概要
東方Projectに登場する少名針妙丸と宇佐見菫子のカップリング。
針妙丸は『東方輝針城』、菫子は『東方深秘録』にそれぞれ初登場した。
両作品は東方Projectの作品ナンバリングにおいていずれも「 第14弾 」の範疇であり、『輝針城』は「 第14弾 」、『深秘録』は「 第14.5弾 」にあたる。
両作品の間には「 第14.3弾 」として『弾幕アマノジャク』及びイベント限定公開(2015年8月時点)の『弾幕アマノジャク ゴールドラッシュ』が発表されている。
針妙丸と菫子の両者は『深秘録』で対峙しており、『深秘録』作中では互いの個性に基づく特徴的な物語が展開された。
『東方深秘録』
菫子は『深秘録』において「外の世界」の人間として幻想郷に存在する多様な存在と様々に出会う訳であるが、外側から怪異をもたらすように介入しているという事実もあって得てしてその出会いは摩擦の多いものであり、菫子の接し方もまた相手を挑発するようなものであることが多かった。
しかしそんな中にあって、菫子は針妙丸に対しては全く異なる反応を示した。
小人である針妙丸を「 かわいい 」と感じたのである。
その「かわいさ」は主に愛玩的・「 ペット 」的なかわいさの認知であったようで、針妙丸との最初の出会いにおいては菫子が針妙丸を捕まえようとする行動が展開された。
針妙丸からすればたまったものではなく、菫子の魔の手から逃れるべく奮闘せざるを得ない状況に陥った。『深秘録』の針妙丸は他者に対して鋭い発言が多いが、菫子についてもその様を指して「 変態 」と称している。
しかし例によって両世界の結界の隔たりによって菫子の針妙丸捕獲は失敗し、針妙丸は幻想郷で平穏を得られるかに見えた。
だがその後二ッ岩マミゾウらの罠にかかり幻想郷へとやってきた菫子が幻想郷を逃亡する過程で針妙丸が滞在していた自身の根城である輝針城に至ったことでここで再度遭遇することとなる。
この際菫子は同じ人間であるはずの霧雨魔理沙にも追い立てられた直後という事もあって精神的にもかなり疲弊していたようであるが、針妙丸と再会したことで菫子は息を吹き返している。
そして「 幻想郷の怖い夜 」(茨木華扇評)の最中にある事もひと時時忘れたように「 こんな生き物が居るんなら幻想郷(こっち)も捨てたもんじゃないわね 」と語るのである。
針妙丸「 あー、あの時の変態! なんで私の根城に居る! 」
菫子「 きゃー やっぱり可愛いー! 癒されるー 」
ただし菫子の置かれた状況が状況であるだけに針妙丸との決闘の後菫子は再度逃亡へと入り、針妙丸が捕獲されることは無かった。『深秘録』の異変においては両者の出会いはこれでひとまず終了する。
異変の後
異変が解決し、外からの来訪者である菫子が遮断されたことで針妙丸の身は再び安泰になるかに思われた。
しかし菫子は『深秘録』の異変の最中とは別の形で幻想郷へとやってくる方法を本人の意図とは他に見出し、実際に博麗神社を訪ねている。
その際の博麗霊夢と会話において菫子が針妙丸を諦めていない事が語られ、
この会話の中で菫子はおそらく針妙丸のことであろうが「 ペットにしたい 」と明言しており、針妙丸の恐怖の日々がなおも続くやもしれない可能性が示唆されている。
ただし針妙丸が関わりをもった『深秘録』で流行した都市伝説である「 緑色の方 」(緑の小人)は菫子は好みではない様子(対戦モード・対針妙丸戦菫子勝利セリフ)。
このときの霊夢との対話をみるとき、『輝針城』や『東方鈴奈庵』で語られているように霊夢は博麗神社で『輝針城』以後の針妙丸を保護しているが、「 ペット 」にしたい対象としての針妙丸の具体的な名前が出なかったためか同会話中では霊夢側からの反応は無い。
この他異変後と思われる対戦モード(針妙丸対菫子)での会話では、針妙丸が勝利すると菫子の手から逃れられるようであるが、菫子が勝利すると針妙丸は捕獲されるようである。ただし「 夢の中 」であることもあって「 持って帰れる 」かどうかは不明な様子である。
『深秘録』以後針妙丸の所在が博麗神社にあるのかどうかは2015年8月時点では語られていないが、菫子は幻想郷に来ると博麗神社に「 匿ってもらう 」こともあるようであるので、もし針妙丸が博麗神社に居る場合、自身の身の危険がその所在地にいながら発生するという事態にもなるようである。
深秘録において菫子は当初こそ自身のペースであったものの幻想郷側からの策によってその精神をすり減らす体験を幻想郷側で重ねることとなった。具体的な「 夜の怖さ 」を体験することとなったのである。そんな中にあって針妙丸のかわいさは菫子にとって本人も称するように癒しであったようで、ストーリー中でも(針妙丸の個性も相まって)張り詰めた緊張感とは異なる特別な雰囲気を醸すエピソードともなっている。
二次創作では
二次創作では、やはり『深秘録』作中で見られたような菫子による針妙丸捕獲のための多様な試みが展開される様子が描かれる事も多い。
ただしその具体的な内容・ありかたは様々で、菫子側の熱意がかなり本気である事もあれば、あるいは針妙丸とのコミュニケーションのあり方の一つとして、いわばごっこやじゃれあいを求めるような形で描かれる事もある。
ただし得てして菫子側の針妙丸を愛でたい思いは針妙丸にとっては身の危険と受け止められる事も少なくない。
一方で針妙丸と菫子は各作品で共に異変の中心的人物として登場した両者でもあり、同時にその異変の背後には実は別の意図が介在していたという共通点もある。異変の経緯など平行して見る時それぞれを取り巻く人間関係にはシリアスな過程を経た共通点もあるなど、創作によっては単にコミカルな間柄だけではないシリアスなアプローチによって針菫の物語を見出すものもある。
二次創作においては互いの出会いや具体的なシーン、あるいは境遇など多角的な視点からも、針菫ならではのストーリーのあり方が見出されているのである。