概要
原題は『Kung Fu Panda』。
本来は「カンフー・パンダ」だが、「カンフーパンダ」と探したほうがわかりやすい。
カンフーを題材に、擬人化された動物達が活躍するアクションアニメ映画。音楽をハンス・ジマーとジョン・パウエルが担当している他、声優が豪華な事でも知られる。随所に香港のカンフー映画などに対するオマージュが散りばめられている。
当初は、今までのカンフー映画をもとにしたパロディ映画として製作が予定されていたものの、その企画案に対し監督を含む多くの製作スタッフが難色を示し路線変更、最終的に安易なパロディに頼らない、オリジナルの武侠アニメ映画を製作することで落ち着いたという経緯がある。
キャッチフレーズは「ここらで白黒つけようぜ!」「自分を信じろ。」
原作の存在しないオリジナルの映画だったものの、公開するや否や全米でNo.1ヒットとなり、アメリカ国内のみならず日本やオーストラリア、香港などでもNo.1スタートを飾るなど、結果として大ヒットを成し遂げた。
第2作目では遂にアカデミー長編アニメ映画賞を受賞。今や、ドリームワークスの看板シリーズの一つとなっている。ちなみに、2作目からギレルモ・デル・トロも制作に携わっている。
第1作のヒットを受け、続編『カンフーパンダ2』は2011年に、中国とのタイアップで制作された『カンフーパンダ3』は2016年にそれぞれ公開された。ハリウッドと中国のスタジオのタイアップは珍しい。「3」は日本未公開だが、これは「ヒックとドラゴン2」や「ガーディアンズ伝説の勇者たち」なども同様で、同社の経営状況が芳しくなかったのも拍車をかけており、ドリームワークスが収益が見込めない日本を市場対象から見限ったと言えなくもないのが原因。
※日本におけるドリームワークスの知名度はディズニーと比べて低く、日本映画界での宣伝と配給の制度にドリームワークスが納得していないことが背景にあるとも言われている。
また、映画と世界線は異なるが繋がりのあるテレビシリーズやビデオ作品も製作・放映されている。映画は第6作まで制作が予定されている。
あらすじ
舞台は古代の中国。
安住の地で知られる「平和の谷」が凶悪なカンフー使いのユキヒョウであるタイ・ランに狙われてしまう。タイ・ランはかつて、伝説の「龍の戦士」候補と目されながら任命されなかったことに怒って「平和の谷」を壊滅させ、囚われの身となっていたが20年の時を経て脱獄。復讐のために再び谷に現れたのだ。
そんな彼に太刀打ち出来るのは谷のリーダー、ガラパゴスゾウガメのウーグウェイ導師が選んだ「龍の戦士」だけ。
ウーグウェイ導師が開催するカンフーを極めた動物たちがカンフー大会で腕を競っていた。
一方、主人公であるジャイアントパンダのポーはカンフーへの熱意と食い意地だけは人一倍あるが、怠け者で小心者であり、カンフーマスターに憧れるだけでカンフーの経験はゼロ。
ところが、ポーは会場に忍び込もうとした挙句に、ひょんなことから竜の戦士に選ばれてしまう。シーフー老師は偶然と言うが、「この世に偶然はない」と言い返され、渋々ポーにも教える事にする。
ポーはカンフーの達人であり、中国一のカンフーの教え人であるレッサーパンダのシーフー老師に弟子入りすることに。
兄弟子であるタイガー、モンキー、ツル、ヘビ、カマキリの5人のマスターファイブ (原語ではフュリアス・ファイブ)と共に特訓することになった。
キャスト
役名 | 原語版声優 | 日本語版声優 |
---|---|---|
ポー | ジャック・ブラック | 山口達也 |
シーフー老師 | ダスティン・ホフマン | 笹野高史 |
タイ・ラン | イアン・マクシェーン | 中尾彬 |
マスター・タイガー(原語ではタイガレス) | アンジェリーナ・ジョリー | 木村佳乃 |
マスター・モンキー | ジャッキー・チェン | 石丸博也 |
マスター・ヘビ(原語ではバイパー) | ルーシー・リュー | MEGUMI |
マスター・カマキリ(原語ではマンティス) | セス・ローゲン | 桐本琢也 |
マスター・ツル(原語ではクレイン) | デヴィッド・クロス | 真殿光昭 |
ゼン | ダン・フォグラー | 高木渉 |
ヴァチール所長 | マイケル・クラーク・ダンカン | 郷里大輔 |
ミスター・ピン | ジェームズ・ホン | 龍田直樹 |
ウーグウェイ導師 | ランダル・ダク・キム | 富田耕生 |
タイガレスに関しては、カタカナで「ティグレス」と表記されることもある。
用語
・平和の谷:ポー達が暮らす町。住民はウサギとガチョウとブタとヤギが占める。マスター・ファイブという5人のカンフー戦士によって守られている。
・マスター・ファイブ:英語ではフュリアス・ファイブ。5人のカンフー戦士で成り立つカンフーマスター。アニメ版ではシーフー老師も嘗てはその一人。本人の項目も参照。
・チョーゴン刑務所:サイが所員を務める刑務所。脱獄不可能と言われていたが、唯一の囚人であるタイ・ランが脱獄を果たす。アニメ版ではフンドゥーンというサイがその所員の一人だったが、タイ・ランがポーに倒され、囚人がいなくなったということを理由に閉鎖された。が、ポーを襲おうとしたタイ・ランが逮捕され、復活した。それと同時にフンドゥーンは最初の囚人になった。
・アクションフィギュア:ポーが愛用しているマスターのコレクション。ファイブ全員のフィギュアがあるが、カマキリだけはポーに原寸大と言われていた。
スタッフ
監督:マーク・オズボーン/ジョン・スティーヴンソン
脚本:ジョナサン・エイベル/グレン・バーガー
原案:イーサン・リーフ/サイラス・ヴォリス
製作:メリッサ・コブ
製作総指揮:ビル・ダマスキ
音楽:ハンス・ジマー/ジョン・パウエル
製作会社:ドリームワークス・アニメーション
製作国:アメリカ合衆国
言語:英語
配給と公開日
アメリカ | ドリームワークス | 2008年6月6日 |
日本 | アスミック・エース/角川エンタテインメント | 2008年7月26日 |
付録動画(公開当時)
主題歌
原語版:「Kung Fu Fighting」
余談
- マスターファイブの元ネタは蟷螂拳などカンフーの五大流派。
- ありがちな人間寄りのスタイルをした獣人とは異なり、キャラクターによって大きさに差があったり、頭や腕などが大きかったり短足だったりするが、これはモデルとなった動物の実際のプロポーションを参考にしているためである。これは、後のディズニー作品『ズートピア』にも見られる。
- WOWのパンダレンは共通点が多く、よくネタにされるが先行はカンフーパンダ(厳密に言えば、パンダレンの設定などは以前からあったが、同族を代表する Chen Stormstout はカンフーパンダよりも後に生み出された)。
- ジャッキー・チェン自ら演技指導をしており、箸のシーンなどジャッキー自身が行った特訓法も再現されている。
- 監督のマーク・オズボーン氏は本作を製作する際、カンフーの要素だけでなく宮崎駿作品などの日本のアニメのアクションも参考にしたと語っている。
- 中国政府の顧問委員会で、「なぜ我が国ではこのように優れたアニメが作れないのか?」というテーマで議論が行なわれたことがある。
- マスター・モンキーの日本語版声優である石丸博也氏は、原語版声優であるジャッキー・チェンの専属吹き替えも担当している。
- 「亀が最強なのは玄武など古くからの中国の神話に由来」、「翡翠が目立つのは縁起が良い」など中国文化に深く根付いた描写が散見される。ただし、ポーの翡翠色の瞳は悪魔の特徴でもあるとされ、中国国内では一部から批判が上がったことがある。
- ゾウ、ワニ、ゴリラ、サイ、コモドドラゴンなど、一見すると現在の中国とは馴染みがないように思える動物も登場するが、ゾウとワニは現在も少数が棲息している。ナウマンゾウやマンモス、サイの系譜やゴリラに似ているギガントピテクスも人間によって滅ぼされる以前は中国大陸に棲息していたとされている。コモドドラゴンの先祖や大トカゲの類も中国にいた。
- 第2作では、遂にディズニーの「塔の上のラプンツェル」を抜き、アカデミー長編アニメ映画賞を獲得した。
- 劇中内におけるポーとシーフー老師が箸で肉まんをつかみ合うシーンは、ジャッキー・チェンが修行時に実際に行ったこと(彼の監督主演作『クレージーモンキー 笑拳』の中でも再現)であり、それをそのまま再現している。又、ジャッキーはオリジナル版(英語)に加えて中国向けの広東語・北京語版でも吹替えを担当しており唯一声優として3バージョンに参加したことになる。また、日本語吹き替えの際にもジャッキーの専属吹き替えである石丸博也が起用された。
関連イラスト
クロスオーバー
公式
ドリームワークス社のインテル等のCM等でも様々なキャラクターと共演しており、『カンフーパンダ3』の際には、『シュレック』シリーズの面々と共演した(該当項目を参照)。
ピクシブ上にて
ズートピアとはクロスオーバーされやすい。共に、動物のプロポーションに拘った描写が目立つ。専用タグはこちら。
関連動画
予告編