、「三菱の飛ぶ不条理」。
明らかにヤバいスペックを持つ存在
F-2:(支援)戦闘機。ミサイルの中で最も巨漢な対艦ミサイルを4発をぶら下げ、その状態で機動飛行ができる稀有な飛行機。原型機とは似て非なる物。
C-1:戦術輸送機。輸送機とは言っても戦闘機紛いの機動性を有する。つまり動けるデブ。…あれ、そういや前にも似たようなのが…――カワサキか…
OH-1:バレルロールに垂直上昇・降下、宙返りに後ろ宙返りをする観測ヘリコプター。って、やっぱりカワサキか…
US-2:波高3mでも着水可能、短距離離着水能力、時速100㎞でも失速しない低速安定性を持つ。
SR-71:世界最速の偵察機。あまりに早過ぎて大気との摩擦熱で機体が数センチ伸びる。
Fi156 シュトルヒ:滑走距離50mで離陸でき、20mで着陸できる脅威のSTOL性能。
アレニアG.222(ロッキードC-27):戦術輸送機でありながらバレルロールや宙返りをデモフライトで悠然とやってのける、ロシアのAn-225、日本のC-1に並ぶ動けるデブ。実はC-1が欲しかったアメリカが売ってくれなかったので特殊作戦用に採用している。イタリア製。
Su-37・MiG-29OVT:最早飛行機のものとは思えない変態機動を見せる。
(当時としては)オーバーテクノロジーなこいつら
B-29:排気タービン(ターボチャージャー)、与圧付きの機内、長い航続距離を実現した画期的な戦略爆撃機。技術的には1950年代の水準。
Me262:世界初の実用ジェット戦闘機。
MiG-25:通常でもM2.83、短時間ならM3を出せる高速戦闘機。
イリヤー・ムーロメツ:世界初の4発大型旅客機/爆撃機。
震電:富嶽と共に架空戦記でお馴染みのカナード翼の日本軍戦闘機。実現すれば最高速度750km/hの化け物機体になる予定だった。
二式大型飛行艇(二式大艇):ターボプロップ機が出るまでは世界最速の飛行艇。防御力・攻撃力共に充実しており、索敵その他で鉢合わせした大型機を襲ってくることもあり「空中戦艦」と呼ばれて恐れられた(大型機だけでなく、相手が機動性で不利な双発戦闘機とはいえ曲がりなりにも戦闘機であるP-38を退けた記録もある)。尤も実際に減らされた海軍の艦艇を補う目的で開発されたという側面もあるが。