概要
アンデルセンが経済的に全く恵まれない少女時代を送った母親をモデルにして作ったといわれる作品。
一部では『貧しい者に差し伸べない』上流階級層の人々を皮肉ったものともいわれている。
あらすじ
年の瀬も押し迫った大晦日の夜。小さな少女が一人、寒空の下でマッチを売っていた。
マッチが売れなければ父親に叱られるので、すべて売り切るまでは家には帰れない。
しかし人々は年の瀬の慌ただしさから、少女には目もくれずに通り過ぎていった。
夜も更け、少女は少しでも自分を暖めようとマッチに火を付けた。
すると、マッチの炎と共に暖かいストーブや
七面鳥などのごちそう、飾られたクリスマスツリーなどの幻影が一つ一つと現れ、
炎が消えると同時に幻影も消えた。
流れ星が流れ、少女は可愛がってくれた祖母が「流れ星は誰かの命が消えようとしている象徴なのだ」と
言った事を思いだした。
次のマッチをすると、亡くなったはずの祖母の幻影が現れた。
マッチの炎が消えると、祖母も消えてしまうことを恐れた少女は慌てて持っていたマッチ全てに火を付けた。祖母の姿は明るい光に包まれ、少女を優しく抱きしめながら天国へと昇っていった。
そして新しい年の朝、少女はマッチの燃えかすを抱えて幸せそうに微笑みながら死んでいった。
しかし人々は少女がマッチの火で祖母に会い、天国へのぼったことなどは誰一人も知る事はなかった。
備考
改良版では、大晦日が子供たちに分かりにくいためかクリスマスに変更されてる事が多い。
しかしこちらでは少女が馬車に轢かれそうになって転んだ拍子にマッチをほとんど雪でダメにしてしまったり、いたずらっ子に靴やストールを取られてしまうなど、むしろ原点版よりも散々な目に合いまくっている。
またこちらのパターンでは教会の前で雪だらけになって死んでいる所を牧師さんに発見され、人々は少女に救いの手を差し伸べてあげなかった事を嘆き悲しむ。
その後少女の遺体は教会で手厚く葬られ、牧師さんは教会のミサで「この様な悲劇を起こしてはならない」と諭して終わるといういわゆる教訓的な結末を迎えている。