※この記事は、多少のネタバレ、および史実についても記述してますのでご注意ください。
なお、史実については、本作品とは別物であると考えてください。
出会い
二人の出会いは文豪ストレイドッグスの小説一巻「太宰治の入社事件」による。(そう、つい最近まで佐々城信子は小説にしか登場していなかったのだ。…つい最近までは)
新入社員である太宰治の入社試験を任された国木田独歩は共に幽霊屋敷事件の調査をしていた。そのうち、「横浜来訪者連続失踪事件」に行き当たり、廃病院に行き着く。そこで、古い衣類用の水槽で溺れていた女性を発見し、救助する。
この女性が佐々城信子その人だった。
救出した彼女を太宰は部屋に泊める。国木田は、「何かやましい事をしたんじゃないのか?」と太宰を厳しく問い詰めるが、二人の間には何も無かった。(というか、肌着でずぶ濡れ状態の佐々城さん見て赤面していたり、そういうこと考えちゃったりする国木田さん、むっつりスケベというべきか、はたまたピュア木田さんと言うべきか…)
国木田の手帳
その後、喫茶店で再会した二人。そこには太宰もいて、彼は禁断のあれを見せてしまう。
そう、「理想の女性像に書いてある頁」のことだ。(※手帳八枚、十五項目、八十五要素)それを見た佐々城は一言、
「これは無いです」
ちなみに、佐々城は理想に邁進する男性が好みのタイプらしい(それって国木田さんじゃん)が、理想主義者とお付き合いするのは控えたいと太宰に語っている。
どうやら、過去の恋愛に何かあったらしいが…。(知りたかったら、小説一巻を読もう)
「残酷なのですね、国木田様は」
太宰の入社試験が終わり、亡くなった部下達の墓参りをしていた国木田は佐々城と再会する。白い和服姿で白菊の花束を持った彼女(この時、「和服の方が似合っている」と国木田さんが言っているから、きっと佐々城さんは和服美人)は「死者には涙を流しても無駄で、生者に出来る事はただ悼むだけだ」と考える国木田に対して、こう呟く。
「残酷なのですね、国木田様は」
死んだ人の時間はもう止まっていて、何をしても喜ばないし、微笑まないと話す、佐々城。そして、彼女には哀しい結末が待っていた。
詳しい結末は小説で確認してほしいのだが、佐々城は最後、国木田が自分を助けてくれたことが少し嬉しかったと言い、本当の想いを伝えようとする。
国木田自身も、「微笑んだ彼女の面影」が瞼の奥に残っているらしい。
その後
小説のみの登場であった佐々城だが、Qこと夢野久作の「ドグラ・マグラ」によって操られた国木田の目の前に幻覚という形で現れる。
その時、「俺は理想の世界の為に…!貴女の命を何よりも…!」などと恥ずかしい台詞を吐いたそうで、(太宰談)しかも、録画までされてしまっている。
もしかしたら、今後、本編にも大きく登場するかもしれない。
「さよなら」(アニメ版)
そして、驚くべき展開が待っていた。そう、小説一巻がアニメ化されたのである。
第六話「蒼の使徒」と第七話「理想という病を愛す」の二回に分けて放送された。ただし、原作一巻そのままではなく、改変された部分も多くあり、オリジナル要素の強い作品にもなっている。
一番の違いは時間軸であり、二年前の原作に対して、アニメ版は現在。原作にはいるはずがない敦も大きく関わっていくという設定になっている。
そういう訳なので、太宰・国木田・敦の三人で「横浜連続失踪者事件」を追い、廃病院に向かう。そして、水槽で溺れている佐々城を救出するのだが…
佐々城さん、まさかの下着姿(黄緑色)で登場。
原作では薄い肌着だったのだが。そして、太宰と敦は思いっきり佐々城の下着姿を見ているが、国木田は目を逸らすという紳士的な対応を取っていた。(検証した結果、彼女のバストサイズは恐らくBかCかと思われます。)
その後、他の監禁された人を助けようしてガスが充満するシーンがあるのだが、ここで国木田を制止するのは、アニメ版では太宰に変更されている。(原作では佐々城であった)
原作の佐々城は美しい印象だが、アニメ版は可愛らしい雰囲気が漂う女性になっている。(あと、エロ…いえ、何でもありません。)特に、七話の喫茶店でのシーンは見もの。照れたり、ちょっと戸惑ったりする佐々城を見ることができる。このとき、国木田はかなり動揺しあたふたしていたが、ちゃっかり佐々城の隣の席をゲットしていた。
原作と比べると国木田と佐々城の絡みは少ない。だが、アニメ版には、見どころともいえるシーンが二つ存在する。
一つ目は、墓参りのシーン。二人で並んで花を供えるという、国佐ファンとしてかなり美味しいシーンがあった。恋人とは死別したと語る佐々城、静かに耳を傾ける国木田。やがて、教会の鐘が鳴り、佐々城が言う。
「さよなら」
国木田は黙っていたが、何かに気が付く。それは、これから起こる悲劇の幕開けであった。
二つ目は、話の鍵を握ると思われる「蒼き王」のビジュアルが明らかになったこと。原作を読んだ方はハッとするであろう。声にも是非注目してほしい。
なお、芥川に拐われた敦を救出する際に「俺達は英雄ではない」と叫ぶシーンに六・七話の回想が挿入されるという演出があった。原作にも登場する場面であるが、この国木田の言葉の背後には佐々城や世話を焼いていた六蔵の存在があると考えられる。
時間軸をずらして、敦を関わらせたのもこの理由からかもしれない。
二期にも期待である。
アニメ版・佐々城信子の声は小林沙苗
史実の二人
※ここからは史実の話です。
『文豪ストレイドッグス』とは別物であると考えてください。あくまで参考ということで。
文豪ストレイドッグスのキャラは実在の文豪をモデルにして作成されているが、佐々城信子も実在する人物である。
文豪ストレイドッグスでは、大学教授という設定だが、実際は、国木田独歩の最初の妻。
従軍記者であった独歩は、佐々城家(信子さんはお嬢様育ちです)で開かれている慰労会に招かれる。その時、歌を披露した信子に一目惚れし、帰り際に自分が書いた雑誌を手渡す。
その後、二人の距離は縮まり、交際がスタート。
だが、新聞記者である独歩との仲を信子の母親は猛反対した。独歩は周囲の協力も得て、何とかして信子と結婚するが、元々、嫉妬心が激しく、極端な男尊女卑思想を持っていた独歩は信子を束縛。
やがて、信子は独歩の元を去り、二人の結婚生活は五か月で終わりを告げる。(この時、信子は独歩の子どもを妊娠していた。その子は養子に出されたそうだ。)
ちなみに、国木田先生、信子さんとどうしても結婚したかったらしく、彼女に短刀を突き付けて
「信子!結婚してくれなきゃ死んでやる!」
とプロポーズしたらしい。(元祖ヤンデレではないだろうか、この人)
信子さんと付き合っている時は仕事が身に入らなかったという証言も有ったり、やたらとチューしていたり。
ラブレターには「ブロークンハート(周囲によって壊された恋という意味らしい)」と書いて熱い想いを伝えている。(でもこの手紙を書いた次の日に、信子さんから「別れましょう」と言われしまう。上記の短刀プロポーズ事件を起こすきっかけになった)
余談だが、国木田先生と信子さんは英語が得意であった。
信子さんと別れてからは、日記に悲しみを連呼(信子、信子と叫んでいます)さらに、夢の中にも信子さんが出てきて、短刀でぐさぐさ刺していた。
独歩と別れた後、信子は大スキャンダルを起こしてしまう。それを元にして有島武郎が『或る女』を書いた。
独歩は別の女性と再婚する。その後、鎌倉で偶然、信子と会うのだが、二人の間にどんな会話がなされたのか気になるところ。
独歩は結核により若くして亡くなるが、信子は71歳まで生きた。
小ネタ
国木田の「理想の手帳」の記述は『欺かざるの記』がモデルになっているようだ。一致する記述がいくつか見受けられる。
『欺かざるの記』国木田独歩が書いた日記であり、ここに佐々城信子との恋愛も詳しく書かれている。もし興味があるなら読んでみよう。
表記ゆれ
佐々城信子は「佐々城女史」とも呼ばれている。
故に、佐々城女史とも。