遠月卒業生である四宮小次郎(先輩)と在校生である田所恵(後輩)の年の差カップリング。
合宿編における非公式の食戟では堂島氏の見事な機転・采配及び創真のナイスサポ-トもあり、恵は初めて真剣に料理と向き合い本来の実力が遺憾無く発揮された事で、斬新且つセンスの光る渾身の「虹のテリ-ヌ」完成へと至る。
そんなホスピタリティ溢れる恵の料理のお陰で、四宮は幼き日の母との思い出を想起する程に母の愛を感じる心こもりし温かく優しい料理に心解け癒されたと同時に忘れかけていた大切な気持ちも思い出し、結果長年孤独で闇に囚われし頑なな心も一筋の涙と共に浄化され、一夜にして嘗ての若かりし頃を彷彿とさせる情熱に満ち溢れる四宮へと覚醒を果たす。
かく言う恵も理由はどうあれ日本を牽引する憧れの卒業生・四宮との貴重な食戟を経て強力な武器(ホスピタリティ)と共に度胸・自信がつき、最悪な出会いに始まり真逆な性格の二人がこの日を境に双方共に年齢・立場に拘わらず一料理人として成長・前進し合えた意味ある関係は、実に素敵な巡り会わせであると言える。
現にこの食戟を通し「和仏折衷珠玉の一皿=恵流フレンチスタイル」を目の当たりにし強い刺激を受けた事により、今までは「シュー・ファルシ」然り「9種の野菜のテリ-ヌ」然りと五基本味の一つ「甘味」に焦点を当て、レギュムの魔術師らしく野菜の甘味を最大限生かす調理工夫が成され美味さを堪能する料理であったのに対し、現在(14巻)では賄いの「ゴボウのキッシュ」を見るや明らかに食戟以前と異なり「フランスと日本の(食材)融合」に加え、今度は五基本味の一つ「旨味」を重視した和テイストな料理(創作)へと大きくシフトし、自身の料理へ昇華させている事が分かる。