作品解説
現代日本に突如出現し怪事件を起こすUMA「奇獣」と、その事件を追う生物学者番場宗介の物語。
ウルトラスーパーアニメタイムにて2015年10月から1月にかけて放送。
2016年4月から第2期が「影鰐-KAGEWANI- 承」のタイトルで放送決定した。
登場人物
番場宗介(ばんば そうすけ)
本作の主人公兼ストーリーテラーである生物学者。若年ながら京王理科大学の教授を務め、新生物から難病特効薬を発見するなどの功績から遺伝子工学の分野では天才として有名。幼少期に奇獣に襲われたことから各地で発生する奇獣絡みの事件を追っている。左の眼尻に痣があり、奇獣や黒い液体に接近すると痛みを感じるような節がある。
主に黒いスーツを着ているが、13話ラストではパーカーを着用。
木村 雅貴(きむら まさき)
CV:置鮎龍太郎
番場とは別に奇獣を追う製薬会社「猿楽製薬」のエージェント。番場を高く評価し度々研究チームに誘うも「金儲けの話には乗らない」と拒否されている。常に白いスーツを着ている。物腰の柔らかな人物だが、自身の目的や会社の利益のためなら奇獣だけでなく人命すら軽視する冷酷な性格。
会社の私設軍隊を率いて奇獣の出現現場に現れては奇獣の駆除・捕獲を行っていたが、その真の目的は、奇獣の細胞を用いてオリジナルの影鰐に最も近い能力を持つクローンを生み出し、影鰐を生み出した部族と同様にそれを生物兵器として利用することであった。12話にて自分達が生み出した奇獣のクローンが暴走した際、重傷を負った番場や他の研究員達を見捨てて自分だけセーフティーゾーンに避難した。その後、現場に駆けつけた研究スタッフから番場の生存を知り驚愕。監視映像の記録から彼が影鰐と同化・共生したことを突き止め、制圧部隊を向かわせ確保を図るが既に逃走していたことから失敗。施設内が混乱状態に陥り、警備が手薄になった所で自身の元に現れた番場によって解放された影鰐に襲われるも彼が影鰐に完全に支配されていなかった影響で死を免れ、甲斐博士に救われた。
第2期では4話から再登場、右顔面をマスクで覆い隠し、両手には機械製の義手をはめている。
後任の本間とは対立しており、本間の計画を妨害しようとしてそのために甲斐博士の救助を依頼するなど番場の協力者となったと思いきや…
…実は番場の襲撃の影響で影鰐の細胞を取り込んでおり、自らを人類の頂点に立つ「選ばれし者」として君臨しようとした。右胸以外の胴体が機械化し、指先からレーザーを発射、左胸のスピーカーのような装置からナギの音叉と同等の周波数を反響させることで、影鰐の細胞を制御し体内へ取り込み使役することができるサイボーグと化した。
本間丈二
CV:木村昴
第2期から登場。木村の後釜として就任した猿楽製薬の重役兼生物兵器開発局局長の男性。強面な顔つきと体中にある無数の傷が特徴で、スマートフォンを素手で握り潰せるほどの握力を持つ。奇獣の兵器開発に異常なまでの執着心を抱いている。木村とその関係者に対抗心を抱いており、慇懃無礼な態度をとっている。第2期4話では甲斐博士を彼の部下を奇獣化して襲わせた。
冷酷非情で強引かつ合理的な性格で、一般人はおろか関係者である秋良の娘・莉央を餌にしようとしたりと、目的のためなら手段を選ばない。それらの所業が原因で甲斐博士や秋良からの恨みを買っており、第9話で番場を自身のチームの研究施設へ連れ込み、彼や複数の工場の奇獣から採取した体液を生物兵器として売り込もうと目論むが、木村たちの妨害により、番場を解放されたうえに奇獣の体液の入ったタンクを破壊され、他の研究員たちを見捨てて自分だけが流出した奇獣の体液からの逃亡を図るも、秋良の妨害で失敗に終わり、木村への怨みの声を上げながら奇獣の体液に呑み込まれた。
しかし「木村への憎悪・復讐心」が影鰐の細胞と利害が一致したことで、本間の意識を保ったまま奇獣化。第13話で木村に不意打ちを食らわせ致命傷を与えたが、木村の放ったレーザーで左腕を切断された挙句、木村が解放した影鰐に全身をバラバラに引き裂かれ古井戸の中へ打ち捨てられた。
だがその遺体は…
シーロン・メイ
影鰐を生み出したメイ族の末裔である女性。メイ族は大陸から渡り来た後、何代にも渡って影鰐を追い続けてきた。彼女自身も一族が影鰐を生み出したことに罪悪感を感じ、討伐の旅に出た生い立ちを持つ。冷静沈着かつ求道的な性格で男性的な口調で話し、常に猟銃と小型の包丁を装備している。とある漁村を訪れ、村長や村人達に影鰐の話をした後、たった一人で漁に出ようとしていた町蔵に同行する。町蔵を庇って影鰐に右腕を喰われてしまうも彼の協力を得て辛うじて討伐に成功する。その後は自身に処置を施して生き長らえ、どこかへと姿を消した。
第1期10話で影鰐に襲われかけた幼少期の番場を救い、第1期13話では、影鰐と同化した彼の前に現れ、「全ては25年前、彼を救えなかった自身の責任である」として彼の抹殺を試みるが、彼が自分にぶつかった少年を襲わなかったことからその場は思い留まった。しかし同時に「いつしか影鰐に完全に呑まれた際には迷わず止めを刺す」と彼に宣言する。
第1期では「謎の老婆」「謎の少女」とクレジットされていたが、第2期で氏名が判明。第2期5話で番場抹殺を試みたナギから彼を守るために現れ、互角に渡り合うも足を刺され負傷。更に番場を庇ってナギの一撃を喰らい、死に際に彼女に「自分達の過ちを正して欲しい」と言い残して自身の包丁を託した後、息絶えた。
ナギ・ヤグル
CV:佐藤聡美
第2期から登場。中国雲南省の奥地・ヤグル族の出身で、打倒影鰐を目的としている暗殺者の女性。一人称は「俺」で、男勝りな口調が特徴。奇獣、特に影鰐を相手にすると感情を顕わにし、愉しむように殺そうとする。影鰐を生み出したシーロン達メイ族とは敵対関係にあたる。
影鰐や奇獣の動きを封じる特殊な周波数を発する特殊な音叉や長大な槍、小型の包丁、刀身にヤグル族の血を与えることで影鰐を物理的に殺傷できるようになる紋様が刻まれた刀といった複数の武器を所持している。
奇獣を撃退した番場の前に現れて動きを封じ、止めを刺そうとするも、シーロンや猿楽製薬の妨害を受け、番場を取り逃がす。
実は彼女の先祖が影鰐を生み出す蠱毒の術を生み出した一族であり、その行いを悔いた彼女の父親によって蠱毒の術は封印されていたが、彼女の父親がメイ族に捕われた際に盗み出され、メイ族がその術を用いて生み出した影鰐に故郷を襲撃されてしまう。父親を影鰐に取り込まれた上に母親を目の前で喰い殺され、自身も襲われそうになったが、母親から託された音叉のおかげで唯一生き残った。
成り行きで番場と共闘してオリジナルの影鰐を追い詰めるが、止めを刺す直前で木村が放ったレーザーに射貫かれ、重傷を負う。
小森智(こもりさとる)
CV::あろまほっと(M.S.SProject)
通称サトル。花を愛する内気な少年。大人しい性格で、同級生三人組に日常的にいじめられており、無理やり連れてこられた植物園で同級生と共に奇獣に襲われるが…。
奇獣
本作に登場するUMA。殆どは非常に凶暴な性格で、遭遇した人間を真っ先に捕食する。姿形や有する能力は多種多様だが、黒い体液を持つという共通点があり、猿楽製薬の調査では黒い液体が何らかの要因で他生物の体内に侵入することで寄獣に変異すると推測されている。その正体は10話にて謎の少女と町蔵によって退治され、灰となって散った影鰐の細胞を人間も含めた動植物が吸収、突然変異した物。ほぼ全ての個体に共通する極めて高い攻撃性も影鰐の性質を遺伝的に受け継いだことに由来する。
木村の話によると奇獣の中にある黒い液体は一体化しようとする性質があり、そのため奇獣同士引き寄せ合うのだという。
影鰐
CV:マフィア梶田(第二期)
島根の漁村に突然出現した魚に酷似した影の奇獣。村に古くから伝わる怪物で、この奇獣に影を喰われればその本体も喰われてしまうため、影鰐が出現した年には決して漁に出てはいけないという言い伝えがある。影を感知して襲う習性があり、謎の少女曰く村をいくつも全滅させている。しかし、逆に「影」を感知・捕食する特性を利用して暗闇や物陰などに避難をすれば、影鰐も探しようがなく襲われる事がない模様。またこの奇獣そのものが影である為、海だけでなく地上でも移動でき、3体に分裂することも可能。実体を持たず「影」という二次元に存在する故に通常攻撃は通用せず、影鰐を何らかの物体に閉じ込めた後にその物体ごと焼却、あるいは封印するしか倒す術がない。
その正体は、雲南省のメイ族が敵対するヤグル族を滅ぼす為にあらゆる動物をベースに蠱毒を幾度も繰り返した末に生み出した太古の生物兵器といえる妖怪に近い生命体。その凶暴性は人間の制御の及ぶものではなく、ヤグル部族はおろか生みの親であるメイ族すら喰い尽くし、後の時代においても遭遇した者達を容赦なく捕食、殺戮した。
奇獣誕生の元凶でもある。
メイ族が作ったオリジナルは周りが青みがかっているが、猿渡製薬が作ったクローンは周りが赤みがかっている。