路線データ
路線延長 | 75.0km |
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軌間 | 1067mm |
駅数 | 39駅 |
起終点 | 池袋駅~寄居駅 |
複々線区間 | 和光市駅~志木駅 |
複線区間 | 池袋駅~和光市駅,志木駅~嵐山信号場 |
単線区間 | 嵐山信号場~寄居駅 |
電化区間 | 全線直流電化(1500V) |
閉塞方式 |
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最高速度 | 100km/h |
概要
東武東上線とは、東武鉄道(以下、東武)が所有する本線格の路線の一つで、東京都の池袋駅から埼玉県の小川町駅、同駅と寄居駅を結ぶ路線を指す。
正式には東武東上本線と呼ぶらしいが、そう呼ばれることは殆どない。支線に越生線を擁する。
東武伊勢崎線・日光線系統からは東武の路線では直接繋がっておらず、全く関係がないように見えるが、車両は伊勢崎線系統と同じ形式も使用されている。
途中の和光市駅からは東京メトロ有楽町線・副都心線に直通し、副都心線を経由し東急東横線・東急新横浜線、横浜高速鉄道みなとみらい線との相互直通運転および相模鉄道(相鉄新横浜線・相鉄本線・いずみ野線)との直通運転を行う運用もある。
以前は東上線に直通する地下鉄はすべて普通だったが、2016年度のダイヤ改正で速達化を図り急行が設定され、2023年からは快速急行に置き換わり更に速達化している。詳しくはFライナーを参照。
埼玉県内の東上線の場合、池袋駅や埼京線や湘南新宿ラインを使う場合、東上線の方が安いが、有楽町線・副都心線・東急東横線などを使う場合は和光市駅から東京メトロを使った方が利便性が高い。と言うより川越~新木場は別ルートは超高額になるし、川越~池袋も優等数で2倍の差がついている。
その為、埼玉県内の東上線の駅から和光市駅~池袋駅を2区間で利用できる二東流が販売されている。
又、伊勢崎線よりも日中利用者が多いのもこの路線の特徴である。
本線系統に比べると朝下りや夕方上りの需要が多く、特に和光市駅〜川越駅で顕著である。
しかしながら、混雑率は和光市駅で地下鉄と分散するので150%以下と低め。
但し、遅延回数は多く、人身事故や車両故障などの輸送障害が頻繁に起きるので、常に代替路線を調べておく必要がある。
利用者の多さからか、本線系統がまともに受けた2022年3月のダイヤ改正という名の大減便(こちらは地下鉄直通の一部のみ変更)や2021年の終電繰り上げも平日の成増と川越市行きが土日ダイヤに統一、他は変更なしだったりする(同じ池袋発でも飯能から繰り上げかつ土日も繰り上げた路線に比べたら)
又、基本的に10両4扉で構成されている関係からホームドアの導入が首都圏の路線では割と早い部類となっており、和光市駅や志木駅などで対応が始まっている。
沿革
東上線は、もともとから東武が所有していたわけではなく、東上鉄道という別会社が建設した路線である。軌間は東武本線と同じ1067mm。この路線は当初「東京」と「上州」を接続する路線として計画されており、頭文字を取って「東上鉄道」と名付けられた。だが、とある事情から埼玉県寄居町で止まってしまった。東上鉄道の社紋は、「上」という漢字が10個集まって環形を成しているものだった。10(とう)+上=東上というわけ。
東上鉄道は設立時から東武と関連があった。設立には東武の経営者が関与し、車両のやりとりもこの頃から行われていた。第一次世界大戦後、東武・東上とも経営が悪化し効率化を図るためにこの二社は対等合併。東武が存続し、東上鉄道の路線は東武東上本線、「東上線」となった。
東上線でも、東上鉄道の時代から、東武と同様に貨物輸送も行っていた。特に、寄居で秩父鉄道とつながっていたこともあり、石灰石の輸送が盛んだったと言われている。戦後、秩父では石灰石の輸送はまだ需要があったが、それ以外では廃れていき、貨物輸送はやがて廃止された。
ちなみに路線のつながっていない東武本線と車両をやり取りする際は、秩父鉄道を経由している。
種別
川越特急
停車駅:池袋・朝霞台・川越・川越市・坂戸・東松山~小川町間の各駅
川越地区への観光アクセス強化を目的として、2019年3月のダイヤ改正に合わせて新設された追加料金不要の特急列車。2008年まで東上線の無料特急が運行されていたことから、事実上の復活とも言える。
平日に下り2本・上り3本、土休日に下り2本・上り4本を運転。池袋と川越の間を最速26分で結んでいる。使用車両は50090型で、クロスシートモードで運用される。
2023年3月のダイヤ改正では、川越市以北が各駅停車となる快速急行の代わりとしてTJライナー送り込みを担当するようになるため、特に上りは本数が一気に増加する。
TJライナー
下り列車停車駅:池袋→ふじみ野→川越→川越市→坂戸→東松山→森林公園→つきのわ→武蔵嵐山→小川町
上り列車停車駅:森林公園→東松山→坂戸→川越→ふじみ野→池袋
2008年から東上線で運行を開始した座席指定制優等列車。池袋からふじみ野・川越・坂戸方面への帰宅客をターゲットにしている。
主に夕方に30分~1時間ヘッドで運行。車両はすべて専用車両の50090型が使用される。
デビュー当初は着席整理券300~410円追加で乗車できる「座席定員制」であったが、2019年3月のダイヤ改正に合わせて「座席指定制」に変更された。上り列車はふじみ野からの乗車の場合座席指定券360円・それ以外の駅からの乗車の場合は座席指定券460円が必要になる。下り列車は池袋からの乗車に限り座席指定券360円が必要になるが、ふじみ野以遠からの乗車の場合は座席指定券は不要となっている。
快速急行/Fライナー快速急行
停車駅:池袋・和光市・朝霞台・川越~小川町間の各駅
「TJライナー」登場に伴い設定された種別。
元々は本線系統メインの料金不要での最速達種別だったが、その座は川越特急に譲り快速急行も地下鉄直通メインにシフトしている。
かつて急行に充当されていたFライナーは2023年より快速急行が担っており、副都心線直通列車をメインに日中30分間隔で運転される。
急行
停車駅:池袋・成増・和光市・朝霞・朝霞台・志木・ふじみ野・川越~小川町間の各駅
東上線の主役。日中、最も多く運行される優等列車。
地下鉄直通における優等種別設定時、副都心線直通には急行が充てられていたが、現在はその役目の大半を快速急行に譲っており、Fライナーからも外された。
現在は本線系統の優等種別に再びシフトしており、毎時4本間隔で運転される。他、上り列車のみ地下鉄直通が残っている。
準急
停車駅:池袋・上板橋・成増~小川町間の各駅
東上線の優等列車では、急行に次いで本数が多い。日中は池袋~川越市間で運転される。
成増止まりの各駅停車に代わって成増以西の各駅停車も担っている。
普通
停車駅:各駅
すべての駅に停まる。日中時間帯は主に池袋~成増・川越市間の運転。和光市~川越市・森林公園間における有楽町線からの直通列車についても、東上線内は全列車が普通列車となる。朝夕に少数、副都心線からの8両編成が志木まで乗り入れてくる。例外的に、相鉄直通の普通は10両で運転される。なお、駅アナウンスでは「各駅停車」と呼ばれる。
かつての列車
特急
現在の快速急行の前身。停車駅は志木がカットされたもの。
最盛期は「フライング東上」の愛称で池袋~川越間をノンストップで走っており、池袋~川越間の所要時間は30分前後であった。末期は土休日のみの運転と少なく、影の薄い列車であった。
また、寄居までの直通運転も存在し、その場合は小川町で4両を切り離して6両で運転された。こちらは行先に合わせ「むさしの」「さだみね」などの愛称がつけられた。
通勤急行
停車駅:志木までの各駅→和光市→成増→池袋
朝ラッシュ時の池袋行きが平日6本のみ運行された。急行が停車する朝霞台を通過するのが特徴。
2016年3月26日の改正で廃止。
快速
停車駅:成増・和光市・朝霞台・志木・ふじみ野・川越・川越市・若葉・坂戸・東松山~小川町間の各駅
快速急行と急行の中間の種別として日中時間帯に運行され、日中の最速達列車として運行された。
停車駅は、快速急行停車駅に成増 、朝霞台、ふじみ野 、若葉を加えたもの(川越市以南の急行停車駅+川越市以北の快速急行停車駅+若葉)で、日中毎時2本の運行となっていた。
2023年3月18日の改正で廃止。
直通運転
冒頭で軽く触れたとおり、和光市駅から東京メトロ有楽町線、副都心線と直通する。かつては寄居駅から秩父鉄道線へ直通していたこともあったが、現在は行っていないため、その説明は割愛する。
地下鉄との関係
副都心線直通車は渋谷駅から東急東横線、横浜高速鉄道みなとみらい線とも直通し、神奈川県の方面へと向かう。2023年3月にはこれに加え、新たに開業した東急新横浜線を介して相鉄線とも直通を開始した(ただし東武車の直通は現在なく、相鉄線に入線するのは当面東急車のみ。また相鉄車の東武入線はない)。
有楽町線とは副都心線開業前から直通しているが、副都心線とは異なり優等種別がなく、地下鉄を跨いだ他社線との直通運転もない。
また、有楽町・副都心線と並行していることもあってか、首都圏では唯一朝ラッシュ乗車率は150%以下である。
東上線と有楽町線(副都心線)の和光市~池袋間は、日本の鉄道では珍しく直通する路線同士が別の路線として併走している。この区間の両社の各駅は少し距離があるので、厳密に併走とは言えないかもしれないが、池袋からは改札は違うがいずれの路線でも和光市以北の各駅へ向かえる。なお余談だが、成増(地下鉄成増)駅と下赤塚(地下鉄赤塚)駅は近接しているため一応乗り換えは出来るが、東武、東京メトロ両社とも乗り換え駅としては勧めていない。
かつては都営三田線と直通する予定だった。しかし結局1987年、営団地下鉄(当時)有楽町線と直通することとなった(当時副都心線は未開業。東京メトロ発足後の開業である)。
和光市駅~池袋駅間が競合する関係で、Fライナーが新設される前までは地下鉄直通列車はすべて東上線内は各駅停車(普通)だった。Fライナー新設後は急行や快速急行の列車も直通するようになっている。もちろん有楽町線・副都心線経由だと地下鉄の初乗り運賃が追加されるが。
直通先でダイヤ改正をすると東上線も巻き沿えを喰う形で変更を食らう時がある。実際2022年も平日ダイヤに変更が発生している。
系統
東上本線系統
東上線は、池袋~小川町間と小川町~寄居間に分けられており、このうち、前者を特に「東上本線」と呼び、多彩なダイヤを持つ。地下鉄直通の一部(8連)を除き全ての列車が10連で運転される。
一方、後者は普通のみで、ワンマン運転である。こちらは4連。
越生線
坂戸~越生間の路線。すべて普通、4連のワンマン運転である。→東武越生線
使用車両
自社車両
他社車両
駅一覧
凡例
●:停車,レ:通過,‖:運行せず
※:上りは通過、下りは停車
東上本線(池袋~寄居)
駅番号 | 駅名 | 読み | 川越特急 | TJライナー | 快速急行・Fライナー快速急行 | 急行 | 準急 | 普通 | 乗り換え路線 | 備考 |
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TJ01 | 池袋 | いけぶくろ | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||
TJ02 | 北池袋 | きたいけぶくろ | レ | レ | レ | レ | レ | ● | ||
TJ03 | 下板橋 | しもいたばし | レ | レ | レ | レ | レ | ● | 当駅そばに留置線があり、0kmポストもある。 | |
TJ04 | 大山 | おおやま | レ | レ | レ | レ | レ | ● | 大山商店街を横切るように駅がある。 | |
TJ05 | 中板橋 | なかいたばし | レ | レ | レ | レ | レ | ● | ||
TJ06 | ときわ台 | ときわだい | レ | レ | レ | レ | レ | ● | ||
TJ07 | 上板橋 | かみいたばし | レ | レ | レ | レ | ● | ● | ||
TJ08 | 東武練馬 | とうぶねりま | レ | レ | レ | レ | レ | ● | 練馬駅とはだいぶ距離があり、むしろ西台駅に近い。 | |
TJ09 | 下赤塚 | しもあかつか | レ | レ | レ | レ | レ | ● | 地下鉄赤塚駅は道路をはさんだところにあるが、乗換駅ではない。 | |
TJ10 | 成増 | なります | レ | レ | レ | ● | ● | ● | 地下鉄成増駅は近いが、乗換駅ではない。 | |
TJ11 | 和光市 | わこうし | レ | レ | ● | ● | ● | ● | ||
TJ12 | 朝霞 | あさか | レ | レ | レ | ● | ● | ● | ||
TJ13 | 朝霞台 | あさかだい | ● | レ | ● | ● | ● | ● | JR武蔵野線(北朝霞駅) | |
TJ14 | 志木 | しき | レ | レ | レ | ● | ● | ● | ||
TJ15 | 柳瀬川 | やなせがわ | レ | レ | レ | レ | ● | ● | ||
TJ16 | みずほ台 | みずほだい | レ | レ | レ | レ | ● | ● | ||
TJ17 | 鶴瀬 | つるせ | レ | レ | レ | レ | ● | ● | ||
TJ18 | ふじみ野 | ふじみの | レ | ● | レ | ● | ● | ● | ||
TJ19 | 上福岡 | かみふくおか | レ | レ | レ | レ | ● | ● | ||
TJ20 | 新河岸 | しんがし | レ | レ | レ | レ | ● | ● | ||
TJ21 | 川越 | かわごえ | ● | ● | ● | ● | ● | ● | JR川越線 | |
TJ22 | 川越市 | かわごえし | ● | ※ | ● | ● | ● | ● | 西武新宿線(本川越駅) | |
TJ23 | 霞ヶ関 | かすみがせき | レ | レ | ● | ● | ● | ● | ||
TJ24 | 鶴ヶ島 | つるがしま | レ | レ | ● | ● | ● | ● | ||
TJ25 | 若葉 | わかば | レ | レ | ● | ● | ● | ● | ||
TJ26 | 坂戸 | さかど | ● | ● | ● | ● | ● | ● | 越生線 | |
TJ27 | 北坂戸 | きたさかど | レ | レ | ● | ● | ● | ● | ||
TJ28 | 高坂 | たかさか | レ | レ | ● | ● | ● | ● | ||
TJ29 | 東松山 | ひがしまつやま | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||
TJ30 | 森林公園 | しんりんこうえん | ● | ● | ● | ● | ● | ● | 上りTJライナー始発駅。武蔵丘陵森林公園最寄り駅 | |
TJ31 | つきのわ | つきのわ | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||
TJ32 | 武蔵嵐山 | むさしらんざん | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||
TJ33 | 小川町 | おがわまち | ● | ● | ● | ● | ● | ● | JR八高線 | |
TJ34 | 東武竹沢 | とうぶたけざわ | ‖ | ‖ | ‖ | ‖ | ‖ | ● | ||
TJ35 | みなみ寄居 | みなみよりい | ‖ | ‖ | ‖ | ‖ | ‖ | ● | 副駅名「ホンダ寄居前」の通り、ホンダ寄居工場竣工のさい、最寄り駅として請願されて設置された。 | |
TJ36 | 男衾 | おぶすま | ‖ | ‖ | ‖ | ‖ | ‖ | ● | 東京近郊では今や珍しいトイレが汲み取り式が存在していた。現在は自由通路開設と共に水洗化。 | |
TJ37 | 鉢形 | はちがた | ‖ | ‖ | ‖ | ‖ | ‖ | ● | 男衾駅同様トイレが汲み取り式が存在していた。現在は自由通路開設と共に水洗化。 | |
TJ38 | 玉淀 | たまよど | ‖ | ‖ | ‖ | ‖ | ‖ | ● | 玉淀湖に近い。 | |
TJ39 | 寄居 | よりい | ‖ | ‖ | ‖ | ‖ | ‖ | ● | 東武伊勢崎線からの車両回送は当駅から搬入される。 |
越生線(坂戸~越生)
駅番号 | 駅名 | 読み | 普通 | 乗り換え路線 | 備考 |
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TJ26 | 坂戸 | さかど | ● | 東武東上線 | |
TJ41 | 一本松 | いっぽんまつ | ● | ||
TJ42 | 西大家 | にしおおや | ● | ||
TJ43 | 川角 | かわかど | ● | ||
TJ44 | 武州長瀬 | ぶしゅうながせ | ● | ||
TJ45 | 東毛呂 | ひがしもろ | ● | ||
TJ46 | 武州唐沢 | ぶしゅうからさわ | ● | ||
TJ47 | 越生 | おごせ | ● | JR八高線 |