この記事は、『文豪ストレイドッグス』単行本16巻までのネタバレ、小説3巻のネタバレを含みます。
概要
武装探偵社の頭脳として活躍する江戸川乱歩と、社唯一の治癒異能力者として社員を支える与謝野晶子のカップリング。
まるで少年の様に描かれることの多い乱歩と、"格好良い大人の女性"というイメージの強い与謝野の対照的な二人である。似ている部分は名探偵&医者とどちらも頭が良く、乱歩は駄菓子、与謝野は和菓子と甘味が好きだということ。
年齢は乱歩が26歳、与謝野が25歳と乱歩のほうが年上。
身長も乱歩が168cm、与謝野が166cmと乱歩のほうがかろうじて高いが、与謝野が普段からヒールの靴を履いていることや乱歩が猫背であるため、作中では殆ど二人の身長差は見られない。
(アニメでは同じくらいだが、原作では与謝野の方が僅かに高く描かれていることが多い。)
自由奔放で高慢とも言える態度をとることの多い乱歩だが、2巻で与謝野の買い物に付き合わされそうになったときに他の社員らと共に逃げたり、6巻で彼女を花札(頭を使うゲーム)の相手に誘ったりしていることから、与謝野を比較的対等な人物と認識していると窺える。
ちなみに、プロフィールより乱歩の好きなタイプは甘やかしてくれる人なので乱歩に甘い与謝野はこれに当てはまっている。
一方与謝野も、狂気に満ちた笑顔と物騒な台詞で脅して言うことを聞かせることが多々あるが、乱歩をこのように脅したことはない。それどころか乱歩が駄々をこねても受け入れているなど、乱歩に対しては妙に寛容である。
本編やアプリ版のストーリーから鑑みても与謝野はやはり乱歩にどこか甘く、カバー裏では古い付き合いらしく自分本位な振る舞いをする乱歩のことを「すまないねェ、こういう人なんだよ」と鏡花に謝っていたりする。
また、この二人はお互いのことを"さん"付けで呼ぶ。
他の多くの社員からも敬意を込めて"さん"付けで呼ばれることが多い二人だが、彼らもお互いに尊敬し合っているのだろうか。
惨劇の館回
=原作単行本8巻第32話、アニメ22話其の一「ポオと乱歩」。
乱与というカップリングにおける最大の公式供給である。「与謝野さん ペン貸して」から始まるこの回を読んで乱与に目覚めた方も多いのではないだろうか。以下内容まとめ
組合(ギルド)の情報を手に入れるためポオの挑戦状に乗った乱歩。しかしポオの異能によって、付き添いで来ていた与謝野もろとも、連続殺人事件を題材とした小説の中に閉じ込められてしまう。
吹雪に閉ざされた洋館で連続殺人事件は幕を開けるが、なんとこの世界では異能力が存在しないことが判明。乱歩の超推理は異能力ではないので事件を解決することは可能なのだが、彼は"超推理"は異能だと言い張り、その上、名探偵は地道な推理はしない、と動きたがらない。仕方がなく与謝野は聞き込みを始めるが乱歩が口をはさみ的確な推理をみせる。
与謝野が「薄々気付いてンだろ?」と"超推理"は異能ではないと諭そうとする。
小説3巻にて明らかになった様に、この誤解の発端は人並み外れた頭脳を持つが故に社会に適応できず苦しんでいた乱歩を救う為、社長が「お前は異能者だ」と咄嗟に嘘を教えたことである。つまりこの嘘に悪意は全く無かったのだが、乱歩は"嘘をつかれている"という事実を認めたくないがため真っ向から否定し拗ねてしまう。
与謝野はそんな乱歩を無理に動かさず、そして乱歩をこれ以上混乱させずに事件を解決するため自ら囮になり犯人をおびき寄せ、返り討ちにしようとする。しかし失敗し、致命傷を負わされてしまう。
異変に気付いた乱歩は即座に与謝野のもとへ駆けつける。呆然とする乱歩に、与謝野は自分が助けてやれなくても事件を解決できるようにと思ったのだろうか、何時ものようにおだて、また彼が異能者ではないという事実を認められるよう優しく諭す。
そして彼女が意識を失う間際、最も衝撃的な言葉が発せられる。
「妾を探偵社に誘ってくれた事……今でも……感謝して……」
この台詞に関しては乱与を好きかどうかに関係なく読者に疑問を与えたのではないだろうか。あの乱歩が、他人を社に誘ったのかと。
そして与謝野の意識が失われるとともに床に落ちた、与謝野がかけていた眼鏡を拾ってかける乱歩。血相を変え、涙をこらえるように唇を噛みながら、全脳を働かせて推理した。
乱歩が本気を出したことで現実世界に戻り、与謝野も復活。そこから怒濤の勢いで謎を解明して見せた乱歩。
その帰り道、乱歩は「今更一般人なんて格好がつかない!」と素直に漏らす。対する与謝野の反応は温かく、もう保護者であった。
と、ほのぼの締めくくられたものの、彼らに魅せられている/新たに沼に突き落とされてしまった者たちの心中はまったく穏やかではない。(いい意味で。)
8巻時点において与謝野の過去は今まで全く触れられていない。その上で件の爆弾発言。
さらに死に際(?)の台詞を見る限り、与謝野は探偵社設立秘話を知っていた様だ。社長・乱歩・与謝野と並び探偵社黎明期からの社員とみられる国木田さえ知らなかった探偵社設立秘話を知ったのはいったい何時、何故だったのか。
与謝野の過去、それと直結しているとみられる二人の出会いが語られるのは一体いつなのか。界隈の者は頭を抱え続けている。
とにかく今は供給を待つに尽きるだろう。
※16巻微ネタバレ注意!(2018.10月時点)
と、思っていた。思っていたのだ。
66話のことだった。
それはとても唐突だった。なんというか、展開が展開で心の準備ができていないうちに、「それ」が来たのだ。
与謝野の過去、そして2人の出会いの話が………………………………
過去編
ネタバレ注意
14年前、大戦末期に軍医委託生として森に徴用された与謝野は、自身の異能力の呪わしさに打ちのめされて精神を閉ざしてしまう。
それから3年間、与謝野は施設に隔離され続けていた。本人いわく、「扉の鍵が開いていても外に出ていたとは思えない」精神状態だったらしい。
その後、三刻構想の為に再び森が与謝野を利用しようとするが、福沢が阻止。車椅子に乗っていた与謝野は乱歩に押され、森の元から逃げることになる。しかし与謝野は自身の異能が「命の値段を安くする」ものであると気づいており、「これ以上生きている訳には」と逃げることを拒む。
そんな与謝野を、乱歩は「莫迦らしい」と一蹴。超推理こそ世界一であり、あとはどうでもいい能力。僕が居れば全部解決するから探偵社に与謝野の出番はないと豪語した乱歩は、推理力の証明として与謝野にあるものを渡す。
それは、与謝野が失くした蝶の髪飾りだった。
乱歩の推理力を信じた与謝野は、彼の「なんでも答えるよ」という言葉に「これからどうすればいいの」と問う。自分が生きてもいい場所なんてあるのかと言う与謝野に、乱歩は声をかけた。
「……さっき云ったろ?」
「この世には一箇所だけ、君を必要としない場所があると」
「君は探偵社に入れ」
こうして、与謝野は探偵社に入ることになる。
なお、原作で乱歩が与謝野にかけた言葉には続きがある。是非自分の目で確かめてほしい。
公式アプリ編
アプリ版文豪ストレイドッグス迷ヰ犬怪奇譚(以下 文迷)
ではストーリーでも2人の絡みは多く見られる。
イベント『黄色かをる秋模様』より
駄菓子がないとごねる乱歩のために買い物に行く与謝野、から始まるストーリーの中に2人の関係性が垣間見える。主に乱歩が助言をして与謝野にひとつの命を救わせるという描写は乱与というカップリングにおいて核とも言えるべきところだろう。
イベント『蘇る波の音』より
かき氷が食べたいとごねる乱歩に与謝野は一緒に下のうずまきでかき氷を食べに行かないかと誘ったり、乱歩に同意しやけにすんなりと海に行くことを賛成した。なお一緒にかき氷を食べるという与謝野の提案は果たされた模様。
学園文豪ストレイドッグス『夏季休暇前の大仕事?』より
学園ではちょくちょく絡みがあった2人だがここに来てイベントの終盤にて乱歩の「もう遅いし与謝野さんを送って帰ろうかな」発言。(あの乱歩が与謝野を女の子扱いしているとも言える非常に重要なシーン)
なおこの事実は乱与愛好家に絶大な反響を得た。