概要
湯婆婆の双子の姉で、「沼の底」という寂しい片田舎のような所にひっそりと暮らしている魔女。
口調や見た目は湯婆婆と瓜二つで、妹からは「性悪女」と言われ、釜爺からも恐ろしい人物だと評されている。
強力な魔法を操る事ができ、作中ではハクに大量の式神を長距離(海原電鉄の駅にして6駅も離れている)にわたりけしかけ続けたほか、損傷してなかったその1つを媒体に分霊よろしく半透明な状態で姿を現しただけでなく、その状態でも坊をネズミに、湯バードをハエと鳥の中間のような生物に変えている。生物を使役する妹に対して、人工物に命を与える節があり、自身のために誰も奴隷化していない。
妹の命令で契約印を盗んだハクを式神で追い詰めて痛めつけるシーンで初めて登場し、何の躊躇もなくハクを始末しようとするなど、評判通り冷たく恐ろしげな人物であるような印象を見せたが、実際の所はと言うと、感情の起伏が激しく強欲でがめつい妹とは対照的に、比較的穏やか(湯婆婆がハクに仕込んだ呪いの虫を契約印にかかっていたものと勘違いし、踏み潰したことを謝罪した千尋に豪快に爆笑しながら説明するなど、決して過剰に表現しないわけではないが)で物分かりが良い。また、自分に対してきちんと筋を通す者や行き場の無い者に対しては人情味や優しさも見せており、千尋の事を丁重にもてなした上で励ましたり、行き場のなかったカオナシをそのまま受け入れ身元を預かっている。また、千尋を迎えに来たハクのことも「もう咎めるつもりはない」と快く許しているなど、寛容な面も見せている。
本人曰く「自分と湯婆婆は二人で一人前」らしいのだが、姉妹の仲はあまり良くない模様(銭婆いわく「魔女の双子なんて厄介のもと」らしい)。
- 絵コンテには、スレンダーで財力などにも優れる才(魔)女であり、自信にも溢れた銭婆に対し、弱々しい目線で姉を見る湯婆婆が描かれており、姉へのコンプレックスの塊であると書かれている。
- 一方、実際作中に登場した自宅は周囲に他の民家すらなく、非常に質素な面持ちで森の奥に佇んでおり、内装も過剰なほど装飾が施された湯婆婆の私室に比べ驚くほど素朴。そのため才能は有れども(ハクに盗まれた契約印のような仕事道具ならともかく)金銭や財産に対する欲や執着はそこまで強くはないと思われる。同様に、基本的に何をやるにも魔法の力で済ませてしまう湯婆婆と比べ、銭婆は日常生活を送るうえで必要な動作は極力魔法を使わず自分自身の力で行っており(作中でも、糸を縒って紡ぐ際に「魔法で作ったんじゃ何にもならないからねぇ」と言っている)、この点も対照的である。
- しかしながら、千尋をもてなしたり何処の誰ともわからぬカオナシを短時間交流しただけですんなりと自邸の一員として迎え入れるなど、寂寞たる地に住んではいるが決して排他的な人物ではない。
- 千尋とカオナシ、そしてハクが来訪することを全て把握しており、その理由も全て知っていたと取れる描写がある。つまり、ハクが本心から悪事を犯した訳でなく湯婆婆の奴隷とさせられていたことも把握していた。また、結果的には坊と湯バードにも成長する機会を与えたことになる。湯バードは元の姿に戻らず終いだったが、これは、湯婆婆の模造ではなくて自身の姿を手に入れた事を気に入って選択したのかもしれない。