解説
擬人法(または活喩法)とは、狭義には、動物あるいは生命のない物体に人間の特性を持たせること、
または、擬人観(anthropomorphism)の言葉で語る文章の表現技法(修辞法)のこと。
英語では、“prosopopoeia”といい、語源はギリシャ語のπροσωποποιίαで「面」「人」「作ること」の意味である。
類義語との関係
擬人観
擬人観とは、とは人間以外の動植物、無生物、事物、自然、概念、神仏などに対し人間と同様の姿形・性質を見いだすこと。
言い換えれば、概念を認識する際の方便として、その概念を人に擬(なぞ)らえて認識することを指す。
古代ギリシア・ローマ由来の正義の女神や自由の女神なども、抽象概念を神柱としたものであり、この一種である。この場合、比喩表現の一種としてアレゴリー(allegory)とも呼ばれる。
この意味では、英語では“anthropomorphism”(「人として捉えること、人として扱うこと」の意味)が使われるが、
“personification”(「人格をもたせること、人格あるものとして扱うこと」の意味)の訳語として用いられることもある。
しかし、personificationは、anthropomorphismよりも広い意味を持つ。
そのため、厳密にはanthropomorphismは「人間形態化(観)」とでも翻訳しうるが、
実際には厳密に区別せずどちらも「擬人化(観)」と訳すことがほとんどである。
擬人化
擬人化とは人間以外のものを人物として、人間の性質・特徴を与える比喩の方法である。
このような性質・特徴を持たされた比喩的存在には、感覚、感情、願望、身振り、表現力、言語能力などがある。
この擬人化の歴史は非常に古く、古代ギリシャの修辞法である擬人法(prosopopoeia)にまで遡る。当然、上述の「擬人観」も包括する概念である。
擬人法の例として「鉛筆が手から飛んだ」、「木が私の車の前の道に飛び跳ねた」、「凶悪なしかめっ面をして、暗雲が不満を怒鳴りつけた」など擬人化は詩や他の芸術でも幅広く使われる。
英語ではこの場合は特に、“personification”といい、更に厳密に区別するために“personification anthropomorphism”という語が用いられることもある。
関連項目
※日本のサブカルチャー分野における「擬人化」という用語については、「擬人化」の項目を参照のこと。