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概要
核戦争により荒廃した世界を冒険するポストアポカリプスRPG『Fallout』シリーズの第4作。
ナンバリングタイトルではなく、BethesdaSoftworksが権利を買収し、開発した前作『Fallout3』からのスピンオフ作品だが、『Brotherfood of Steel』などの番外編と違い、オープンワールドRPGとしてナンバリングタイトルに並ぶボリュームを持った、事実上のメインシリーズ作品である。
核戦争後のアメリカを冒険するRPGであるのは前作までと同様で、FPSの要素を多く取り入れたRPGというシステムも、『Fallout3』をほぼ踏襲している。
今回の舞台は、かつてのラスベガスである『ニューベガス』周辺地域。
そして、前作では無かった新しい要素として、「ギャンブル」が新たに登場する。
物語
2077年、「大戦争」が起こった。
それまでの人類の戦争すべてを合わせたよりもなお大きい火力――大量の核兵器の応酬により、世界は壊滅した。
だが一部の人々はVaultと呼ばれる核シェルターで生き延びた。
核の脅威が過ぎ去った後、彼らは今や「不毛の大地(ウェイストランド)」と化した地上に再び進出し、逞しく根付き、各地の廃墟などを拠点に生活を始めた。
一方、幸運にも核戦争の被害を免れた地域もあった。
アメリカ西海岸――かつてラスベガスと呼ばれた街もそのひとつだった。
かつての文明の名残を残し、きらびやかなネオンサインが輝き続けるこの街は、『ニューベガス』と名前を変えて人々に親しまれた。
それから200年余りが経った、2281年10月19日。
ある運び屋――プレイヤーである『あなた』は、ニューベガスへ向かっていた。
『ある物』を届けるだけの簡単な任務だった。
しかしあと一息という時、謎の男たちに待ち伏せを受け、荷物を奪われた上、頭を撃たれて埋葬されてしまう。
偶然にもその現場を目撃していたロボットによって掘り返され、汚染を免れた水源地グッド・スプリングスの医者ミッチェルに助けられた『あなた』は、再びニューベガスを目指して旅に出た。
自分の荷物を奪った、あの「チェック柄のスーツの男」を追うために。
内容
前作『Fallout3』の続編として、システムや世界観をそっくり受け継いでいる。
一言でいえば、FPSの操作体系を取り入れた、非常に自由度の高いオープンワールドRPGである。
ロールプレイの幅は非常に広く、困っている人々を助ける英雄として旅をしてもいいし、
悪逆非道の無頼漢として出会う人々を殺害しても良いというシステムを採用している。
例を挙げると、最初にたどり着いた街グッド・スプリングスにおいて、
「パウダーギャング」と呼ばれる悪党が街を襲撃するイベントが起きるが、
このとき、町の人々と協力して、西部劇のヒーローのように立ち向かうこともできるが、
逆にパウダーギャングに加担して街を強請ることもできるわけである。
プレイヤーキャラも、「運び屋」であること以外にはほとんど固有の設定がなく、
外見や名前はもちろん性別まで自由に設定できる。
ただし、今作の特徴的な要素の一つとして、組織・コミュニティがある。
これは、ニューベガス地域をめぐって対立・乱立しているいくつかの勢力のことで、
それぞれに属するNPCにどう接するか、あるいはどの勢力を利する行動をとっていくかで、
プレイヤーの評価が変動するというシステムである。
コミュニティに受け入れられれば、彼らが有する部屋を無料で使わせてくれたり、
アイテムの割引をしてくれるなどの恩恵が受けられる。
一方、敵対してしまうと、最悪、見かけただけで集中砲火を受けるという事もありえる。
このコミュニティの属性や規模も様々で、武力対立を起こしている軍事組織から、
少数部族、カジノの経営者や医療系の団体などまで幅広い。
また、これに並ぶ目玉要素として、やはりニューベガスのカジノが挙げられる。
プレイヤーが望み、キャップ(通貨)が伴うのであれば、
好きなだけギャンブルを楽しむことができる。
50年代のSF作品の価値観をパロディ化したレトロフューチャーな世界観も健在。
パロディやオマージュ要素に始まり、ブラックジョークやアメリカ社会批判、
アメリカにおける核兵器への認識のいい加減さを揶揄する設定まで、
劇中の舞台は大量のネタにあふれており、皮肉の利いた世界が構築されている。
そのネタの全てを理解するには多少の予備知識が必要になるが、
世紀末を迎えて荒廃したアメリカを見て回るだけでも、
充分に楽しめる内容になっている。
対応ハード・ローカライズ
発売プラットフォームはXbox360とPlayStation3、及びPC。
字幕に加えて、全音声が日本語に吹き替えられた日本語版が発売中。
ただしこのローカライズが成されているのは家庭用ゲーム機版のみで、
PC版は輸入版という形になっており、英語音声+字幕のみである。
これとは別にゲームダウンロード配信サービス『Steam』でも配信されており、
パッケージ版より安価にダウンロード購入することができる。
英語版に日本語字幕を入れるパッチがユーザー有志により作成されている。
今作は、前作に比べると、残念ながらフリーズなどのバグが多少増加しているが、
PlayStation3版はさらに、それを踏まえても明らかに異常な量の不具合を抱えており、
当初は「遊べたものではない」と言われるほどの低評価であった。
その後、パッチによる修正でかなり改善されたものの、
パッチ1.4でなぜかそれらがすべて元に戻ってしまい、
以降、2015年現在までこの問題が解決していない状態にある。
後に発売された、DLCをすべて収録した『Ultimate Edition』に至っては、
最初からこの1.4の内容が適用済みとなっており、
Xbox360版やPC版に比べて評価が著しく低くなってしまっている。
(これは国内のみ――日本版向けパッチのみで起こっている現象である)。