概要
豊穣と性愛と戦争の女神イナンナ(アッカド語名:イシュタル)の姉でライバルでもある女神。
その名は「大いなる地(冥界の婉曲表現)の女王」の意味で、アッカド語では「アラトゥ」という名で呼ばれ、地下世界に存在する冥府「クル・ヌ・ギ・ア(還らずの地)」にある7重の門に守られた居城ガンジルに住み、ナムタルという神を伝令として従えている。
彼女の夫は古くはグガルアンナ(天の大いなる牛の意)、古バビロニア時代以降はネルガル(エラ)で、バビロニアの都市クタ(アッカド語:クトゥ、ヘブライ語:クター)では彼女を奉る主要な神殿があった。
(クタは、ネルガル等、他の冥界神達の信仰の中心地でもあった。(旧約聖書『列王記 下』17章30節でもクタにおけるネルガル崇拝に関して語られる部分がある。))
イナンナの冥界下り
冥府までやってきたイナンナとエレシュキガルの対決が描かれており、エレシュキガルの勝利に終わる。
その後、敗れたイナンナが地上に帰還するための身代わりとして、その恋人で牧畜の神ドゥムジと、ドゥムジの姉ゲシュティンアンナ(天の葡萄の意)が半年おきに交互に冥界に下ることとなり、彼らの入れ替わりが季節の移り変わりを説明しているとされる。