概要
ボルツァーノは、イタリア海軍最後の重巡洋艦である。トレント級をベースにしており、そのため同型艦とされることもある。命名は、イタリアの都市ボルツァーノにちなむ。
防御力を重視して建造されたザラ級であったが、その反面速度が落ちてしまい、速度の切り札として造られたのが本艦である。上記の通り、トレント級と同様の軽防御高速艦であるが、船体スタイルや兵装はザラ級(正確にはザラ級3番艦のポーラに似た設計とした。そのため艦橋と前部煙突が一体化したものとなっている)を踏襲しており、主砲もザラ級と同じ新型の53口径8インチ連装砲が搭載されている。
本艦の最大の特徴として、航空艤装が装備されている。これまで艦首部にあって埋め込み式だった水偵用カタパルトは艦中央部に移され(このためザラ級よりも前後煙突の間隔は広くなっている)、 限定式ながら左右に旋回できるようになったため水偵運用の制限は格段に改善されている。
第二次世界大戦では数度の損傷を受けており、1942年~43年にかけての修理の際には航空母艦への改造計画も浮上したが、この計画は立ち消えとなってしまい休戦を迎えている。イタリア降伏後はドイツ軍に接収されているが、1944年に英軍特殊潜航艇の攻撃により沈没してしまった。