十条姫和
じゅうじょうひより
「私は自分のすべきことを果たすだけだ」
CV:大西沙織
概要
刀使養成機関・伍箇伝の一つである平城学館(奈良県)に在籍する中等部3年の14歳。
母の死に絡む因縁を背負い、刀使の頂点に立つ折神紫を討つことを心に誓っている。真面目でストイックな性格から、不器用なほど真っすぐに目的達成へ突き進んでいく。刀使であった母譲りの資質を持ち、迅移による超高速の突きを得意とする。
人物
一言でいえば馬鹿がつくほどの真面目な性格で、自分にも他人にも妥協を許さない。天真爛漫な衛藤可奈美や古波蔵エレン、マイペースな益子薫には調子を乱されがちである。
母の仇討ちのために行動していたこともあり、物語の当初はかなりツンケンとした振る舞いをしていた。後に仲間となる面々(可奈美、柳瀬舞衣、糸見沙耶香、エレン、薫)にもそれぞれ一度は「目的の邪魔をするなら貴様も斬る」という趣旨で刀を向けている。一方で、人々を守る使命を持つ刀使として人間(荒魂と化した人間も含む)を殺めることについて葛藤を抱えてもいた。無謀といえる暗殺計画を単身実行することになったのもそうした生真面目さゆえかもしれない。
決して愛想よくはないが恩義を受けた相手への礼は忘れない。病気がちだった母親の世話をしていたこともあり、料理や掃除は得意なようである。
刀使としては高速移動能力である迅移に長け、相手が迅移しても回避はおろか視認すらできないほどの速度を自負する。実際、同じく迅移を得意とする沙耶香との戦闘でも速度差で圧倒している。一直線に限界まで加速しながら繰り出す突きは、姫和の人格を象徴するかのような必殺技である。
チョコミントアイスが大好物で「歯磨き粉みたい」と言われると激怒する。ただしチョコミント味さえあればいいかのように決めつけられると嫌がる。縁日のミント味バナナチョコにも目を輝かせていたのだが……。
容姿は黒髪ロングに凛とした顔立ちの和風美少女といった風貌。胸が小さいことを気にしているらしく、薫に「エターナル胸ぺったん女」などと揶揄されては怒っている。薫の「ペット」である荒魂ねねを執拗に敵視していることへの仕返しであるため姫和にも非はあるのだが、当の薫がどう見ても自分よりお子様な外見のためか相当頭に来るようである。
経歴
元刀使の女性、十条篝(かがり)の娘として奈良県に育つ。
あるとき病床の母に宛てられた一通の手紙を読み、警察庁特別刀剣類管理局局長(つまり刀使に関する最高権力者)の折神紫が荒魂になり代わられていること、更には母の病因がその荒魂との戦いであったことを知ってしまう。その手紙によれば、20年前に起きた「相模湾岸大災厄」と呼ばれる大荒魂出現事件の際に折神紫と共に出撃した特務隊の一人が姫和の母である十条篝(当時は旧姓の柊篝)であったという。篝は大荒魂を討伐する能力を持った唯一の刀使であったが、討伐は結局失敗に終わった。このとき篝は刀使としての能力と寿命の一部を失い、大荒魂は討伐されたように装い紫に憑依した。紫になり代わった荒魂が国を救った英雄として祭り上げられる一方、篝の名は事件の記録から抹消された。
本編の1年前に篝が亡くなり、姫和は自らの手で折神紫を討つ決意をする。刀使としての使命感と母の仇への復讐心、2つの動機に突き動かされながら。
第1話における折神家御前試合(伍箇伝各校を代表する刀使による剣術大会)に出場した姫和は、古波蔵エレンらを破って決勝戦へ進出する。紫が折神家当主として決勝戦を観覧に訪れたのを見てとり、姫和は対戦相手の衛藤可奈美には目もくれず試合開始と同時に紫に斬りかかった。しかし渾身の一撃を紫に防がれ、逆に折神家親衛隊の獅童真希に斬られたことで一転して窮地に陥る。このとき無関係のはずの可奈美が助太刀に入り、辛くも試合会場からの脱出に成功する。
共にお尋ね者となった可奈美の「協力して逃げよう」という申し出を当初は拒むが、可奈美の強引な態度に根負けし、更には先の戦闘の最中に可奈美が紫の正体を垣間見ていたことを知ってなしくずしに同行を認めた。追手から逃れるために共闘する中で可奈美の覚悟を知った姫和は、篝への手紙に書かれていた「大災厄」の顛末を打ち明ける。可奈美は全ての事情を聞いた上で改めて姫和の目的に協力することを誓い、2人は互いへの信頼を深めた。
逃亡を続ける姫和と可奈美は、謎の人物ファインマンとその関係者であるエレン・益子薫によって、反折神紫体制組織「舞草(もくさ)」に誘われる。エレンたちの協力もあって折神家親衛隊の追撃を振り切った姫和と可奈美は舞草の本拠地である隠れ里にたどり着く。