概要
13の魔族の頂点に立つと自負する種族。
いわゆる吸血鬼伝説の元となったとされる種族で、圧倒的力を持って他の魔族を淘汰してきた。
殆どの魔族もそうであるように、ライフエナジーと呼ばれる生体エネルギーを糧としており、そのために人間を襲撃する。対象となるのは普通の人間達だが、個体によってはグロンギのように何かしら共通点を持つ人間を法則的に次々と襲っている者もいる。
普段は人間に擬態し、一般社会に紛れて生活している。その為か指摘されるまで自分を人間と思い込んでいた個体もいれば、記憶喪失になっていた個体もいる。
人間社会での名前や一族の勲章の他に、各自が固有の詩的な「真名」を持つが、動物に似た姿をしていることから通常は「(動物名)ファンガイア」と呼称されている。普段は役職名・人間に擬態しているときの仮名等でも呼ばれているため、同族内で気安く呼べるようなものではない模様。
アンノウンやオルフェノクなどと同様、同じ動物に変身するファンガイアは複数個体存在するらしい。
(予算の都合からか)本編では基本的に、過去編で取り逃がしてしまった個体を現在編でキバやイクサが倒すというスタイルのファンガイアが物語の前半に多い。何故22年間もそのまま放置していたのかとツッコむ人もいるだろうが、過去編はファンガイアと対抗出来る手段がまだ未完成なプロトイクサしかない上に、それが開発されるまでほとんど対抗手段がなく、さらに第46話でキングにより一度破壊されてしまっているので、完全に改良するまでは据え置くしかなかったため仕方がない。ただし、イクサはその後10回のアップデートを重ねていたり、その間に本格的に渡がキバとして活動したと考えれば、22年間の間に倒された本編に登場しないファンガイアもそれなりに多いと思われる。
ファンガイア族の中にもそれぞれ分類が存在し、昆虫に似る「インセクトクラス」、獣(哺乳類)に似る「ビーストクラス」、水棲生物に似る「アクアクラス」、爬虫類に似る「リザードクラス」の4つの形態クラスが存在する。
ただし、これらのクラスは親から遺伝する物ではなく、オルフェノクのようにほぼランダムと言っていい。
復活したキングの死後は再びキングとなった登太牙による人間との融和政策が進んでおり、人間のライフエナジー吸引に変わるエネルギー源の研究が行われている。
しかし、人間との共存が進むと言う事は間違いなく犯罪に加担する者も増えると言う事でもあるが、仮面ライダー達がいる限り安心だろう。
仮面ライダーディケイドにおけるキバの世界はその辺りの設定を踏まえた世界観となっている。
特徴
外観の大きな特徴はステンドグラスに似た体組織。
会話の時にはこのステンドグラス部分に人間態の顔が映り込む。戦闘時にはここから専用の武器を召喚することもできる。
死亡した場合は肉体がガラス体となって砕け散ってしまう。
死んだファンガイアの魂は、ライフエナジーを与え続けることでサバトと呼ばれる巨大な怪獣の姿で転生する。ただしキャッスルドランに喰われたらもう生き返ることはできない。
人間の姿をしているときでも、怪人態になる時や、ライフエナジー捕食の際には下顎に派手なステンドグラス状の模様が浮かぶ。
空中に2本の巨大な牙のような半透明の物体「吸命牙」を召喚し、それを人間の首に突き刺すことによってライフエナジーを吸収する。襲われた人間の体からは命の色が失われ、ガラスのような無色透明のモノと化し、最終的に砕け散る。(小野寺ユウスケの場合は刺されても生きていた)
これはファンガイア特有の本能らしく、個体によっては表向きは真面目であっても、衝動が抑えられず人間社会に隠れて人を襲うパターンが多い。
食事による代替もある程度効くが、彼らにとってはあまり重要視されていない(登太牙も「食べることはあまり好きではない」と発言している)。食したとしても、ワイン、コーヒー、チョコレートパフェ等の嗜好品を好む傾向にある模様。中には20年間一度も人を食わずに暮らしてきたファンガイアもいるため、人を襲わなければ死ぬというわけではない。
また、純血のファンガイアでも、何らかの原因で能力を失うと、人間態のまま生活を送る事となり、奪われた能力を他の個体の強化に充てたり、人間に融合させるといった描写も見られた。
階級
ファンガイアの王であるキングを頂点に、その妻であるクイーンと、彼らを補佐するルークとビショップが存在。
この四名は通称チェックメイトフォーと呼ばれる。
これに次ぐファンガイア内第二位の階級を持つのはナイトとポーンの称号を持つ双子の職人だが作中未登場。
掟
人間を愛する事を深く禁じており、その掟を破った者は粛清される。しかし、人間を愛してしまうファンガイアが後を絶たない。クイーンの言動から、1986年からそういったファンガイアが増えつつあるという傾向がある。
クイーンの場合、キングからは子孫を残す道具としか見られていない為、このような傾向になってしまうのも無理もないだろう。
ただし、ファンガイアは基本、人間を食用としか見ていないので、人間に好意を持つファンガイアであっても無害という訳ではない。
サバト
ファンガイアの砕けた遺体の破片に大量のライフエナジーを与えることで復活する怪物。早い話がファンガイア版フランケンシュタインである。
その姿はウチワエビを立てたような巨大な姿をしており、身の丈は60mにも達する。しかし、ほぼライフエナジーの塊のため、質量は全くない。その体は触れれば建物や道路を傷つけ、長い手足を振り回して暴れ続ける。
基本的には作成したファンガイアの思ったままに暴れまわるリモコンロボだが、術者が死んでも消えることはなく勝手に暴れ回るので手に負えない。
一覧
インセクトクラス
種別 | 動物の形質 | 真名 | 人間態 | 鳥モチーフ |
---|---|---|---|---|
スパイダーファンガイア | 蜘蛛 | 光ある楽園の奇想曲 | 糸矢僚 | オウム |
モスファンガイア | ミノガ | 背徳という名の井戸 | 夏川綾 | ハチドリ |
イヤーウイッグファンガイア | ハサミムシ | 封印された化石、もしくは紡績器械 | 未登場 | 朱鷺 |
レディバグファンガイア | テントウムシ | どのカジノも虚栄に輝いている | 未登場 | コンドル |
シケーダファンガイア | アブラゼミ | 異母兄の衒奇を憂う化粧台 | 未登場(真夜の部下) | キツツキ |
ホースフライファンガイア | 虻 | 腐敗した魚と詩集の詰まった揺籃 | 楓 | ペンギン |
マンティスファンガイア | カマキリ | 亡者の誤算=4時36分の嘘 | 未登場 | 梟 |
シルクモスファンガイア | 蚕 | 毒薬の瓶から誠意が溢れた | 未登場(迷いの森の番人) | ハチドリ |
アントライオンファンガイア | アリジゴク | 不明 | 外国人風の男 | 朱鷺 |
スワローテイルファンガイア | 揚羽蝶 | 禁欲家と左足だけの靴下 | ビショップ | 白鳥 |
ビートルファンガイア | カブトムシ | 贖罪の園を分断する、日付変更線 | キング(ワタルの父親) | ペンギン |
ビーストクラス
種別 | 動物の形質 | 真名 | 人間態 | 鳥モチーフ |
---|---|---|---|---|
ホースファンガイア | 馬 | 双子のペテン師が夢見る、誠実と憂鬱 | 津上カオル | インコ |
シープファンガイア | 羊 | 道化師は暖炉で七面鳥と踊る | 倉前昇 | 七面鳥 |
ライノセラスファンガイア | 犀 | 緋色の砂と難破船のある岬 | 三宅徹 | オオハシ&サイチョウ |
グリズリーファンガイア | 羆 | 葬儀屋と大工が交わした密約 | 竹内伸二 | ハゲタカ |
ウォートホッグファンガイア | イボイノシシ | プロペラ王国の崩壊 | 阿鐘 | 燕 |
ムースファンガイア | ヘラジカ | 太陽、或いは魚の目に刻まれた轍 | 黒沢 | ダチョウ |
ラットファンガイア | 鼠 | 黒き死 | 未登場(無数に登場) | カラス |
ポーラベアーファンガイア | 白熊 | 淫蕩なる香辛料への戒め | 未登場 | ハゲタカ |
ゼブラファンガイア | シマウマ | 未登場 | 三条刑務官 | オウム |
ライオンファンガイア | ライオン | 天地開闢。産声と怒号を聞きながら | ルーク | ドードー鳥 |
バットファンガイア | コウモリ | 暁が眠る、素晴らしき物語の果て | キング | 鳥の骸骨 |
ゴートファンガイア | ヤギ | 不明 | エリートサラリーマン | 不明 |
アクアクラス
種別 | 動物の形質 | 真名 | 人間態 | 鳥モチーフ |
---|---|---|---|---|
オクトパスファンガイア | タコ | 満月に引き裂かれた貴婦人の肖像 | 宮澤ひとみ | モズ |
プローンファンガイア | 海老 | 燭台と方位磁石が契る宴 | 犬飼伯爵 | 鶴 |
フロッグファンガイア | カエル | 進化論の間紙に黄金比は埋葬される | 大村武雄 | グンカンドリ |
シースターファンガイア | ヒトデ | 断頭台と巣箱に共通する命題 | 坂口佐吉 | ダチョウ |
シャークファンガイア | 鮫 | 灰の彼岸へと到る切手 | 未公表 | ペリカン |
クラブファンガイア | ワタリガニ | 辞書や胸骨を模した囮 | 未登場 | 不明 |
シームーンファンガイア | クラゲ | ラジエーターと葡萄の陰鬱な同棲 | 不明 | 鳥の巣と雛鳥 |
パールシェルファンガイア(真夜) | 真珠貝 | 冷厳なる女鍋の血族 | 真夜 | フラミンゴ |
パールシェルファンガイア(深央) | 真珠貝 | 独房のようなドレス | 鈴木深央 | フラミンゴ |
ソーンファンガイア | ナマコ | 滅びゆく祭壇に、沈黙より深いキスを | ユウキ | フクロウ |
リザードクラス
種別 | 動物の形質 | 真名 | 人間態 | 鳥モチーフ |
---|---|---|---|---|
カメレオンファンガイア | カメレオン | 塩の結晶格子に潜む夫妻 | 山下店長 | ニシツノメドリ |
トータスファンガイア | リクガメ | 粘膜にウインクする坂道 | 沼川 | オナガドリ |
サンゲイザーファンガイア | ヨロイトカゲ | 水面に連鎖する墜落の残像 | 島護を吸収 | カモメ |
ネオファンガイア
最終回の終盤に唐突に現れた22年後の未来から、紅渡の息子である紅正夫を追って2009年の過去へとやって来た謎の敵。
どうやら正夫が対処していたらしいが、彼の手には負えない程に強大な敵だったらしい(とはいっても彼の性格が祖父そっくりだったので、どこまで信用してよいのかは不明)。
父親である渡の元へ正夫が救援を求めてやって来たという所で物語が終わった為に詳しい詳細は不明だが、少なくとも巨大な魔法陣の様な物が描写されていた。
なお、これがネオファンガイアの実態なのか、それともこの魔法陣はただの扉で、その向こうに多数のネオファンガイアが存在しているのかは謎に包まれている。
ちなみに、一部では太牙が融和政策を採っている現代の情勢から繋がる未来からやって来た為、その政策に異を唱える過激派たちの集団ではないのかと推測されている(少なくともキャッスルドラン内部にある時の扉を介さずに、過去にやってくる術を持っているのだけは確かな様だ)。
名前の由来は、HERO SAGA掲載の小説によれば未来からやって来たファンガイアという意味らしい。
仮面ライダーディケイドにおける設定
仮面ライダーディケイド第4・5話の舞台となったキバの世界においては人間と共存を果たしており、一見すると平和な世界に見えるが…
余談
名称は「ファング(牙)」「ヴァンパイア(吸血鬼)」を組み合わせた造語。
なお、『キバ』には鳥類をモチーフとした怪人は登場しないが、実はデザイナーによって全てのファンガイアのデザインにその意匠が含まれており、前述の真名もそれに関連、連想されたキーワードが含まれる。
また、真名は個体によっては、鳥モチーフから連想されたワードではなく、その者の本質や運命を表すケースも。
(例えばスワローテイルファンガイアの真名ならば、自分を律しつつも、理想を他者に押し付ける性格を表している)