概要
CV:夏木マリ
演:夏木マリ/朴璐美
湯婆婆の双子の姉で、「沼の底」という寂しい片田舎のような所にひっそりと暮らしている魔女。
口調や見た目は湯婆婆と瓜二つで、妹からは「性悪女」と言われ、釜爺からも恐ろしい人物だと評されているが、これはジブリ公式曰く「優しい人ほど怒った時は恐ろしい」ということを指しており、普段は穏やかだが敵対者には一切容赦しないという二面性を持っている。
強力な魔法を操ることができ、契約印を盗んだハクに紙の式神をけしかけたり、式神を媒介に半透明の状態で遠隔地に移動したり(但し半ば幻影かホログラムのような存在であり基となった式神が破壊されると消失してしまう)、そのままの状態で坊を坊ネズミと湯バードをハエドリの姿を変えてしまうなどの力を持つ。
(カエルやナメクジなどの従業員を含む)生物を使役する妹に対して人工物に命を与える節があるが、自身のために生命ある存在を奴隷化することはしていない。
上記のとおり、坊と湯バードの姿を変えているが、これは妹に対する仕返しであると思われる(次に何かしたらお前の子供が無事では済まないという警告とも取れる)。
妹の命令で契約印を盗んだハクを式神で追い詰めて痛めつけるシーンで初めて登場し、ただその場に居合わせただけの坊達に魔法をかけて姿を変えてしまい、それを目撃した千尋に「喋ればお前の口が裂ける」と脅し、ハクという竜の本質を知っているにもかかわらず、何の躊躇もなくハクを始末しようとするなど、評判通り冷酷で恐ろしい人物であるような印象を見せたが、実際は感情の起伏が激しく強欲でがめつい妹とは対照的に、比較的穏やかで物分かりが良い。
また、自分に対してきちんと筋を通す者や行き場の無い者に対しては人情味や優しさも見せており、千尋の事を丁重にもてなした上で励ましたり、行き場のなかったカオナシをそのまま受け入れ身元を預かっている。故にか千尋も銭婆のことを「お婆ちゃん」と呼ぶようになる。
更に、千尋を迎えに来たハクのことも快く許すなど、寛容な面も見せている。
千尋をもてなしたり何処の誰ともわからぬカオナシを短時間交流しただけですんなりと自邸の一員として迎え入れるなど、決して排他的な人物ではない。
本人曰く「自分と湯婆婆は二人で一人前」らしいのだが、姉妹の仲はあまり良くない模様
銭婆いわく「魔女の双子なんて厄介のもと」らしい。実際こういった「魔女」や「魔法使い」のような術師が出てくる作品において「双子」というものは本来得るはずの力が強すぎて、魂が二つに分かれて生まれてしまった不完全な状態とされる。
結果として双子は2人で1人である為に、片方が生まれつきの何かの代償として強力無比な力を持つ素質があるのに、双子の片割れが健康体なために代償のみ背負わされる、本来使用できる力の半分未満しか使用できないと言った設定になることがあり、「本来得るはずだった強大な魔力を取り戻すために兄弟姉妹が殺し合う」というストーリーになる場合も多々ある。(この場合殺し合う双子は極端に対照的な見た目や性格をしている場合が多い)
絵コンテには、スレンダーで財力などにも優れる才(魔)女であり、自信にも溢れた銭婆に対し、弱々しい目線で姉を見る湯婆婆が描かれており、姉へのコンプレックスの塊であると書かれている。
作中に登場した自宅は周囲に他の民家すらない僻地にたっており、非常に質素な佇まいで、内装も妹の住む湯屋の過剰ぶりに比べて非常に質素で素朴。
同様に、基本的に何をやるにも魔法の力で済ませてしまう湯婆婆と比べ、銭婆は日常生活を送るうえで必要な動作は極力魔法を使わず自分自身の力で行っており(作中でも、糸を縒って紡ぐ際に「魔法で作ったんじゃ何にもならないからねぇ」と言っている)、この点も対照的である。
また、いやいやとはいえ他に行き場がなく「働きたい」というものには職務の庇護を与え、最低限保護するなど「傲慢で恐ろしいがその根っこにわかりにくい優しさが垣間見える」湯婆婆と、ハクの行いが契約と命令によるもので逆らいようがなかった事を理解していながら、あくまでも実行犯のハクを殺傷能力の高いトラップでの殺害を狙った上、式神経由とはいえ湯屋にまで追ってきて殺そうとしているなど、「表向きの優しさに対して敵対者、罪人への冷酷さを潜ませている」銭婆という点も対照的といえる。
そのことからも、金銭や物への執着心というものはないようで、慎ましく質素に暮らすという昔ながらの素朴な生活スタイルを好んでいる様子がうかがえる。
千尋とカオナシ、そしてハクが来訪することを全て把握しており、その理由も全て知っていたと取れる描写がある。つまり、ハクが本心から悪事を犯した訳でなく湯婆婆の奴隷とさせられていたことも把握していた。また、結果的には坊と湯バードにも成長する機会を与えたことになる。
湯バードは元の姿に戻らず終いだったが、これは、湯婆婆の模造ではなくてハエドリという自身の姿、しかも湯婆婆そっくりの顔のない、れっきとした「鳥」の姿を手に入れた事を気に入ってコチラを選択したと設定されている。
この世界のルール故に千尋を助けることはできないとは語り、それでもお守りと称して千尋に手作りの髪留めをプレゼント。それが物語終盤にて重要な役割を担うことになる。
なお、勘違いされがちだが、千尋が銭婆に返したハンコの呪いが解けている事と、千尋が踏み潰した虫(?)は別の原因。
あの虫は呪いの化身ではなく、ニガダンゴ(食ったものにとって悪いものを追い出す神の薬)で追い出されたハクと湯婆婆の契約の化身であり、その際のどさくさでハンコの呪いは一緒に解呪されてしまっている。