この記事は、『文豪ストレイドッグス』単行本8巻までのネタバレ、小説3巻のネタバレを含みます。
概要
武装探偵社の頭脳として活躍する江戸川乱歩と、社唯一の治癒異能力者として社員を支える与謝野晶子のカップリング。まるで少年の様に描かれることの多い乱歩と、"格好良い大人の女性"というイメージの強い与謝野の対照的な二人である。似ている部分はどちらも頭が良く、乱歩は駄菓子、与謝野は和菓子と甘味が好きだということ。
年齢は乱歩が26歳、与謝野が25歳と乱歩のほうが年上。
身長も乱歩が168cm、与謝野が166cmと乱歩のほうがかろうじて高いが、与謝野が普段からヒールの靴を履いているため、作中では殆ど二人の身長差は見られない。
"危機察知能力"の話では他の社員らと共に与謝野の買い物につき合わされる前に逃げたり、頭を使う花札の相手に誘っている発言などから、社では自由奔放で高慢とも言える態度をとる乱歩だが与謝野に対しては一目置いているようだ。つまり、乱歩から見て与謝野は比較的対等な人物にあたる。
また、この二人はお互いのことを"さん"付けで呼ぶ。与謝野は、他の社員同様の敬意から「乱歩さん」と呼び、乱歩も他の社員が「与謝野女史(せんせい)」と敬って呼ぶ様に「与謝野さん」と呼ぶと思われる。
惨劇の館回
=原作単行本8巻第32話「ポオと乱歩」。乱与というカップリングにおける最大の公式供給である。「与謝野さん ペン貸して」から始まるこの回を読んで乱与に目覚めた方も多いのではないだろうか。以下内容まとめ
組合(ギルド)の情報を手に入れるためポオの挑戦状に乗った乱歩。ポオの異能によって付き添いとして来ていた与謝野もろとも、二人は連続殺人事件を題材とした小説の中に閉じ込められてしまう。
連続殺人事件は幕を開けるが、なんとこの世界では異能力が存在しないことが判明。乱歩の超推理は異能力ではないので事件を解決することは可能だが、彼は"超推理"は異能だと言い張り、名探偵は地道な推理はしないと動きたがらない。仕方がなく与謝野が聞き込みを始めるが乱歩が口をはさみ的確な推理をみせる。
与謝野が「薄々気付いてンだろ?」と"超推理"は異能ではないとはっきり諭そうとする。
小説3巻にて明らかになった様に社長は乱歩の不自然な特異さを守るために彼の能力は異能であると嘘を教えるが、乱歩は嘘をつかれているという事実を認めたくないため真っ向から否定し拗ねてしまう。
与謝野はそんな乱歩を無理に動かさず、一人で行動した末色々あって致命傷を負わされてしまう。館の様子に気付いた乱歩は即座に与謝野のもとへ駆けつけるが、ここで与謝野から最も衝撃的な言葉が発せられる。
「妾を探偵社に誘ってくれた事……今でも……感謝して……」
この台詞に関しては乱与を好きかどうかに関係なく読者に疑問を与えたのではないだろうか。あの乱歩が、他人を社に誘ったのかと。
作中では、与謝野の過去は賢治の様に軽くすら描かれていない。その上でのこの爆弾発言。小説で国木田や太宰の過去や生き様が次々と明らかになっている中、与謝野の過去が公開されるのは一体いつなのか、界隈の者は頭を抱えて続けている。
そして与謝野の意識が失われるとともに床に落ちた、与謝野がかけていた眼鏡を拾ってかける乱歩。血相を変えた"あの表情"で全脳を働かせ推理する様子は好きな人には相当響いただろう。
しかしもう既に自分の並外れた推理力は生まれながらの不自然なものだと認めざるを得ない状況になっているが、社長に下賜された特別な眼鏡ではないが、どうして………?さらに死に際(?)の台詞を見る限り、与謝野は探偵社設立秘話を知っていた様だ。
因みにこの後の帰り道では、乱歩が与謝野に「今更一般人なんて格好がつかない!」と素直に漏らしている。対する与謝野の反応は温かく、もう保護者であった。
先述した通り、与謝野の過去と乱与の出会いは直結している。とにかく今は供給を待つに尽きるだろう。