概要
カミキリムシ(髪切虫、天牛)とは、コウチュウ目・カミキリムシ科に分類される甲虫の総称。ごく一部の種を除き植物食で、長い触角が目立つ甲虫である。英名「Longhorn beetle」(長い角の甲虫)または「Longicorn」、中国語の「天牛」もこれに由来する。
和名の「髪切虫」は、頑丈な人間の毛髪を噛み切るほど強力な大顎からの命名。「噛み切り虫」と表記しても一応意味は通っているので間違いというわけでもない。
多くの種類の成虫は樹皮や若芽を常食する。また、強力な顎で木の幹に開けた穴に卵を生み、幼虫も木の幹を食べて成長するため、林業にとっては厄介な害虫である側面を持つ。
また、花に集まって蜜を吸う種類も確認されている。
昭和中期までの東北山間部では、冬季に薪として伐採した樹木の中に幼虫がいる事が多く見られ、冬の貴重な蛋白源として薪ストーブで焼いて食用に供したそうである。セルロースが主成分の木材が主食と言う性質から、甘味が多く意外に美味であったようだ。(同様の食性のクワガタムシの幼虫も食用に供された。一方カブトムシは堆肥が食物で有ったため一般の食用に耐えるものではなかったようだ。)
色と大きさは種によって様々、派手なものが多くて昆虫採集の対象として人気がある。大型種は多く、中でもタイタンオオウスバカミキリは世界最大の甲虫として知られる。
全世界の熱帯から亜寒帯まで広く分布する。記載されたものは約2万種、日本だけでも800種ほどが知られる。
掴まれると「キイキイ」と音を立てて威嚇するのも特徴である。
主な種類
- ルリボシカミキリ
美しい青い外皮を彩る黒斑紋が特徴的なカミキリムシ。
しかし、死ぬと色がくすんでしまう為、人間が彼らの色を再現する事は不可能だと言われることも。
高校の現代文の時間で彼を題材にした「ルリボシカミキリの青」(著:福岡伸一)という文章を読んだ事があるという方も多いのではないだろうか?
- ゴマダラカミキリ
日本国内で最も一般的な種の一つ。黒いボディに白い斑点というカミキリムシのステレオタイプ像に一番合致しており、ミカン類を食害する。
- シロスジカミキリ
ミヤマカミキリと並ぶ国内最大種。ブラックグレーの外皮にのり玉を振りかけたような黄色または白い斑紋があるのが特徴。
- ラミーカミキリ
パンダのような模様が外皮に描かれた種。
ちなみにラミーとは女性が由来ではなく、カラムシという植物の別名である。
- トラカミキリ
比較的触角の短い種類で、虎柄の模様と尖った腹が特徴。
スズメバチに擬態して身を守る為にこの姿に進化したと考えられている。パッと見はスズメバチを思わせるが、ハチの仲間特有の翅の有無や飛び方で見分ける事が出来る。(そんな事やっているより、さっさと逃げた方が賢明だが。)
- マツノマダラカミキリ
黒い斑紋に彩られた褐色の外皮が特徴的な種。
外来種である寄生虫と共生して松を枯らす原因であり、問題になっている。
こんな所業をやらかしてはいるが、コイツ自体は在来種である。
- ホソコバネカミキリ
寄生蜂を思わせる細身の外見が特徴な種。
- クビアカツヤカミキリ
ゲンジボタルを思わせるカラーリングが特徴的な種だが、原産地は中国や朝鮮半島といった大陸側の昆虫であり、特定外来生物に指定されている。
- オオキバウスバカミキリ
クワガタムシのような長大な大顎と木材のような模様が特徴。
- タイタンオオウスバカミキリ
世界最大級の甲虫。全長ではヘラクレスオオカブトに劣るが、角を除く体長では大きく上回る。
関連イラスト
カミキリムシをモチーフにしたキャラクター
カミキリが神斬と解釈され神殺しのイメージを持った強キャラも多い。
メタルヒーロー
仮面ライダー
カミキリインベス(仮面ライダー鎧武)※ルリボシカミキリがモチーフ。
スーパー戦隊
変わり種のパワードダーク(天装戦隊ゴセイジャー)※ルリボシカミキリがモチーフ。
その他
ゼットン(ウルトラマンシリーズ)※ゴマダラカミキリがモチーフ。
ギガンティア・カミキリー/ゴマダラ(バトルスピリッツ)