イタリア海軍
いたりあかいぐん
1861年にサルデーニャ王国によるイタリア統一を期に、既存の海軍組織を統合する形で発足した。
統一以前の各海軍の保有していた装備をすべて継承した事により発足当初から英仏列強に次ぐ規模の強大な海軍力を有していた。一方で各海軍の装備間の互換性のなさ、将官同士の権力闘争、重工業力の欠如などによる混乱で、初期の実力は低いものであった。
普墺戦争での対オーストリア=ハンガリー帝国戦で大敗を喫して以降、イタリア海軍はイギリス海軍を手本とした軍事力強化を行うこととなる。折からのフランス海軍との軍拡競争で新技術導入を画策していたイギリス企業は技術テストも兼ねて大々的にイタリア海軍に対する技術提供を行い、急速な技術革新を見せたイタリア海軍は、伊土戦争ではオスマン帝国海軍を行く先々で一蹴する大戦果を挙げて戦争の早期終結に貢献、続く第一次世界大戦ではオトラント海峡封鎖作戦によってオーストリア=ハンガリー帝国海軍の抑え込みに成功、イタリアは一躍地中海有数の海軍国となった。
しかしながら第一次世界大戦終結後の経済不安によって予算不足に陥ったイタリア海軍は装備の更新もままならない状況が続き旧式化が進行しつつあった。そんな中で政権を獲ったファシスト党統領のムッソリーニは、地中海イタリア化・ローマ帝国復興を宣言して、その一環として海軍艦艇の整備を命じた。折からの膨張政策によって活発化したイタリア経済の下、駆逐艦や巡洋艦の建造がはじまった。しかしこれによって危機感を受けたフランス海軍が続々と新型艦艇を建造、工業力の劣るイタリアは新型戦艦の建造と旧型戦艦の近代化改装によってこれに対抗しようとしたが、近代化改装を2隻に施しただけの段階で第二次世界大戦が勃発、最新鋭戦艦ヴィットリオ・ヴェネト級戦艦2隻が就役したものの、ドイツの勝利に眼が眩んだムッソリーニは戦争準備も整っていない段階の1940年6月10日に連合国に宣戦を布告し参戦してしまう事となってしまった。
外交戦略の失敗によって国際的に孤立したイタリアは石油の輸入も出来ない状態であり、イタリア海軍は第二次世界大戦の間終始燃料不足に陥っていた。そのため主力艦は作戦行動どころか訓練もままならない有様であった。更にフランス・イギリス艦隊はイタリア海軍を上回ることから首脳部は艦隊保存策をドクトリンとした。だが幸いにもフランスが21日に降伏し、長年ライバルと目していた彼の国の海軍との交戦はフランス海軍のジェノヴァ砲撃に留まっていた。
地中海の戦いは北アフリカなどを巡り戦う枢軸・連合軍への補給物資を届ける彼我のシーレーンへの攻撃・防衛、そしてイタリアの喉元に位置するイギリス領マルタ島へのシーレーンを巡る攻防戦が主であった。
7月9日にはリビア向け船団を護衛する艦隊司令長官イニーゴ・カンピオーニ中将率いる第一艦隊(戦艦主力)・第二艦隊(重巡洋艦主力)からなるイタリア艦隊が、マルタからアレキサンドリアへの船団護衛に出撃したイギリス地中海艦隊とジュトラント海戦以来の大規模な海戦を演じたが、戦艦2隻に対して相手は戦艦3隻と空母1隻を持つとはいえイタリア艦隊は積極性に欠け、さほどの損失も無いうちに撤退した。またイタリア空軍も艦隊支援に参加したが、その高高度からの水平爆撃は正確ではあるものの命中弾を得ず、更に艦艇の識別訓練不足かイタリア艦隊も誤爆する始末であった。その後も海軍は空軍の支援を受けるも、水平爆撃主体の空軍の爆撃法では、後にドイツより供給されるJu87による急降下爆撃法まで効果的なものではなかった。(カラブリア沖海戦)
19日のスパダ岬海戦では軽巡洋艦2隻がイギリス軽巡洋艦1隻、駆逐艦5隻と交戦し、バルトロメオ・コレオーニを損失して敗退。10月12日のパッセロ岬沖海戦では夜間に軽巡洋艦2隻を駆逐艦4隻、水雷艇3隻で襲撃したにもかかわらず、相手のレーダーと夜間訓練の差で駆逐艦1隻、水雷艇2隻を失い敗れるなど相手に対して技術・錬度に劣っている問題が露出し始めていた。
それでも新鋭戦艦も実戦に投入できる状態となり、更に近代化された旧式戦艦も新たに加わったイタリア艦隊は積極的にイギリス船団攻撃の為に出撃したが、イギリス側がこれを避けた為に会敵できなかった。
そしてイタリアのギリシャ侵攻の支援の為に拠点であったタラント海軍基地に集結していた艦隊は11月11日から12日の夜間にイギリス地中海艦隊による空母イラストリアスから飛び立ったの夜間空襲を受け、最新鋭戦艦リットリオを含む戦艦3隻が大破着底する大損害を受けてしまう。これにより地中海での活動可能戦艦のバランスシートはイギリス側に大きく傾く事になり、ナポリに撤退した艦隊は以後艦隊保存策を強め、11月27日のスパルティヴェント岬沖海戦でも船団攻撃に出撃したイタリア艦隊は護衛のイギリスのH部隊が増援部隊と合流して既に戦艦数で同数となり数で優勢でないのを知り撤退するなど活動は消極的となっていった。
海陸と敗北続きのイタリアではあったが、その状況に危機感を抱いたヒトラーがその支援にエルヴィン・ロンメル率いるアフリカ軍団と第十航空団を派遣し、アフリカ軍団が北アフリカで逆襲に転じ、シチリア島に進出した第十航空団も所属のJu87が1941年1月10日にイラストリアスを撃破するなどでイタリア軍は一息つくことが出来た。
だが陸軍のギリシャ進攻を支援していたドイツ軍からギリシャを支援しているイギリス軍の補給路寸断を要請され、カンピオーニ提督の後任であるアンジェロ・イアキーノ中将に率いられた艦隊は船団攻撃の為に大規模な出撃を行い、3月28日には交戦状態に入るも約束されたドイツ空軍の支援は皆無に近く、迎撃してきたイギリス地中海艦隊は空母フォーミダブルとクレタ島の空軍から支援されている状況に後退するがイギリス側の追撃も厳しく、損傷した旗艦戦艦ヴィットリオ・ヴェネトは撤退に成功したものの重巡洋艦3隻、駆逐艦2隻を失う大損害を受け、制海権も著しく損なった。(マタパン岬沖海戦)
しかし5月にドイツ軍がクレタ島に侵攻し、6月1日にイギリス側がクレタ島から撤退するまでにその支援でイギリス地中海艦隊はバルカン半島よりドイツ軍を支援してきたドイツ第八航空軍団により巡洋艦4隻、駆逐艦6隻を失い、戦艦2隻、空母1隻が損傷する大損害を受け、バランスシートは再び枢軸側に傾くと思われたが、6月22日のドイツによるソ連侵攻により第八航空軍団も地中海から転出され、圧力が減じたイギリス艦隊の北アフリカ・マルタへの補給、そしてマルタからの枢軸軍の北アフリカ補給線遮断活動は活性化し、11月9日にはデュースブルク船団を、12月13日にはボン岬沖海戦で補給物資のガソリンを満載した軽巡洋艦2隻からなる輸送部隊をイタリア海軍の不得手な夜戦で全滅させた。
一方、イタリア艦隊も8月にはタラント空襲、マタパン岬沖海戦などでの損傷戦艦の修理が完了し、9月のWS11X船団攻撃への出撃(護衛部隊が優勢なのを知り撤退)、12月の第一次シルテ湾海戦での船団護衛など大規模な活動を再開した。そしてイタリア海軍特殊潜航艇部隊は12月19日にアレクサンドリア軍港でイギリス戦艦2隻を大破着底させた。これは11月14日に空母アーク・ロイヤルがU-81に、25日に戦艦バーラムがU-331にと地中海に進出していたドイツ潜水艦に撃沈された事と相まって一気に海軍バランスシートはイタリア側に傾いた。
更にマルタ島の重要性を理解したドイツ側も11月にはドイツ第二航空艦隊、第二航空軍団を地中海に進出させ、1942年1月から5月までマルタ島に猛爆撃を敢行し飛行場・港は機能をほぼ停止し、北アフリカへの補給線への安全をほぼ確保できた。
しかし優勢な状況にありながら燃料不足は深刻化し1942年には旧式戦艦は新鋭戦艦と他艦艇を運用する為に活動を停止し、3月のMW10船団、6月のMW11船団、MW4船団といったマルタ島へのイギリス輸送船団をイタリア海軍はドイツ・イタリア空軍、Uボートの協力のもとほぼ阻止したものの、8月のWS21S船団攻撃には遂に戦艦の投入も見送られるほど燃料事情は悪化し、空海からの猛攻で大損害を与えたものの船団の完全阻止にも失敗したことでマルタ島は息を吹き返した。
これを機に戦局は悪化していき、再び補給困難となったドイツアフリカ軍団・イタリア軍は10月24日からの英軍攻勢に敗退し、11月8日にはモロッコ・アルジェリアに連合軍が上陸した。
それでも北アフリカへの補給活動はイタリア海軍によって細々と続けられたが、1943年には潜水艦すら運用困難な燃料事情に陥いり、5月13日に北アフリカの枢軸軍は降伏した。
また空襲を避けてナポリからラ・スペツィアに移動したイタリア艦隊はそこでも空襲に晒されるようになっていた。
連合軍により7月シチリア上陸(ハスキー作戦)が開始されると、艦隊司令長官カルロ・ベルガミーニ中将はこれを迎撃せんと残った燃料をかき集めて主力艦隊による連合国輸送艦隊への決戦を挑もうとした。しかしムッソリーニの失脚により停戦交渉が行われるとこの出撃は中止され、連合国軍への合流を行う事となった。この時、合流を阻止しようとドイツ空軍は開発中の新兵器フリッツXによる戦史上初の対艦ミサイル攻撃を敢行、直撃した旗艦である戦艦ローマが沈没している。
戦艦
- カイオ・デュイリオ級: カイオ・デュイリオ エリンコ・ダンドロ
- イタリア級: イタリア レパント
- ルッジェーロ・ディ・ラウリア級: ルッジェーロ・ディ・ラウリア アンドレア・ドリア フランチェスコ・モロシーニ
- レ・ウンベルト級: レ・ウンベルト シチリア サルデーニャ
- エマニュエレ・フィリベルト級: エマニュエレ・フィリベルト アミラーリオ・ディ・サイント・ボン
- レジナ・マルゲリータ級: レジナ・マルゲリータ ベネデット・ブリン
- レジナ・エレナ級: レジナ・エレナ ヴィットリオ・エマニュエレ ナポリ ローマ
- ダンテ・アリギエーリ
- コンテ・ディ・カブール級: コンテ・ディ・カブール ジュリオ・チェザーレ レオナルド・ダ・ヴィンチ
- カイオ・ドゥイリオ級: カイオ・ドゥイリオ アンドレア・ドリア
- ヴィットリオ・ヴェネト級(リットリオ級): ヴィットリオ・ヴェネト リットリオ インペロ ローマ
軽巡洋艦
- アルベルト・ディ・ジュッサーノ級:アルベルト・ディ・ジュッサーノ アルベリコ・ダ・バルビアーノ バルトロメオ・コレオーニ ジョヴァンニ・デレ・バンデ・ネーレ
- ルイージ・カドルナ級:ルイージ・カドルナ
- ライモンド・モンテクッコリ級:ライモンド・モンテクッコリ ムツィオ・アッテンドーロ
- エマヌエレ・フィリベルト・デュカ・ダオスタ級:エマヌエレ・フィリベルト・デュカ・ダオスタ エウジェニオ・ディ・サヴォイア
- ルイージ・ディ・サヴォイア・ドゥーカ・デッリ・アブルッツィ級:ルイージ・ディ・サヴォイア・ドゥーカ・デッリ・アブルッツィ ジュゼッペ・ガリバルディ
- カピターニ・ロマーニ級:アッティオ・レゴロ スキピオーネ・アフリカーノ ポンペオ・マーニョ
戦艦少女:
カイオ・ドゥイリオ級(ゲーム中ではアンドレア・ドーリア級表記):アンドレア・ドーリア、
ヴィットリオ・ヴェネト級:ヴィットリオ・ヴェネト
ナヴィガトリ級:アントニオ・ダ・ノリ ウゴリーノ・ヴィヴァルディ
ソルダティ級:カミチア・ネーラ アヴィエーレ
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