アグドナ
あぐどな
アグドナ(Agudner)とは、日本産のSF世界観シェアワールド及びその原作となるウェブ漫画「ビロウス」に登場する架空の人種。物語の舞台である「惑星タル」において、「人間」の扱いとなるエルタス人という人種の一種。
サーガル族、ネウリア族のような他のエルタス人二種が世界観上では「人間」という扱いではあるが明らかに獣人めいた外見をしている一方、このアグドナ族だけは最も地球人基準の「人間」に近い外見をしている。そこに加えてヤギ、アルパカ、ウシ、イノシシなどの偶蹄目の動物、リス、更には犬、時には犀や熊すら彷彿とさせる様々な哺乳類に似た特徴を持ち、人間度とケモノ度が絶妙に混ざった獣人と亜人の中間的な風貌をしている。
顔は極めてマズルが短く、個人差にもよるが人によってはほぼ人間に見える顔の人もおり、しかし下半身はヤギのような蹄+ケモ足であり、個人差はあるが頭にツノも持つため、見方によってはサテュロスのようにも見える。
手先が器用で知能が高く、惑星タルの技術発展はほとんどアグドナにかかっていたと言っても過言ではない。そして最も人間的な外見通りに、サーガル・ネウリアなどの他のエルタス人には当てはまらない人間的性質や地球人にとって共感しやすい面を多く持つことも特徴。
惑星タル内ではサーガルと同じくらいの大きな人口があり、西部以外のほぼ全域に生息しているが、特に主な領域は南部と東部。北部には戦前までは極少数がいたが、西部には全くいない。
基本形
人間の鼻と、ヤギなどの偶蹄目動物やリスなど一部のげっ歯類との中間的な鼻、絶妙に短いマズルを持つ。(犬のような鼻は無い)
マズルの長さには個人差があり、かなり牛やヤギのような顔つきをしている人から、ほとんど人間そのものな顔つきをしている人まで様々あり、獣人と見なされるか亜人と見なされるかは個人差に左右されると言える。
手は偶蹄目の蹄が指っぽく発達したような四本指で、両端の二本は短く内側の二本は長い。この指は見た目によらず非常に器用で、サーガルの器用さでは限界がある細かい作業でも難なくこなせる。指の長さはみんな同じだが見た目には個人差があり、明らかに蹄っぽく色が変わっている人から、手全体が同じ色をしているためほぼ人間の指的な見た目の人まで様々。
足はほとんど偶蹄目の[そのもので、足の形状もサーガル同様に[[ケモ足]]型である。
尻尾はウサギや鹿の尻尾を短さはそのままにボリュームだけ上げたような、上向きに立ったふわふわの短い尻尾をしている。
頭にツノを持つことも大きな特徴で、ツノの数や生え方には個人差があり、ヤギのように綺麗なシンメトリーの巻きツノで生える人から、生える位置がバラバラでかなりいびつな見た目になる人もいる。ちなみにユニコーンやサイのように頭のど真ん中や鼻の上などに一本角が綺麗に生えることだけは無い。(一本角が生える場合は、微妙にズレたところから生える)
余り知られていないが、実はイノシシのようなキバを持っていたりもする。男性ほど大きい傾向があり、口を閉じていてもはみ出ている者もいる。
歯並びはサーガルと違い、切歯も臼歯も揃っているため、人間同様に食べ物を咀嚼して味わって食べることが出来る。味覚もサーガルより豊からしい。しかし逆に、丸呑みをするのは一番苦手である。
他のエルタス人との違い
サーガルが哺乳類、爬虫類、鳥類、魚類など多彩な分類の動物の特徴を持つのに対し、アグドナは完全に哺乳類の特徴のみで構成されていると言える。このことから生物学的にも100%哺乳類と言えるため、サーガルとネウリアが女性に胸が無い種族であるのに対しアグドナの女性には地球の人間同様のおっぱいがある。男性には乳首もある。
なおサーガルは外見の男女差が無い、ネウリアは地球の男女観とは全く異なった男女差がある一方、アグドナだけは外見と仕草振る舞い共に限りなく地球の人間に近い男女差がある。(男性のほうが逞しく、力仕事や技術方面の作業を行い、女性はしなやかで家事や育児などを主に行う)
また、他のエルタス人は性格や仕草に一定の傾向(サーガルなら基本的に楽天家で単純、ネウリアなら男性は陽気で無邪気、女性は真面目で寡黙など)があるが、アグドナの場合は特に種族特性的な偏りはなく、地球人同様に非常に幅広い個性を持っている。
しかし、アグドナ特徴の傾向としては、「嫉妬しやすい」「恨みを根に持ちやすい」「好きな人に対する独占欲が強い」などがあり、これが更に地球人との共通点を濃くしている。(逆に言えばサーガル・ネウリアの感性がそれだけ地球人離れしていると言える。)
サーガルとの関係
特筆すべきはサーガルとの種族全体での仲の良さで、アグドナの主な分布地である南部と東部では古くよりサーガル・アグドナの二大人種が強い相互協力によって歴史を刻んでいる。
惑星タル南部最大の街であり、原作世界観においてもほぼ舞台の中心でもある「ゴールドリング」はサーガルとアグドナが手と手を取り合って長い歴史を歩んできたからこそ築き上げられた賜物でもある。
主にサーガルが肉体労働や狩りなどの野性的な能力を活かしてアグドナ達を守り支えつつ、アグドナ達は技術開発や字の読み書きを発展させるなどの文化的な能力を活かしてサーガル達をサポートし、二種の長所がそれぞれ噛み合った連係プレーによって飛躍的に文明発達した。
そのため南部と東部の地ではサーガル・アグドナの共同大家族がごく当たり前であり、その中では人種と性別の違いをも問わない愛の育みがある。エルタス人は異なる人種同士で子供を作ることは出来ないため実際にサーガルとアグドナの間に子が宿ることは無いが、実子であるかどうかを問わずにお互いの子供を分け隔てなく世話をし、平等に可愛がる。
ファンアート(二次創作)において
アグドナも他のビロウス世界観に関した二次創作同様に、主に海外のケモナー間や創作界隈においてオリジナルキャラ製作などの創作を行うファンが存在する。
しかしビロウス世界観の二次創作における人気と知名度ではサーガル・ネウリアが突出した二強であり、この二種に比べてアグドナの人気はかなりマイナーなほうである。(下手をすると同じエルタス人の勢力であるにも関わらず、対になるタリクシアン系生物の二次創作のほうがアグドナよりも多い)
これはビロウス公式のイラストにアグドナがメインで描かれているイラストが長らく少なかったことが大部分の原因と考えられる。ここ近年ではアグドナがメインに描かれている公式イラストが比較的増えたことや、原作漫画内でも随所で活躍が見られることから、それに比例して海外ファン間ではアグドナのキャラもじわじわと増えてはいる。
しかしいずれにしても、アグドナに強く注目して精力的に二次創作がしたい人はビロウスファンの中でもかなりの玄人であるかもしれない。