「変……身! ゼークーロースー! ZX!」
変身者
・村雨良
概要
「オレの体は今日のためにあることを…V3、あんたが教えてくれた!!」
グラビア企画、漫画『仮面ライダーSPIRITS』、TVSP『10号誕生!仮面ライダー全員集合!!』、小説『平山亨叢書 仮面ライダーZX』、小説『S.I.C. HEROSAGA MASKED RIDER ZX EDITION -FORGET MEMORIE'S-』など数多の作品で主人公を務めるが、基本設定以外は設定やストーリーが全く異なる。
キャラクターとしては1982年生まれだが、TVへの初登場は1984年となっている。
脳以外の体の99%を機械化されたパーフェクトサイボーグ。別名を「忍者ライダー」。
『S.I.C. HEROSAGA MASKED RIDER ZX EDITION -FORGET MEMORIE'S-』では地獄大使に憑依された暗闇大使が誕生に関わっているとされたり、『仮面ライダーSPIRITS』ではプロトタイプZX(村雨)が再改造された姿とされるなどの独自展開が見られる。
後者ではプロトタイプ時点でチャージアップしたストロンガーと互角以上の戦闘力を見せたり、最改造後は驚異的な自己再生能力を発揮していた。
また、同作ではキック時の赤い発光と特徴的なポーズにもフルスペックを発揮する為に必要なものという理由づけがなされた。
変身プロセスは「変…身」の掛け声と共に一定のポーズを取ることでゼクロスベルトの変身システムが起動。変身完了後に「ゼクロス」の掛け声とともに決めポーズを取る。
なお、昭和ライダーでは珍しく改造されてしばらくの間、悪の組織の構成員として活動していたという経歴を持つライダーである(※)。
この展開は後の昭和ライダーをベースとした『仮面ライダーTHEFIRST』や『仮面ライダーTHENEXT』、『シン・仮面ライダー』といった作品にも見られた。
ちなみに、悪の組織に加担していたライダー自体はライダーマンこと結城丈二が先行しているが、こちらは(彼なりの善意で)悪事に加担していた時期が仮面ライダーとなる前であり、改造による洗脳の影響ではないという点が大きく異なる。
(※)なお、TVSP版で風見志郎が自分たちも村雨と同じ境遇の身であるという旨の発言をするシーンがあり、村雨が改心する要因となっているが、悪の組織に捕まって改造されたのはダブルライダーぐらいであり、ストロンガーやスカイライダーも悪の組織によって改造が施されているが、ダブルライダーとは事情が異なる。
データ
身長 | 188cm |
---|---|
体重 | 78kg |
ジャンプ力 | 60m(ひと跳び) |
体には数十万個のサーボモーター、踵部分にはジェットエンジンが搭載され、1tの重量物を抱えて跳躍できるパワーと、空中での自由自在の機動力を生み出す。
高感度アンテナは地球の裏側まで通信でき、両眼「フォログラフィアイ」は空間や物質を多方面から捉えて探索や分析に用いる。
それまでのライダーのように体術を駆使した技はあまり使えないが、その代わり忍者ライダーの異名どおり全身に備えた武器を駆使して戦うライダーである。
漫画「仮面ライダーSPIRITS」の設定では彼はバダン首領の新たなる体となるために開発されたことになっている。
これまでのライダーでは風力、電力と様々なエネルギー源が登場したが、彼は水素がエネルギー(つまり原子力)となっている。とはいうものの、実は小型原子炉は旧1号の時点でコンバーターラングに組み込まれている。
Zは「ZENITH(ドイツ語で最高)」、Xは「未知数」を意味するイニシャルである。パーフェクトサイボーグにふさわしいネーミングだと言えよう。
(この呼称について、植物学者の稲垣栄洋教授は著書『仮面ライダー昆虫記』において、同じパーフェクトサイボーグであるタイガーロイドがデストロン機械合成怪人の系譜であることと考え併せて、ゲルショッカーの合成怪人技術を復元するコードネーム「The Cross」の略称ではないか、そしてゼクロスはカミキリムシとタガメの特性を併せ持った試作品との説を唱えている)
技の一例
十字手裏剣
ヒジの部分にくっついている。ダイヤモンドより硬い刃を持ち、1㎞先の標的だって正確に命中させる。別名:十方手裏剣。
『仮面ライダー11戦記』では、遁走した奇械人エレキイカの背面に刺さった十字手裏剣に追跡用の粉末が搭載されている描写があり、これを道しるべとしてドクトルGが指揮する拠点を暴き出している。
『バトライド・ウォー創生』では複数枚投擲する。
衝撃集中爆弾
膝に装着されている、カラフルな爆発を起こす爆弾(ダイナマンか)。ZXの意志によって爆発のエネルギーを一方向にを集中し、同時に周囲の被害を低減出来るため、狭所や市街地でも使用できる。細井雄二氏のコミカライズではショッカー3大幹部怪人のプロトタイプらをまとめて始末する威力を披露した。
『オールライダー対大ショッカー』では龍騎に対して使用したが、ミラーワールドからの奇襲戦法に翻弄された。
マイクロチェーン
5万Vの電撃を流すことのできる鎖。普段は手の甲に収納されているが、いざとなったら長さは20mまで伸び、1tの重量物を牽引できる。バトライド・ウォー創生では鎖鎌のような扱いをされている。
電磁ナイフ
伸縮自在の電磁ナイフ。電磁波により赤熱化して金属すら焼き斬る。強力な電磁石にもなり、発射された銃弾の軌道を変えることができる。
『仮面ライダー画報』(竹書房・P159)によると他にも音波砲やレーザー砲を体内に仕込んでいるとのこと。
虚像投影装置
ベルトに内蔵された空中に自らのホログラムを映し出して相手を混乱させる装置。要するに分身の術。
『仮面ライダー大戦』ではこれを用いて村雨良が暗闇大使に変装していた(本物はどうなったかは不明)。
レーダー撹乱煙幕
上腕部の黒い部分、太ももの付け根にある煙幕発射装置から磁気を帯びた煙幕を発することが出来る。
ZXパンチ
通常よりも強力な鉄拳を相手に叩き込む技。講談社『仮面ライダーオフィシャルファイルマガジン』によると体内に多数搭載された「サーボモーター」の働きによってバダン怪人に致命的なダメージを与えることができると記載されており、歴代ライダーのライダーパンチの中でも破壊力はかなりのものと推察される。
『SPIRITS』では怒りに駆られた状態で撲りつけるシーンが多く、カメレオロイドの頭部をぶち抜いたり、合体変身したジゴクロイドの顔面を凸凹にしたり、原始タイガーの顔面を血飛沫とともに完全破砕したりと無惨ともとれる描写がたびたびあった。そのためか、戦いの恐怖を克服した『新SPIRITS』ではあまり使用されていない。
他にも「ZXジャンプ」、「エルボークラッシュ」、「ZXイナズマニードロップ」が登場。
ZXキック
構えは両腕で逆「く」の字を描いて飛び上がり、スーパー1と似た構えで蹴りを放つというもの。
赤いオーラを纏って放つのが特徴で、仮面ライダーSDでもしっかり再現されていた。その破壊力は折り紙付きであり、『SPIRITS』や『仮面ライダー大戦』では再生怪人を数体纏めて爆炎に葬り去る描写を為されている。
雑誌連載時は「ZXイナズマキック(後述)」と呼称されることもあった。
「超パワーイナズマキック」、ヤマアラシロイドを倒した「爆発蹴り」、『時空英雄仮面ライダー』では「必殺ZX十字架キック」、安土じょう版では「ZXパワーキック」、「ZXダブルキック」、「ZXファイヤーキック」、山田ごろ版では「ZXスプリングキック」などなどメディア毎に様々なバージョンがある。
ライダーシンドローム
該当項目参照。
SPIRITS版での必殺技
本作のZXが昭和ライダーの集大成的位置付けにある為、歴代昭和ライダーの必殺技や合同技を使うシーンがあり、歴代ライダーに変身してスペック頼りの戦い方をする大首領JUDOとは対になっていると言える。
- ライダーきりもみシュート
- ライダー車輪
- かつてダブルライダーがショッカーライダーに対して使用した技で、1号と共にショッカーライダーに引導を渡した(かつてのタッグパートナーであった2号はサポートを担当している)。
- ライダーダブルキック
- 2号とタッグで放ち、ヒルカメレオンを撃破。
- ダブル大切断
- アマゾンの大切断とZXの電磁ナイフの合体技。キノコ獣人をバラバラにした。
- 梅花の型
- スーパー1が使用する赤心少林拳の型の1つを再現したもの。後天的に会得した技という利点を活かし、スーパー1に変身したJUDOに対抗した。
- ZXかげろう崩し
- 分身を作り出して敵を撹乱し、電磁ナイフで切り裂く。
- ZX穿孔キック
S.I.C.版での装備
ZXのデザインを再解釈し、「忍者」としての要素が強調されており、背中に背負った忍者刀やクナイを装備している。
その後の活躍
映像作品
仮面ライダーBLACKRX
10人ライダーの1人として登場。アフリカ大陸北部でクライシス帝国と戦っていた。
RXから見て直近の先輩ライダーだが、突出した扱いはされていない。
スーパーヒーロー大戦
歴代ライダーの1人として登場。
オールライダー対大ショッカー
終盤にてディケイドたちを援護するべく、歴代ライダーと共に駆けつけた。
乱戦ではゴ・ガドル・バと対決。
オールライダー超スピンオフ
「File23:クイズ!ディケイドを数えろ!!」にて登場。
放送回数が少ない10号という点にシンパシーを覚えたのか、原作よりもフレンドリーに士に絡みに行っていた。
レッツゴー仮面ライダー
人々の記憶から蘇った昭和ライダー軍団の1人として登場。
タイガーロイドと戦った。
仮面ライダー大戦
敵もあのバダンという事もあってか、変身前の姿も登場。
昭和ライダーと平成ライダーとのバトルにも姿を見せていなかったが、クライマックスで満を持して登場(なのでタイガーロイドとの掛け合いは残念ながら存在しない)。
終盤の展開に大きく貢献しており、同じ10号ということでディケイドとの絡みが見られた。
スーパーヒーロー大戦GP
ショッカーライダーの一人として登場するが、原作の設定を鑑みるに悪の組織に留まり続けたのか、それとも洗脳が解けた後に再改造されてしまったのかは不明。
終盤でショッカーの支配から逃れ、ドライブたちに協力した。
ギーツエクストラ(ネタバレ注意!)
「闇をも照らす、聖なる光!我ら忍者ライダー!」
2022年三月から放送されている仮面ライダーシノビの…もとい、仮面ライダーギーツのスピンオフ作品『タイクーンmeets仮面ライダーシノビ』に客演。
菅田氏演じる村雨良としての姿も披露した。
ストーリー上の役回りは他のライダーと大きく変わらず、『黒幕である天草四郎時貞の手によりシノビの世界に連れ込まれたが、良のみはパーフェクトサイボーグであることが幸いし呪術を受けず、一足先に蓮太郎と景和に加勢する』というもの。良としての姿も変身シーンと別れ際のみの出番だった。
しかし今回の活躍で特筆すべきは気合の入った戦闘シーン。
マイクロチェーン、十字手裏剣、衝撃集中爆弾と多彩な戦法で虹蛇の雑兵を蹴散らした。
さらに黒幕である天草もといジェロニモとの決戦でも忍者ライダーたちをまとめ上げ、「ドラゴンロード」をバックに天草の闇の忍術を封じ込める『聖忍術』である必殺技『電撃ZXキック』、風魔・剣斬の『稲妻ライダーキック』、シノビ・タイクーンの『熱風ライダーキック』を放った。
総じて、昭和に生まれた元祖忍者ライダーとして平成・令和の強者にも負けない大活躍を果たしたと言えるだろう。
アニメ
OVA「仮面ライダーSD」
「ギャンブルで勝負勘を養うのも、大事な特訓!…俺は涙を呑んでRXを鍛えてやってるんだ、地球平和の為に!!」
「いい男紹介しまっせぇ。五千円でどうです、五千円で?」
「泣くな!違う女に乗り換えればいいじゃないかよ〜」
…上に書いた主なセリフでだいたいわかったと思うが、歴代1ヤバいゼクロス。仮面ライダー一号や仮面ライダーBLACK RXと共に「バトルライダーズ」を組んでおり、グランショッカーと戦っている正義のライダーだが、性格はドSで後輩であるRXをイジるのを楽しむ。例えば
・一号が真面目にバイクの訓練をする中コースのど真ん中で RXとギャンブルに興じる。
・そして一号に咎められると上記(1番目)の台詞でこれも特訓だと主張
・一号が(呆れ気味に)去るのを見計らって RXにギャンブルの負け分を要求。しかも分割払いにして欲しいというRXを「やかましい!今すぐ払うんだ」と一蹴してプロレス技で脅す
・RXが落とした箱を借金のカタに預かろうとするが、彼が「ミチル」という名を口にすると「場合によっちゃ許してやる」と言いながら何故か刑事ドラマ風に尋問する(しかもご丁寧にカツ丼付き)。
・その後、公園で彼がまだ思いを伝えられていないことを知り、「予行練習をしよう」と言い出して告白番組に出演させる…が、 RXがライダーマンに蜂女を取られて泣いて逃げ去るのを見て大笑いする。
・その直後、スカイライダーにグランショッカーの暗躍を知らされると、「こんな時に何をしてるんだRXの奴!?」とかぬかす(無論一号に「お前のせいだろうが」とツッコまれた)。
・世界的テニスプレーヤーの伊藤選手を怪しまれずに見張る為に女子テニスプレーヤーに変装するが、一号に「一発でバレる」と言われる程下手
・その姿のままRXを応援するがクッソ気持ち悪い(パンチラまで入れてる)
・直後に偶然ミチルと遭遇。RXに「今度こそ大丈夫」と言って彼の気持ちをミチルに伝えようとするが、その時出てきたのは上記2番目の台詞(こちらもご丁寧にリーゼントにサングラス、アロハシャツという格好に変装)
・ミチルが蜘蛛男に拐われてしまい、自責の念に駆られるRXを励まそうと上記3番目の台詞を言う(しかも彼の上に偉そうに座りながら)。当然RXに「そういう問題じゃないでしょうが!」とツッコまれた。
…お前ZX乗っ取ったJUDOだろ。
でも流石に悪い所ばかりでなく(そりゃそうだ)、怪人と戦ってる時は基本真面目だし、最後にミチルを救出したRXにプレゼントを彼女に渡すように促すなど、なんだかんだで彼の恋を普通に応援していた模様(諸事情により失敗に終わるが)。
尚演じたのはあの難波圭一氏である。大御所何やってんすか。
そして氏の怪演とZXのマイナーさも相まって本編のZXのイメージに風評被害が生じるレベル。
あとアドリブも非常に多く、戦闘員との戦いでは「バク転!バク転!」とか言ってたり、蜘蛛男の糸に絡め取られた際には「イモムシ!」と言う、蜘蛛男に吹っ飛ばされて「センパーイ!」と叫びながら落ちるRXを急に現れて助けるシーンでは「呼んだ?」と言っている。そして極め付けはこの後のテレビバエが目から放った光線を受けて「わー、テレビを見ない時は電気を消せー!」と叫ぶシーンである。
ゲーム
ガンバライド/ガンバライジング
ガンバライドでは第7弾から参戦。SRで登場。
声は菅田俊氏。なんと本人ボイスである。スタッフにZXファンがいるからとの噂。
必殺技は「衝撃集中爆弾」。演出が地味なのが残念。
第11弾で再びSRで登場。
新必殺技として「ZXキック」が実装された。
その後、S2弾でSR、S3弾ではオールタイプキャンペーンの1枚・機械タイプ代表としてCPで登場した。
ガンバライジングでは3弾から参戦。SRで登場。
こちらでも声は菅田俊氏。
バースト必殺技は「ZXキック」。
ライダージェネレーションシリーズ
第1作から参戦。
『2』ではかつて心を持たない怪物同然の身となった経験からか、コアとの掛け合いでは(本作独自の解釈だが)、バダン時代に殺人歴があった事が示唆されている。
陰惨な過去に負けずに仮面ライダーとしての責務を全うしようとするZXの熱い意志を感じさせるシナリオとなっている。
ヘルダイバー(地獄への潜行者)を駆るライダーの相手が地獄兄弟や仮面ライダーエターナルというのも中々に興味深い。
バトライド・ウォー創生
タッグパートナーとして参戦。
マイクロチェーン、十字手裏剣、衝撃集中爆弾、ZXキックなど劇中で使用した技は一通り実装された。
姉がいるという共通点を持つ仮面ライダーマッハとの掛け合いが存在する。
シティウォーズ
プレイアブルキャラクターとして参戦。
その他
仮面ライダーEVE
漫画版の続編にあたる本作だが、こちらでもTV版同様に村雨良がZXとなって戦い続けていたという設定。こちらの世界観での11号はBLACKではなく、仮面ライダーガイア。
10人の先輩ライダーの1人として登場し、改造人間としてのコンセプトの違いからか、自分たちの行く末に関する発言で沖一也の怒りを買い、口論になっている。
余談
昭和ライダーとしては珍しく、デザインが左右非対称になっているのが特徴。
『仮面ライダーZX』の主人公であり、一応映像化もされてはいるものの『仮面ライダーZX』自体がほぼ雑誌のグラビア企画程度にしか展開されず起承転結のある物語として描かれていない為、長い間昭和ライダーの中でもかなり影が薄く不遇な存在だった。
漫画「仮面ライダーSPIRITS」で主役となった事で現在では知名度や人気も上がっている。
関連イラスト
演者
CV
- 菅田俊
- 神谷明(オールナイトニッポンスペシャル 仮面ライダー10号誕生記念・石森章太郎のオールナイトニッポン)
- 桑原たけし(『BLACKRX』)
- 吉野正裕(『オールライダー対大ショッカー』)
- 野島健児(オールライダー超スピンオフ)
- 大川透(ガチで探せ!君だけのライダー48)
- 堀之紀(『ライダージェネレーション』シリーズなど)
- 難波圭一(「仮面ライダーSD」)
スーツアクター
関連タグ
仮面ライダーディケイド:こちらは平成の10号。敵組織も歴代の怪人が一堂に会する大規模なものとなっている。
仮面ライダーフィフティーン:後の時代に誕生したバダン製仮面ライダー。こちらのモチーフは骸骨+武田信玄の鎧である。
仮面ライダーマッハ:姉がいるライダーであり、『バトライド・ウォー創生』では固有の掛け合いがある。
アンドロメロス:メディア展開に共通項が見られるキャラクター。
レジェンドライダー関連