概要
戦艦ダンテ・アリギエーリに引き続き、イタリア海軍が第一次世界大戦中に竣工させた2番目の弩級戦艦の艦級である。イタリアらしくスタイリッシュにまとめられた艦型をしており、艦の両端に近い主砲塔は3連装、艦中央側の砲塔は連装となっている。ただし主砲口径は竣工直後の30.5センチ(12インチ)から大改修の際に32センチへ拡大されている(金剛型戦艦よりは少し小さい程度)。
解説
副砲は前級に引き続き速射性を重視して「1909年型12cm(50口径)速射砲」を採用した。これを最上甲板の下方に三番主砲を中心として放射線状に、片舷に単装砲9基を配置し計18門を装備した。前方方向に最大8門、左右方向に最大9門、艦尾方向に最大6門が指向出来た。その他に対水雷艇迎撃用に「7.6cm(50口径)速射砲」を単装砲13基を1・3・5番主砲塔の上に3門ずつ、2番・4番主砲塔の上に2門ずつ計13門配置した。後に「7.6cm(40口径)高角砲」を単装砲6門、45cm水中魚雷発射管3基を装備した。
防御方式は前級より踏襲した全体防御方式を採用しており、艦首尾部までの舷側全体にまで装甲が張られた。水線中央部の前後部主砲塔間が250mm装甲、艦首尾部が110mm装甲が貼られ水線上1.2mから水面下1.6mまでを防御した。また、水線上部の中央舷側部にも220mmから130mmにテーパーする装甲が張られており重防御であった。ケースメイト式副砲部は110mm装甲でこの当時の軽巡洋艦級の主砲弾に耐えうる防御であった。主砲前盾は280mm、バーベット部が280mmであったが、これは同世代の弩級戦艦ドレッドノート級の水線中央防御部こそ280mmであったが両端部200mm、艦首尾部に至っては100mmしかない事に比較しても遜色の無い重防御であるといえる。
3隻とも第一次大戦中に竣工したが大きな作戦に参加したことはなく、3番艦である「レオナルド・ダ・ヴィンチ」は1916年に爆発事故をおこし沈没、浮揚されたものの再度転覆したため放棄されてしまった。
残った2隻「コンテ・デ・カブール」と「ジュリオ・チェザーレ」は1930年代に近代化改修を受け、第二次大戦にも参加し、「ジュリオ・チェザーレ」がカラブリア沖海戦やスパルティヴェント岬沖海戦などの大戦初期の海戦で英艦隊と砲火を交えたがそれ以外は軍港の防御に徹し(英軍航空機による封じ込めが大きな原因であるが、タラント軍港襲撃などでイタリア戦艦の弱い防御力を露呈してしまい、イタリア海軍当局が大型艦による積極的な攻勢を行わなかったのも大きな要因であろう。)、「コンテ・デ・カブール」は休戦に際して自沈した。戦後「ジュリオ・チェザーレ」はソビエトへ賠償艦として引き渡され、沈没した。
同型艦
一番艦・コンテ・ディ・カブール 二番艦・ジュリオ・チェザーレ 三番艦・レオナルド・ダ・ヴィンチ
No | 艦名 | 工廠 | 起工 | 進水 | 竣工 | 戦没 |
一番艦 | コンテ・ディ・カブール | ラ・スペーツィア | 1910/08/10 | 1911/08/10 | 1915/08/01 | 1948(解体) |
二番艦 | ジュリオ・チェザーレ | ティレニア | 1910/06/24 | 1911/10/05 | 1914/05/14 | 1955/10/29 |
三番艦 | レオナルド・ダ・ヴィンチ | オデロ | 1910/07/24 | 1911/10/14 | 1914/05/17 | 1923(解体) |
関連タグ
前級:ダンテ・アリギエーリ(戦艦) 次級:カイオ・ドゥイリオ級戦艦