十条姫和
じゅうじょうひより
「私は自分のすべきことを果たすだけだ」
刀使養成機関・伍箇伝の一つである平城学館に在籍する中等部三年生。
母・篝(かがり)の死に絡む因縁を背負い、刀使の頂点に立つ折神紫を討つことを心に誓っている。真面目でストイックな性格から、不器用なほど真っすぐに目的達成へ突き進んでいく。刀使であった母譲りの資質を持ち、迅移による超高速の突きを得意とする。
クールな物腰と馬鹿がつくほどの真面目な性格をしており、自分にも他人にも妥協を許さない。天真爛漫な衛藤可奈美や古波蔵エレン、マイペースな益子薫には調子を乱されがちである。
母の仇討ちのために行動していたこともあり、物語の当初はかなりツンケンとした振る舞いをしていた。後に仲間となる面々(可奈美、柳瀬舞衣、糸見沙耶香、エレン、薫)にもそれぞれ一度は「目的の邪魔をするなら貴様も斬る」という趣旨で刀を向けている。一方で、人々を守る使命を持つ刀使として人間(荒魂と化した人間も含む)を殺めることについて葛藤を抱えてもいた。
平城学館に編入後は折神紫の暗殺準備に専念しつつ、下手に関係を持つことで他人を巻き込まないために徹底してクラスメイトたちと距離を取っていた。そのため唯一何かと気にかけてくれた岩倉早苗に対してもややそっけない態度を取っていた。
このように決して愛想良いとは言えない性格だが、恩義を受けた相手への礼は忘れない。
病気がちだった母親の世話をしていたことから料理や掃除は得意なようである。
チョコミント味のお菓子が大好物で、指名手配犯として逃亡中にも理由を付けてチョコミントアイスを買いに行ったほど。「チョコミント味さえあればいい」かのように決めつけられると不快感を示すが、縁日のミント味バナナチョコに目を輝かせたり沙耶香のバースデーケーキに(却下されたが)チョコミントケーキを強く推したりと、隠しようもなく一途にチョコミントを愛している。チョコミント党のご多分に漏れず「歯磨き粉みたいな味」と言われると激怒することを可奈美や薫にイジりのネタにされている。なお、ドラマCDではチョコミントが来日した由来に関するやたら細かい知識を、何故か詳しく知っていることが判明。それを可奈美や舞衣相手に長々と講義している。
黒髪ロングに凛とした顔立ちの和風美少女といった風貌。
胸が小さいことを気にしているらしく、薫に「エターナル胸ぺったん女」「ヒヨヨン・ザ・ナイペッタン」「ホライズン胸」などと揶揄されては怒っている。
下着姿
水着姿
もともとは薫の「ペット」である荒魂ねねを執拗に敵視していることへの仕返しだったため姫和にも非はあるのだが、最近では薫も単純に姫和の反応を面白がってからかっている様子。なお当の薫はどう見ても姫和よりお子様な外見(しかも学年は薫の方がひとつ上)である。
迅移について特殊な才能を持ち、シフトチェンジ無しで一瞬にして三段階迅移の速度に到達するという破格の能力を誇る(通常は一段階→二段階→三段階と順次加速する必要がある上、そもそも三段階に到達できる刀使自体がまれ)。この三段階迅移で加速しながら繰り出す突き技を「ひとつの太刀」と名付けている。ひとつの太刀は迅移を使用している相手にさえ視認・回避を許さないほどの強力な必殺技であるが、使用後は姫和自身が極度に消耗して数日間は能力を低下させるというリスクもある。上述の迅移に関する才能は母方の柊家の刀使のみに代々受け継がれた資質であり、姫和の母は迅移の限界である五段階(極限の加速によって一瞬が永遠となり、現世に戻れなくなる階層)に到達しえたという。
編入生であるため正式な刀使としての経験は1年ほどだが、母や母の実家の人間に学んだ剣術の腕前は非常に優秀である。事実、御前試合ではひとつの太刀を温存しながら並みいる刀使を破って決勝に勝ち上がっている。
御刀は母・篝から受け継いだ|小烏丸。先端から中ほどまでが両刃になった「鋒両刃造(きっさきもろばづくり)」という特殊な形状を持つ。伊勢神宮から遣わされた大鴉に授けられたという伝説がある。篝の引退後に適合する刀使がおらず平城学館に預けられていたが、姫和の編入と前後して学長の五條いろはを通じて密かに授けられた(作中では明示されていないが、いろはが姫和の使命を間接的に支援したと見ることもできる)。
ある事情から小烏丸には大荒魂に有効な攻撃ができる特性が付与されており、同じ性質を持つ可奈美の御刀千鳥とはたびたび不可思議な共鳴反応を起こす。
流派は鹿島新當流。戦国時代の剣術の色合いを強く残し、様々な技法が伝えられている古流。剣だけではなく、槍や薙刀などを相手にしての技法もあるなど、戦場で使われた実戦剣術であると同時に、鹿島神宮との縁から神秘的な側面も持ち合わせている。
胎動編(第1話~第12話)
元刀使の女性、十条篝の娘として奈良県に育つ。
あるとき病床の母に宛てられた一通の手紙を読み、警察庁特別刀剣類管理局局長(つまり刀使に関する最高権力者)の折神紫が荒魂になり代わられていること、更には母の病因がその荒魂との戦いであったことを知ってしまう。その手紙によれば、20年前に起きた「相模湾岸大災厄」と呼ばれる大荒魂出現事件の際に紫と共に出撃した特務隊の一人が十条篝(当時は旧姓の柊篝)であったという。篝は大荒魂を討伐する能力を持った唯一の刀使であったが、討伐は結局失敗に終わった。このとき篝は刀使としての能力と寿命の一部を失い、大荒魂は討伐されたように装い紫に憑依した。紫になり代わった荒魂が国を救った英雄として祭り上げられる一方、篝の名は事件の記録から抹消された。
本編の1年前に篝が亡くなり、姫和は自らの手で紫を討つため平城学館に編入する。刀使としての使命感と母の仇への復讐心、2つの動機に突き動かされながら。
第1話における折神家御前試合(伍箇伝各校を代表する刀使による剣術大会)に出場した姫和は、古波蔵エレンらを破って決勝戦へ進出する。紫が折神家当主として決勝戦を観覧に訪れたのを見てとり、姫和は対戦相手の衛藤可奈美には目もくれず試合開始と同時に紫に斬りかかった。しかし渾身の「ひとつの太刀」を紫に防がれ、逆に折神家親衛隊の獅童真希に斬られたことで一転して窮地に陥る。このとき無関係のはずの可奈美が助太刀に入り、辛くも試合会場からの脱出に成功する。
共にお尋ね者となった可奈美の「協力して逃げよう」という申し出を当初は拒むが、可奈美の強引な態度に根負けし、更には先の戦闘の最中に可奈美が紫の正体を垣間見ていたことを知ってなしくずしに同行を認めた。追手から逃れるために共闘する中で可奈美の覚悟を知った姫和は、篝への手紙に書かれていた「大災厄」の顛末を打ち明ける。可奈美は全ての事情を聞いた上で改めて姫和の目的に協力することを誓い、2人は互いへの信頼を深めた。
逃亡を続ける姫和と可奈美は、謎の人物ファインマンとその関係者であるエレン・益子薫によって、反折神紫体制組織「舞草(もくさ)」に誘われる。エレンたちの協力もあって折神家親衛隊の追撃を振り切った姫和と可奈美は舞草の本拠地である隠れ里にたどり着く。
隠れ里にて姫和たちは折神朱音・真庭紗南・ファインマン(本名リチャード・フリードマン)という舞草の幹部たちから「大災厄」時に起こったことの詳細を聞かされる。その中で、篝とともに大荒魂タギツヒメと戦って彼女の命を救ったのが可奈美の母・衛藤美奈都(当時の姓は藤原)であったことが明かされる。可奈美自身すら知らなかった事実に驚きながらも、母たちと大荒魂の因縁を知った姫和と可奈美は覚悟も新たに舞草への正式な参加を決意する。
そんな矢先に紫(タギツヒメ)によって隠れ里の場所が突き止められ、里は機動隊によって包囲される。姫和たちは朱音とフリードマンを連れて脱出したが、長船女学園などの拠点も一斉に押さえられた舞草は壊滅状態となった。更に大荒魂の復活の前兆である「隠世の波動」が観測されたことを受け、もはや一刻の猶予もないと判断した姫和たち6人は折神家本部へ起死回生の強襲をかけた。
姫和と可奈美は迎撃に現れた真希と此花寿々花を破り、ついに紫のもとにたどり着く。「龍眼」の未来予測によってあらゆる攻撃を防ぐ紫の前に姫和と可奈美は劣勢を強いられ、舞衣・沙耶香・エレン・薫が合流して6対1で仕切り直すも、仲間は次々に紫に討ち取られ姫和1人を残すのみとなった。絶体絶命と思われたとき、可奈美が突然立ち上がり母の美奈都の人格が憑依したかのような戦いぶりで紫に大打撃を与えた。好機と見た姫和はかつて母が使ったのと同じ「真のひとつの太刀」で紫を刺し貫く。そのまま紫もろとも隠世の彼方に消えようとした姫和を寸前で可奈美が引き戻し、奇跡的に2人は無事に生還した。
紫に憑依したタギツヒメは打ち倒され、篝から引き継いだ姫和の悲願は果たされた……かに見えた。
波瀾編(第13話~第24話)
タギツヒメとの決戦から4ヵ月が過ぎ、姫和は刀使としての一線を退いて奈良の実家に戻っていた。力を失って逃げ去ったタギツヒメの復活は当分先と予想されたのもあってどこか気の抜けた様子で過ごしていたのだが、家を訪れた五條いろはから「フードの刀使」によるノロ強奪事件について知らされ、その対策要員として再び現場に復帰する。
鎌倉の管理局本部にて可奈美たちと合流した姫和は、朱音からフードの刀使の正体が「タギツヒメが3体の大荒魂に分裂した内の1体」であることを知らされる。姫和は大荒魂の早すぎる復活にショックを受けながらも、人間を敵視するタギツヒメから他の2体(タキリヒメ・イチキシマヒメ)を守るべく戦うこととなった。
可奈美らとともにイチキシマヒメが匿われた潜水艦を訪れた際には、荒魂が抜けた「素の」折神紫と対面している。未だ残る憎しみを隠せないでいる姫和の心情を察し、紫は姫和と可奈美を呼び出して彼女たちの母を「大災厄」の犠牲にしてしまった件を謝罪した。姫和のわだかまりは消えなかったが、可奈美の「お母さんは死ぬまで幸せそうだった」という言葉を聞き、それ以上紫を責めることはしなかった。
大荒魂とも剣を通じて分かり合おうとする可奈美に対し、姫和は「荒魂は荒魂。斬って鎮めるほかない」という姿勢を崩さなかった。しかし物語終盤において「紫の窮地を救うため自分の力を託したい」というイチキシマヒメの懇願を聞き、強く嫌悪した行為であった大荒魂との融合を受け入れた。
イチキシマヒメとの融合によって雷神の力を得た姫和は、龍眼を身につけることで力が暴走し、仇敵である紫の助力もあって制御を試みる。この際、イチキシマヒメの能力で紫の本意を知ったことで、母の死の原因について「誰かが悪いわけではない」ということを思い知らされ、大きく狼狽している。
しかし紫の助言もあり、タギツヒメを再び倒すことに成功する。だが、紫のように十数年も大荒魂を身体に留めておくことは不可能と実感し、タギツヒメのノロを吸収した後は、自ら隠世に落ちて全てを終わらせようとした。
自害同然の消滅は可奈美の体を張った説得によって思いとどまったが、直後に身体から飛び出したタギツヒメによって逆に吸収されてしまう。
このため一時は死亡したかと思われたが、御刀同士の共鳴により姫和が生きていることが判明。可奈美と紫の奮戦によってタギツヒメの内部から救い出され、皆の元へと戻る。そして合流後は仲間たちとともに最後の戦いに臨んだ。
最終決戦においてタギツヒメの迅移に次々と味方が置いていかれる中で姫和と可奈美、紫が最後まで残る。紫が仕掛け損なった「封印の儀」を姫和が引き継ぎ、可奈美がそれを手助けする形で完全な封印を成し遂げた。タギツヒメは二度と現世に戻れない隠世の果てに追いやられたが、代償として姫和と可奈美も同じく隠世へと飛び去ってしまった。
その後、隠世の中で20年前の姿で存在していた母(すなわち柊篝)と再会し、紫のことを恨んだりはしていないことを伝えられ、ようやくわだかまりが解けた。最後は篝と美奈都の導きもあり、可奈美と晴れて二人で現世への帰還を果たした。
本編後(ドラマCD等)
隠世との往来による心身への悪影響もなく無事に平城学館の高等部に進み、刀使を続けることになった。前年に続き御前試合の決勝に進出するなど、実力は健在である。その一方で、イチキシマヒメとの融合の際に知ったノロや隠世に関する深遠な知識を断片的に思い出すことがあり、彼女が新たなトラブルに巻き込まれる要因になるのではないかと真希と寿々花に危惧されている。
みにとじ
「みにとじ」では第1話において木寅ミルヤから、「ツンデレ・異常に早い」と分析され、素早い動きができる理由を「空気抵抗が少ないからか」と(影で)酷い考察をされている。ちなみにミルヤは、姫和とは真逆のものをお持ちである。
第10話(最終回)では自身のスマホに届いた薫からのメールの中で、「大和平野」という奈良盆地の別名まで出され(わざわざ「盆地」ではなく「平野」を使う辺りが薫らしいというべきか)て侮辱され、当然ながらブチ切れた。
なお、今まで公式サイトでも触れられなかったのにもかかわらず、みにとじの公式サイトではその貧乳っぷりを大々的にいじられている。
一方で清香に半ば無理矢理加入させられたホライズン同盟についてはそれなりに愛着があるのか、美炎の助けを求める声に応じる際は「同志」とまで称した。
ゲーム『刻みし一閃の燈火』
単体特技・全体特技と両方の特徴を持つ、どちらにせよ攻撃型のスキルに長けたユニットが多い。イチキシマヒメを取り込んだ雷神形態も水着バージョン周辺から実装されるようになった。他のキャラのエフェクト技がかなり誇張された表現になっているのに対し、姫和の技は数少ない原作再現奥義といえる。
もうひとりの主人公という性質上、最高レアとなる☆4の実装数は非常に多い。が、常設ガチャ落ちしているのが2020年5月時点で3体とやや控えめで、最高レアの入手難易度はやや高い。「姫和を編成して勝利」というチャレンジもしばしば見られるため、☆4が登場した際はなるべく頑張って入手したいところ。
『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』とのコラボではダンまち世界に転移する模様。中の人が同じアイズ・ヴァレンシュタインと対面した上に、アイズの鎧と同じ物を装着して戦うとのこと。
ん?ヴァレンなにがしの鎧って、胸が… ←しょうちしたきさまはきる
なお、中の人ネタでレフィーヤ・ウィリディスが彼女とアイズを間違えて話しかけてしまい、彼女に怒られるシーンがある。
仮想空間用のぴっちりレオタードなVRS装備が実装された際、木寅ミルヤや辰浪桃に比べてひよよんにはあんまりな装備…などという声もあった。
しかし仮想空間なので何でもアリということで本人宿願のナイスバディな姫和が登場することになった(「作画ミス」だの「盛り過ぎ」だの言われていたが…。ちなみに同じ装備をした獅童真希にも、可奈美とミルヤの中の人に「女性らしいイメージが…」などと言われている…)
イベント時空では紫や親衛隊とそれほど仲を拗らせていない。また、本編後の時空では避けていた岩倉早苗とも距離を縮めている。
番組きってのイジられキャラ
薫による貧乳いじりがファンの間で話題になっている。
結果、本人はセリフとして話していない「しょうちしたきさまはきる」Tシャツや、大和平野をモチーフにしたTシャツなどが発売されることとなった。
生放送で大西沙織が出演すると、開幕から本編における姫和の貧乳いじりコメントが大量に打ち込まれ、大西が激怒して突っ込みを入れるのがお約束である。
ちなみに放送前半ではあまり人気が出ず、人気投票の結果も芳しくなかった。これはゲーム版のプロデューサー曰く「いきなり人に斬りかかっていたうえ、人を寄せ付けない態度を取っていたため敬遠されたのではないか」と憶測している。
しかし、本編における貧乳・チョコミントいじりのネタでピリピリしたイメージが緩和され、『みにとじ』放送後に行われた人気投票では結芽、可奈美に継ぐ3位に上昇。
目に見えて人気が上がったことは関係者間でかなり話題になっているようだ。
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