概要
イタリア海軍の重巡洋艦の礎となった艦級。艦名は、イタリアに実在する都市、トレントとトリエステからとった物だった。なお、準同型艦にボルツァーノがある。
第一次世界大戦後、オーストリア=ハンガリー帝国海軍が解体された後、イタリア海軍は地中海を挟んで対峙するフランス海軍を仮想敵に定めた。フランス海軍は、大型駆逐艦を大量に起工・進水し、高速かつ強力な兵装を備えているのに対し、イタリア海軍はそれらを怠っていた為、比較的小柄な駆逐艦では対抗することが困難となっていた。そして、同海軍は、フランスの駆逐艦に対抗する火力と速力を追求して条約制限一杯の8インチ(20.3cm)砲を搭載した高速巡洋艦を建造した。それが本級である。
ワシントン海軍軍縮条約のもと、条約型重巡洋艦として建造された。しかし、本級は排水量が1万tを超過し、条約の制限を超える艦となった。
偵察などに使用するため防御力を犠牲にして速 度を高めた「デュケーヌ」型重 巡を建造したのと同様に、当クラスも防御装甲を(フランス艦ほど極端では無いが)薄くして船体を軽くすることで高速を発揮できるように設計されている。
当時のイタリア大型艦の特徴として航空艤装は艦首部に設けられていることが挙げられるが、当艦も第一 砲塔前から艦首に向かって艦中心線上に射出機を設けている。この方式は艦の航行速度が加わるため水偵の 発艦時に射出機の性能が高くなくても発進できる利点があるが、戦闘時には主砲発射の障害となるため水偵 の射出作業が出来なくなる欠点もあった。
第二次大戦では緒戦から英艦隊を相手に幾度かの海戦を戦っているが、イタリア軍艦の例に漏れず防御力 の無さがネックとなり、それほど目立った活躍を行えないまま両艦とも戦没している。