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ワイオミング級の編集履歴

2015-03-01 16:15:24 バージョン

ワイオミング級

わいおみんぐきゅう

アメリカの戦艦の艦級のひとつ。

概要・建造の経緯他



ワイオミング級戦艦はアメリカ海軍の戦艦であり、12インチ砲を装備する最後のド級戦艦である。


ドレッドノートの登場に前後して整備されたサウスカロライナ級の就役以降、

単一巨砲艦の整備を進めていたアメリカ海軍は、1910年度の計画にて外国戦艦に対抗するに十分な14インチ(35.6センチ)砲搭載艦の整備を考慮した。


しかし、当時のイギリスが超ド級戦艦を保有していなかったことから、

コストパフォーマンスに優れ、かつ14インチ砲10門搭載艦に対抗可能な12インチ(30.5センチ)砲12門搭載艦を整備することとなった。


結局、12インチ砲艦として建造されることになった本級だが、

2隻が竣工した1912年には超ド級戦艦の時代が到来しており、散布界が不良であったことも含めて、

攻撃力に問題があると評価された。


しかしながら、本級2隻は改装を受けつつ、1940年代まで活動しており、

特にアーカンソーは第二次世界大戦に従事した唯一の米ド級戦艦であった。



主砲



本級は主砲として12インチ50口径砲を連装6基、計12門を装備し、

各砲塔は2基ずつ背負い式で配置されている。


しかしながら、船体サイズに比して多すぎる砲塔は斉射時の動揺を劣悪なものとし、

さらには軽量弾を高初速で撃ち出す主砲の仕組みが災いして、散布界がとくに不良であった。


また、竣工時には射撃指揮装置が未装備であったため、効率的な射撃は困難であった。


その後、主砲塔上に測距儀が搭載された他、砲弾の改良や装薬量の調節などの改良は行われており、

海軍休日に至るまでの間に攻撃面での不良はある程度改善されたと思われる。


因みにアラスカ級大型巡洋艦の主砲は本級の主砲を改良し、SHSの運用を可能にしたものである。



副砲、その他装備など



本級は5インチ51口径砲を21門装備し、水中魚雷発射管2門を装備する。


竣工時点では高角砲など対空兵装は装備されていなかったが、

1916年に3インチ50口径砲を追加で装備され、1928年には12.7ミリ機銃が装備された(この時には雷装撤去済み)。


対空兵装に関して、ロンドン条約締結に際して改装されたワイオミングは砲術練習艦として各種の対空兵器が搭載されており、

特に40mm機銃の四連装モデルがワイオミングで試験されて採用に至ったことは有名(?)で、

第二次大戦の勃発を受けて改装されたアーカンソーもこれに加えて28mm機銃や20mm機銃といった対空兵器を増設した。



防御



本級の装甲配置は米ド級戦艦として一般的なもので、部分的な増減はあるものの、概ねサウスカロライナ級~フロリダ級と共通である。


水雷防御に関しても特に注目する点はないが、後の観点からすると脆弱なものであると考えられる。


海軍休日時代には装甲の強化が実施され、また戦艦ミシガンの籠マスト倒壊事故を受けて後部マストを三脚マストに改めたが、

前部マストの更新は実施されず、第一線を退く本級の改装規模は他の旧式戦艦と比べた戦略的価値の低さを示したと言える。



機関



本級は竣工時点で石炭・重油混焼ボイラを備え、20knの速力が発揮可能だった。


デラウェア級以降、米ド級戦艦の速力は20knに設定されており、同時期のイギリス戦艦コロッサス級の速力は21knであることも考慮すると、速力は適当であったと考えられる。


第一次大戦後にはボイラを換装して重油専焼缶としているが、

この換装によって燃費が向上し、機関出力が上昇したことで速力もまた増加。航続力が増したことで対日渡洋作戦に随伴可能な能力を獲得することとなった。



艦歴



ワイオミング級として



本級は1912年の就役以降、大西洋艦隊に属していたが、

第一次大戦が起こるとイギリス艦隊への参加が決まり、追加訓練を受けた後に北海方面にて主に船団護衛に従事した。


戦後、ワシントン条約にて戦艦の建造が不可能になり、

1925年~1927年の間に近代化改装を受ける。既に第二線級であった本級の改装は小規模なものであった。


1930年にはロンドン条約の締結がなされて、

ワイオミングは廃艦となって砲術練習艦に改装され、保有を認められたアーカンソーについても決戦兵力から除かれて練習戦艦として扱われた。


本級は性能の陳腐化と老朽化に伴い、条約明けの新戦艦の就役に合わせて退役することが決められた。



砲術練習艦ワイオミング



ロンドン条約にて廃艦が決まったワイオミングは主砲塔3基を撤去、装甲を減じて砲術練習艦となる。(艦種記号をBB-32からAG-17に変更。AGはAuxiliary Genericの略か、雑役艦の意。)


1940年頃には雑役艦ユタと同様の無線操縦可能な標的艦に改装することが考慮されたが、

第二次大戦の影響か、対地火力支援が可能な対空練習艦にこととなった。


この改装でワイオミングは副砲を撤去して、5インチ38口径砲(単装)を搭載した他、40mm四連装機銃の試作・搭載が試験的に行われた。


40㎜機銃の四連装モデルはワイオミングでのトライアルの後に採用され海軍艦艇に積極的に搭載されるようになる。


1944年には主砲搭を撤去して、5インチ38口径砲の連装砲架やレーダー搭載の射撃方位盤・Mk.37を搭載し、前部籠マストを撤去した。


以降、ワイオミングは対空射撃訓練艦として活動し、終戦後の1947年に除籍された。



練習戦艦アーカンソー



ロンドン条約においても保有が認められたアーカンソーであったが、その能力は陳腐化しており、実質練習戦艦の扱いであった。


しかしながら、第二次大戦の勃発により大西洋方面での戦艦戦力捻出の必要性が生じると、

アーカンソーは大幅な近代化改装が実施されて、戦列に復帰した。


改装によって前部マストは三脚化されて、その頂上部には射撃レーダーを設置された。後部マストには捜索用レーダーが装備され、対空機銃が増設された。


大西洋では主に船団護衛や艦砲射撃任務につく。

北アフリカ侵攻の作戦支援に従事し、オーバーロード作戦やアンヴィル作戦では艦砲射撃を行ってドイツ軍海岸砲台との砲撃戦を経験した。


1945年には太平洋方面に回航され、硫黄島攻略、沖縄戦での支援任務に従事。

同年8月のフィリピンで終戦を迎えた。


その後、復員作業に従事すると、

1946年、クロスロード作戦に標的艦として参加した。


アーカンソーはABLEの空中爆発を耐えたが、BAKERの水中爆発を受けて沈没した。

この時、アーカンソーが水柱に持ち上げられる様子が画像に残っており、核爆発の威力を物語る上で重要な資料となっている。


1946年に除籍。船体はビキニ環礁に沈没したままとなっている。



同型艦



・BB-32(AG-17) Wyoming


・BB-33 Arkansas


艦歴を個艦別に記載したので、注釈は省略。



関連タグ



戦艦 アメリカ海軍

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