プロフィール
概要
彼女の持つ稀少魔法に由来して【千の妖精(サウザンド・エルフ)】の二つ名を持つ。
外伝『ソード・オラトリア』では、アイズに並ぶもう一人の主人公的存在。
魔力に秀でて多種族にも開放的なエルフが暮らす『ウィーシェの森』の出身で、【ロキ・ファミリア】加入前は『学区』と呼ばれる教育機関に在学。『学区』時代は校長を務めるバルドルを主神とした【バルドル・クラス】に在籍し、【ナイト・オブ・ナイト】の名で名高い教師筆頭であるレオン・ヴァーデンベルクの教えを受け、入学から三年目にはLv.2へのランクアップを果たしていた。
本編から三年前の『学区』のダンジョン実習で、偶然出会ったアイズの戦う姿に憧れを抱き、彼女を追って【ロキ・ファミリア】に入団する事を決意する。
人物像
容姿
腰の下にまで届く山吹色の長髪をポニーテールに纏めている、エルフの少女。
エルフらしく可憐な容姿をしている。
性格
エルフにしては喜怒哀楽がはっきりしており、好感を持たれることも多い。基本誰に対しても心優しく接する人物で、困っている人や孤立している人を放っておけない等、ややお節介な面も見せる。また、やたらと思い込みや妄想癖が強く、自分の身近な人物のことで暴走しやすい一面もある。
本編当初は精神的に弱い面が目立ち、咄嗟の時に実力を発揮出来ず、度々アイズ達に助けられては彼女達の足手まといになってしまうことが多く、自身の不甲斐なさを申し訳なく思っていたが、幾度の死線を乗り越えて行く事で次第に成長していき、自分の力で境地を退き、仲間達を救う場面も増えていく。
ちなみに「私情や私怨に囚われやすい」「嫉妬深い」「嫌いな相手には理不尽な絡み方をする」「考え方が極端になりやすい」という欠点もあるが、これらは全て主神のロキにもある特徴で、派閥内で一番主神に似ていると言える。ちなみに漫画版『ソード・オラトリア』では、水浴びするアイズを見て興奮する姿が描かれており、その様子を見た椿・コルブランドからは「神ロキと同類か」と指摘されてしまい、吐血するほどショックを受けていた。
ベルとの関係
本編の主人公であるベルに対しては、他派閥でありながら自分の憧憬であるアイズと親しい事から凄まじい敵対心と嫉妬心を抱いており、彼の事を一方的にライバル視している。その為、ベルと遭遇するたびに普段の心優しい性格から一変し、理不尽な事を言いながら追いかけまわすのがお約束。当然ベルはそんなレフィーヤの事を苦手にしており、彼女と出会うたびにまるでミノタウロスと遭遇してしまったかのような反応を見せている。
ベルに負けまいと奮闘するようになってからは周囲が驚くほど成長が早くなったのだが、『世界最速兎(レコード・ホルダー)』であるベル相手に成長速度で敵うわけもなく、彼の活躍とランクアップの報を聞くたびに悔しがる日々を送っている(周囲からは未だにベルの事をライバル視できる方が凄いとまで言われる始末である)。
このようにベルを敵視しているレフィーヤだが、幾度かの交流でベルの人柄自体はちゃんと理解しており、『異端児(ゼノス)』を巡る事件の際にも、ベルの行動に真意があるとすぐに見抜く等、ある意味アイズ以上に彼の理解者となっている。『狂乱の戦譚(オルギアス・サガ)』で『憧憬』を失って自分を見失いかけた際も、ベルの事が話題になると僅かながら自分らしさを取り戻す様子を見せており、また彼が『学区』の後輩にあたるニイナから熱い視線を向けられている事に気付いた際は『イラァ』とする等、無自覚ながらもベルの存在が胸中で大きくなっている様子を見せている。
『メモリア・フレーゼ』ではベルとの絡みが非常に多いが、やはり出会い頭に理不尽な罵倒や、魔法による攻撃を行ったりもしている。ちなみに『メモリア・フレーゼ』では、ベルと共に戦う事も多いが、いざ共闘すると抜群の連携を見せている。
人間関係
ファミリアの幹部にして憧憬の女性。彼女に憧れて冒険者となったレフィーヤだが、その想いは危ない領域にまで達しており、彼女の妄想をよくしている。その為、周りからは白い目で見られる事もしばしば。
ファミリアの幹部だが、同世代という事もあってアイズ同様彼女たちとも親しく、よく四人一緒に行動している。
ファミリアの副団長にして魔導士の師匠。彼女からは自身の潜在能力を見込まれており、後継者としてその成長を期待されている。もっとも、指導はかなり厳し目。
かけがえのない親友。外伝3巻で起きたダンジョン24階層での騒動が切っ掛けで親しくなる。【ロキ・ファミリア】が【ディオニュソス・ファミリア】と同盟を結んだ後は、フィルヴィスから指導を受ける事になり、それらの成果により並行詠唱を習得し、同時に彼女の障壁魔法【ディオ・グレイル】を託される。レフィーヤにとっては良くも悪くも大きな影響を与える人物となった。
作中の動向
【ロキ・ファミリア】入団前
エルフの里「ウィーシェの森」で生まれ育ったレフィーヤは、里の特異さもあってか、一般的なエルフの様に頑固で矜持や同族意識に凝り固まる事の無い、純真で心優しいエルフの少女となっていた。「外の世界」に憧れを抱きながらも、やや臆病かつ優柔不断であった為に旅立ちを実行する勇気を持つ事は無かったのだが、8歳の時に『学区』の巨大浮遊艦である『フリングホルニ』が近くの港町へ寄港したのを機に旅立ちを決意。
両親を説得して『学区』の入学試験に挑み、見事合格を果たしたレフィーヤは、『学区』の総責任者であるバルドルが主神である【バルドル・クラス】へと入学し、彼から『神の恩恵(ファルナ)』を刻まれ眷族となる。個性的な同級生達に囲まれながらも順風満帆な日々を送り、入学から三年後にはLv.2へのランクアップを果たすも、自分の夢は見つけられずにいた。
『フリングホルニ』が『迷宮都市オラリオ』に帰還した際、【ロキ・ファミリア】からアキとアリシアの二人が『眷族募集(リクルート)』に来るが、彼女達の華やかさや同級生のアリサに勧められた事もあって、冒険者という職業に強い興味を抱くも、冒険者稼業の過酷さを知っているアキからは「人に言われて何となくなら冒険者を目指すのは止めなさい」と警告される。
自分の進路に思い悩みながらもオラリオで『学区』の授業を受けていたが、仲間達と共に『ダンジョン実習』を行った際に、17階層の階層主であるゴライアスに襲われてしまう。何とか魔法で応戦しようとするも通用せず最早これまでかと思われたその時、【ロキ・ファミリア】のアイズ達に救われ、彼女たちと共にゴライアスを撃破。この時見たアイズの姿に強い憧れを抱き、【ロキ・ファミリア】に入団する道を選ぶのだった。
【ロキ・ファミリア】入団後
【ロキ・ファミリア】の一員として様々な経験を積んでいく中、【ディオニュソス・ファミリア】の団長であるフィルヴィスと出会い、最初は素っ気ない態度しか向けられなかったが、彼女を放ってはおけない想いから何度も交流しようとした結果、親しい間柄となっていく。
そんな中、ファミリアの仲間達に内密に近い形で朝の訓練へと向かう様になったアイズをこっそりと追いかけていた際に、【ヘスティア・ファミリア】に所属する新米冒険者であったベルと鉢合わせする形で「出会い」を果たす事になる。
初対面時こそ、手を差し伸べた彼の手を握る事に躊躇しなかったものの(作中、エルフ族のほとんどは同族以外の初対面の者に触れられることを嫌う)、アイズに目をかけられている事を知ってからは、ベルに対し、やや理不尽とも言える嫉妬や敵意の入り混じった感情を持つ様になる。
ベルへの対抗心から、彼との特訓の事を仲間達へ口外しないことを条件に自分自身もアイズに師事を請おうとした事もあったが、ベルへの対抗心が先走りし過ぎて、アイズが剣士・自分が魔道士という全く異なる戦闘タイプである事を考えず、初特訓時に何から始めればいいか分からなくなってしまう等、本末転倒な展開も見せる。
真相の59階層への遠征からの帰還後、【ロキ・ファミリア】は18階層に留まる事になるが、そこへ様々なアクシデントから必死に逃げて来たベルがリリルカ・アーデやヴェルフ・クロッゾの二人と共に、18階層へと流れ着いてくる。
その後、ベル達を探しにやって来たヘルメスの悪ふざけで水浴びしていたアイズ達の前に落とされたベルを魔法で半殺しにしようとする、アイズの先祖ではないか?とティオナにエルフの女王の名を聞かれて答えたベルを怒鳴る、ベルと顔を合わせる度に執拗に追い回す等しているが、仲間とはぐれ、成り行きで二人で行動を共にする。
そんな中、『闇派閥(イヴィルス)』に所属していると思われる人物達を目撃し追跡しようとするのだが、極彩色のモンスター巨靫蔓(ヴェネンテス)の潜んでいるトラップに引っ掛かってしまい、ベルと共闘。この一件を経た事で、ベルに対する態度を若干軟化させ、多少はベルの事を認めるようになっていくが、彼に関する話では感情的になり易くなる。
クノッソスへの最初の侵攻に失敗し、団員に多数の犠牲が出た後、「武装したモンスター」である『異端児』達がリヴィラで大暴れし、『ギルド』が【ガネーシャ・ファミリア】以外の全ファミリアに待機命令が下った事に不信を感じたフィン・ディムナの命令でダイダロス通りへと赴くも、そこでベルが魔物(モンスター)の排除を遮るだけでなく、フィンやアイズ達に攻撃まで仕掛ける光景に驚愕。アークス達と共に追撃を行う事になるも、ベルが自身の魔法攻撃の前に無防備も同然で飛び出す姿を見た結果、慌てて魔法を解除し、彼が『意地汚い冒険者』を演じてまで身を挺して魔物を庇っていたという事実に気付いてしまう。
ダイダロス通りでの一騒動後に【ヘスティア・ファミリア】のホームである「竈の館」の監視任務に着いていた時も、彼に真意を問う為に監視任務中にもかかわらず乗り込むばかりか、対応したサンジョウノ・春姫を無視して怒鳴り込む(ベルが可憐な春姫を盾にして良心の呵責に苛むよう仕向けてるという、無茶苦茶な曲解も交えて)等、騒ぎを起こしてしまった。
『ベル・クラネル~~~ッッ!!! 私と会って全て説明しなさぁーい!!』
仲間に連れ戻され、その後で当然任務から外され、この時他にも【ヘスティア・ファミリア】を監視していた他のファミリアからは「【ロキ・ファミリア】マジこえーよ……」、「【千の妖精】マジヤベェーよ……」と恐怖を抱かれていた。
フィンの指揮によって、『異端児』の殲滅とダイダロス・オーブを奪取した上でのクノッソスへの二度目の進行という二面作戦の中、自身はリヴェリア率いる『妖精部隊(フェアリー・フォース)』の一員としてクノッソスへの二度目の侵攻作戦に参加する。
しかし、リヴェリアに連絡を任されてクノッソスを出た際、アステリオスとベルが一騎打ちを目撃。最初こそ訳が分からず怒りを抱いていたが、直ぐに彼がアステリオスの望みである『決闘』に応えようとしているのに気付き、思わず声援を送っており(本編11巻で声援を送ったエルフの少女とは彼女の事)、ベルの冒険者としての姿に感化されていく。
その後、彼に負けずと【ロキ・ファミリア】、【ヘルメス・ファミリア】、【ガネーシャ・ファミリア】、【ディオニュソス・ファミリア】に四大派閥同盟軍による人造迷宮(クノッソス)攻略作戦に参加するが、そこで彼女の目の前である悲劇が起きてしまった結果、心に深い傷を負ってしまい、作戦失敗で終わって本拠へ帰還した後も、人形の様な状態になってしまう。
しかし、第二次クノッソス攻略作戦開始前にロキやフィン・ディムナ達首脳陣から、とある可能性を聞かされ、真実を確かめる為に再び立ち上がる事を決意。保留状態にしていたLv.4へとランクアップさせた上で、作戦に参加する。
その後、フィルヴィスの身に起きた残酷な真実を知り、追い詰められる事になるも、オラリオ崩壊計画の黒幕である『都市の破壊者(エニュオ)』との最終決戦にて、ベル達【ヘスティア・ファミリア】が参戦。エニュオの切り札であるニーズホッグと対峙し、【英雄願望(アルゴノゥト)】を発動させたベルの大鐘楼(グランドベル)を聞き届けたレフィーヤは奮起して、自らの戦いに決着をつけ、フィルヴィスとの永遠の別れに慟哭するのだった。
『狂乱の戦譚(オルギアス・サガ)』終結後
フィルヴィスとの哀しい別れを経て『狂乱の戦譚』を乗り越えたレフィーヤであったが、彼女を救う為に止むを得なかったとは言え、結果的に自らの手で殺した事が、レフィーヤの心に深く影を落とす事になってしまう。
オラリオの滅亡に加担したフィルヴィスを表立って埋葬する事が出来なかった事もあり、僅かに残った彼女の遺灰をエルフの霊峰である『アルヴ山脈』の山頂で風に乗せて撒く形で弔い、本拠に帰還すると、彼女の遺品となった短剣を使って、突如自らの長髪を切り落として髪を短くし、翌朝フィルヴィスの遺品となった短杖と短剣を携えると、新デザインの戦闘衣を身に着けた。
その後、ファミリアの仲間達の居る食堂に赴いたレフィーヤは、変貌した自分の姿に驚愕する一同を尻目にベート・ローガの元へ行き、突然近接戦闘の訓練をしてほしいと懇願する。
明らかに戦闘スタイルが異なる事もあってか、ベート自身はすぐに拒否し、ティオネ・ティオナからも止められるが、食い下がるかの様に諦めようとしないレフィーヤは、「変わらなければならない自分にとって『一番加減をしてくれないベートが適任』だ」と考え、その後も説得を続けてベートが折れる形で鍛錬を了承させる。
鍛錬では、ベートからの容赦無い攻撃と罵倒を受け続けながらも、ひたすら立ち上がり学び続け、訓練以外にも自己鍛錬やダンジョンに潜ったり等、しっかりと計画しつつ鍛錬を続けていき、日の前には魔力の放出、夜には瞑想の訓練まで行った結果、開始から僅か二週間後の時期には、宛ら『世界最速兎(レコードホルダー)』と称されるベルの様に、ステイタスが大幅に上昇(第二次クノッソス攻略戦の分も含まれているが)し、フィルヴィスの様な「自分を守り誰をも救える『魔法剣士』」に変貌しつつあった。余談だが、鍛錬で体重が落ち過ぎたことで、種族的に好きではない肉を積極的に摂取していたが、それによって胸が大きくなってしまい、「解せぬ」と不満を零した。ティオナからしてみれば、贅沢な悩みとしか言いようが無いだろう…。
だが、その成長の仕方は、師であるリヴェリアを始めとする【ロキ・ファミリア】の面々にとって、あまり芳しいとは言えないものであった。
何かに取り憑かれた様に強くなる事に執心してしまっていた今のレフィーヤは、誰が見ても異常にしか見えず、以前の様にティオネやティオナやアイズにさえも「甘え」を一切見せないばかりか、心配して諭そうとする仲間達を「論破」によって拒絶する等、取り付く島の無い状態となっていた。しっかり休養こそするものの、その分も訓練の密度を上げてしまう為、リヴェリアを長嘆させており、姉同然の存在であるアリシアやアキ、同室で付き合いの長いはずのエルフィでさえも「レフィーヤがレフィーヤでなくなる」様な恐怖を抱いている。この様子をリヴェリアは「(入団当初の)アイズの二の舞」と見ており、最初こそ「生意気なドチビの子なんて追い抜いたれ」と言わんばかりであったロキでさえ、「前のアイズよりも、ヤバイ所がある」と評している。
また、強くになる事への欲求の動機が「憧憬の対象であったフィルヴィスを失った事での『後悔』」であった事から、「アイズに気に掛けられているベルへの『対抗心』」が動機であった我武者羅さとは異なる、ある種の自暴自棄な状態であったとも言え、これはウィーネを失ってしまった場合のベルとほぼ全く同じである(この時のレフィーヤは「ウィーネを【ロキ・ファミリア】から守れなかったベルのIFの可能性」そのものに近い)。
何よりもまずかったのは、レフィーヤには一見無茶とも言える魔導士から魔法剣士への転身において、それをこなせるだけの「資質」に恵まれていた事(つまり、魔導士と剣士、そして魔法剣士の「天は三物を与えん」ばかりの才能)にあり、それに「執念」と「覚悟」までもが加わった結果、ベートからの苛烈な訓練にも噛み合って、歯止めが利かなくなる一方となっていた。
おまけにトドメと言わんばかり、自分が小遠征に出ていた間に【フレイヤ・ファミリア】から本格的に狙われてしまったベルが、『派閥大戦』で多くの助けがありながら、オラリオ最強の冒険者であるオッタルを降す形で勝利。更にその時にはLv.5にランクアップ…つまりは自分を完全に出し抜く形で、第一級冒険者の仲間入りまでも果たしてしまった。
「は?」
「どういうこと?」
「いえ別に私も負けてませんけど?」
「負けてませんけど、ダンジョンに行く回数増やそう……」
結果、最悪なダメ押しとなってしまう形でベルへのライバル心までもヒートアップさせたレフィーヤは、鍛錬の量と質をますます上げてしまい、この時ばかりはアイズを始めとする【ロキ・ファミリア】の面々がベルを恨む事になった(レフィーヤ本人のイメージでは、「赤い爆炎から、静かでより高温の青い深炎に変わった」)。
亡き憧憬に対する過剰なまでの執着心により、レフィーヤが「『レフィーヤ・ウィリディス』を捨てて『フィルヴィス・シャリア』そのものになろうとしている」という事実を看破したリヴェリア達は不安視するが、どんなに諫めてもレフィーヤに自分達の声が届かず、お手上げ状態だった。
そこでロキは、丁度オラリオに来訪するレフィーヤの元学び舎の『学区』を利用し、レフィーヤを『募眷族官(リクルーター)』に任命する。レフィーヤは渋っていたが、ロキに正論を次々と突き付けられて断り切れず、言いくるめられて渋々引き受ける。
その後、ロキとともに久しぶりの『学区』に訪れ、自分を「偉大なファミリアに入団し大いに活躍している先輩」として崇拝する後輩達から熱烈な歓迎を受けた後、元主神のバルドルと元級友のアリサ・ラーガストたちと再会。すると、バルドルから【バルドル・クラス】の『第七小隊』の『教導者(インストラクター)』を依頼される。
一方、再会したバルドルからは「見違えた」と評されるレフィーヤであったが、これは成長による「感心」では無く、心の余裕を無くしてしまった彼女が文字通り「別人」へと変節しつつある事への「危惧」から来たもので、バルドルやレオンは、レフィーヤが取り返しのつかない「領域」へと一歩踏み込んでいた事を、再会時より見抜いていたのであった。旧友のアリサも、レフィーヤと再会した後に「最初誰だかわからなかった」と言っていたが、見た目が変わってわからなかったではなく、目の前のレフィーヤが本当にレフィーヤなのかと変わり果てた雰囲気によるものだった。
バルドル「もし身も心も『幻想』に追いついてしまった時……たとえ生きて帰ってきたとしても、それは私達の知るレフィーヤ・ウィリディスでは無いでしょう」
小遠征の期間の終盤、レフィーヤ率いる『第七小隊』は第15階層で突如発生した大規模な崩落に巻き込まれてしまい、ルーク・ファウルと二人きりになる。それを機に、遂にレフィーヤの心は弾けてしまう。
かつての『学区』時代、仲間達が傷付き殆ど何も出来なかった自分の無力さを痛感させた存在である階層主のゴライアスと遭遇したレフィーヤは、氷結魔法(ウィン・フィンブルヴェトル)で『第七小隊』の面々を隔離した後、単独でゴライアスに挑むという無謀過ぎる行動に出る。
ゴライアスを相手に、『魔法剣士』として積んできた訓練の成果を発揮するかの様に攻撃を仕掛けていくレフィーヤは、自らの宿敵である『兎』の如き俊敏な動きで対峙するゴライアスを翻弄し、魔法で片腕を難無く吹き飛ばす程の戦闘力を発揮。そこに現れたアルミラージを、ミノタウロスを、ライガーファングを、ヘルハウンドをも物ともせず降し、有利に持ち込むが、レフィーヤの心の中に入るフィルヴィスは笑顔を見せない所か、哀しそうな表情しか浮かべなかった。それでも敵をすべて倒せば、自分の心の中に入るフィルヴィスは笑ってくれる、褒めてくれると頑なに信じようとしたレフィーヤは、自らの『妄執』に全てを捧げる勢いで戦いを続行しようとする。だが、そこへレフィーヤが魔法で形成した氷の壁を強引に突破した『第七小隊』の面々が駆け付け、自身に死んで欲しくないと必死に叫ぶ彼(彼女)等が、自分が教導者として教えた言葉を言い放った事で、ようやく我を取り戻す。
レフィーヤが『第七小隊』の教導者に選ばれた理由…それは、彼女が憧憬であるフィルヴィスへの妄執に関する『矛盾』によって、いずれ押し潰されてしまう可能性を感じ取っていたバルドルが、他者に『教え』を行い正そうとする形で自分自身の中にあった『矛盾』に気付かせようとした為であり、自らを守らせて欲しいと必死に懇願する『第七小隊』の面々に心打たれたレフィーヤは、最終的に彼等と共に、ゴライアスを撃破した。
互いの無事を喜び合ったその後、18階層のリヴィラに辿り着いたレフィーヤ達であったが、そこにいたのは同じく崩落に巻き込まれて自力でリヴィラに辿り着いた【バルドル・クラス】の『第三小隊』と『眷族募集』の申請前に『学区』の巨大浮遊艦である『フリングホルニ』に無断侵入した挙句、兎人(ヒュームバニー)の「ラピ・フレミッシュ」を名乗って『第三小隊』の面々の中に紛れ込んでいた『覗き魔でハレンチで無礼千万な兎』こと宿敵ベル・クラネルであり、レフィーヤは態度を一変させる。
半眼になり、『学区』で起こした意味不明な行動の数々の真意を問い質し、彼の行動にバルドルが関係していた事を聞き出したまでは良かったのだが、『学区』の後輩の一人で『第三小隊』小隊長のニイナが、ラピの正体が第一級冒険者のベルと知ったことや、彼と『冒険』したことでときめいている姿を目の当たりにして『イラァ』とした結果、激おこする。
「『学区』の後輩に手を出さないでもらえますか! この万年発情兎っ!」
更に、変装時に『ギルド』の前庭で一度遭遇した際、ベルがレフィーヤを見て思わず「ひっ!?」と悲鳴を漏らした事も覚えており(その時はベルとは見抜けなかったものの、どこかで見たことがある程度には勘付いており、「ラピ」を見て「かなり『できる』」と実力も見抜いていた。ちなみに、当時はLv.1という設定で演技して、生徒達には気付かれていなかった)、それも癇に障って蒸し返し、オラリオ最強の冒険者を『派閥大戦』で制した第一級冒険者であるはずのベルに容赦の無い態度を向ける「いつものレフィーヤの姿」を目の当たりにした『第七小隊』・『第三小隊』の面々を唖然とさせるが、救援に来たアイズやティオネやティオナはいつものレフィーヤに戻った事に笑い、『学区』から駆け付けたレオンも優しい目で見守るのだった。
ダンジョンから『フリングホルニ』への帰還後、本来の自分を取り戻した姿を見た事でバルドルに安堵の表情を浮かべさせており、フィルヴィスと約束していた「光冠」の場所へ辿り着いた際には、ずっと心の内側に溜め込んでいた彼女への不満を思い切り叫ぶ形で、ケジメをつける。
その後は、以前のような無茶な特訓こそしていないが鍛錬は続けており、Lv.5になることを目指している。そこにエルフィから最新の冒険者順位(ランキング)を聞かされ、『最強女性冒険者ランキング』でリヴェリアとアイズが1位・2位だった時は饒舌に評価を語りだしていたが、自分が『女性魔導士ランキング』で4位だったことを知らされた時は大した反応はなかった。が、ベルが『都市最速ランキング』と『最美男(イケ)ランキング』でアイズより上だったことを知ると激昂(エルフィからは『最美男』はアイズの方がおかしいと指摘される)し、ランキング撤回を求めて集計した人物(シルと判明)に抗議しに行った。
本編では
このように外伝『ソード・オラトリア』では目覚ましい活躍を見せる彼女だか、本編の方では時折存在しているような描写がされるのみで、台詞もほぼ無くモブ以下のような扱いである。
一応本編15巻で台詞付きの出番はあったが、アニメ第一期BD/DVDの特典小説の再録内容なので、本編登場にカウントしていいかどうかは微妙なところである。
17巻では、名前だけだが登場。フレイヤがオラリオ中に『魅了』を施した時は、上記の出来事により、小遠征でリヴェリアら一部の団員達と深層に潜っていたため、『魅了』を免れていた。
18巻では、ベル達がオッタルと死闘を繰り広げている時に、髪の短いエルフの少女が「負けるなァ!」と叫ぶ描写があるが、恐らくレフィーヤだと思われる。
ちなみに『ソード・オラトリア』にて、『異端児』を巡る戦いが描かれた第10巻の後書きによると、当初のプロットではベルを見兼ねたレフィーヤが【ロキ・ファミリア】を裏切って【ヘスティア・ファミリア】側に加担する行動に出てしまい、それがバレてしまった結果、師であるリヴェリアと師弟対決を展開するという衝撃的な内容が予定されていたとの事。もし、この展開が採用されたら、彼女が本編に出てくる可能性もあったのかもしれないが、原作者がフィンの内面の掘り下げを行う方向に舵を切ったので、断念する事になった。
彼女が本編に登場する日が来るのかは現状不明だが、アイズに極めて近い立場にある事や、別の外伝作のあるライトノベル作品でも外伝にしか登場しないと思っていたキャラクターが後に本編で活躍する展開があったので、もしかしたらいつかは登場するのかもしれない。
能力
冒険者としてのポジションは『後衛魔導士』。ステイタスは『魔力』のアビリティに特化しており、ロキからは「馬鹿魔力」と称されるほど素質が高く、Lv.3の時点で攻撃魔法による火力だけならばLv.5以上と評されていた。
『都市最強の魔導士』であるリヴェリアからは、自身の後釜として直接指導を受けており、幹部メンバーからも期待されている。その為、ファミリアの未到達階層である59階層への攻略メンバーへも、Lv.3でありながら唯一同行を許されていた。
第二次クノッソス攻略作戦の直前に、Lv.4にランクアップを果たす。新たなスキルの発現や精神的成長により、今迄の未熟な姿を感じさせない活躍を見せ、その場で共闘していた実力者達からも、たった一人で後衛を任せる事の出来る魔導士と言われるまでに至っている。
近接戦闘は苦手で鍛錬も怠りがちだったが、一人でも戦える『魔法剣士』になる事を目指してからは、上述にある通りベートに修行つけてもらうなどして鍛えており、現在はLv.3以下の動きなら簡単に捌けるほど上達している。
ステイタス
Lv.3(最終ステイタス)
力 | 耐久 | 器用 | 敏捷 | 魔力 |
---|---|---|---|---|
? | ? | ? | ? | S960 |
魔導 | 耐異常 | |||
H | I |
Lv.4(外伝13巻時点)
力 | 耐久 | 器用 | 敏捷 | 魔力 |
---|---|---|---|---|
H120 | G221 | H199 | G217 | E419 |
魔導 | 耐異常 | 魔防 | ||
H | I | I |
※Lv.3は『魔力』以外の最終アビリティの数値は不明。ちなみに、最終ステイタス以前の数値は『力:I86』『耐久:H184』『器用:G210』『敏捷:G271』となっている。
スキル
- 妖精追奏(フェアリー・カノン)
魔法効果が増幅するスキル。攻撃魔法のみ、強化補正倍加。
このスキルの効果もあって、攻撃魔法は本来のLv.以上の威力を誇る。
- 二重追奏(ダブル・カノン)
Lv.4へランクアップした際に、新たに発現した任意発動型スキル。その効果は先行魔法を待機状態にし、別の魔法詠唱に移る事が出来るというもの。先行して詠唱した魔法の魔法円(マジックサークル)が小型化し、腕輪となって左腕に装着されることで保持できる上に、次の魔法を詠唱しながら起動鍵を唱えることで先行の魔法が起動。その直後に詠唱を終えた次の魔法が発動できる。
2種類の魔法を同時行使することは通常不可能だが、レフィーヤはこのスキルによってそれを実現させ、更に【エルフ・リング】によって数多の魔法を扱える彼女にとっては、まさに二つ名通り千の選択肢を有する戦闘が可能となる。詰まるところ、攻撃・防御・回復の属性支援を一人で行う事が出来る。
もっとも2種類の魔法を使用する為、精神力(マインド)の消費は半端ではなく、彼女の場合その選択肢の多さから、思考が短絡してしまう恐れもある。
起動鍵(スペルキー)は【追奏解放(カノン)】。
発展アビリティ
- 魔導
魔法威力強化、効果範囲拡大、精神力効率化といった魔法効果が向上する魔法円の展開が可能となる、魔導士にとって基礎的なアビリティ。大抵の魔導士はこのアビリティを所有している。
- 耐異常
状態異常の症状を防ぐ事の出来るアビリティ。
- 魔防
作中で詳しい効果が説明されていない。魔法攻撃に対する耐性が強化されるアビリティかと思われる。
魔法
- アルクス・レイ
詠唱式:【解き放つ一条の光、聖木の弓幹(ゆがら)。汝、弓の名手なり。狙撃せよ、妖精の射手。穿て、必中の矢】
爆散鍵(スペルキー):【光散(アリオ)】
単射魔法。標準対象を自動追尾する光の矢を撃ち出す事が出来、速度に重きを置いて出力は控えめとされているが、スキルや彼女の魔力の高さもあり短文詠唱魔法でありながら、その威力は高い。
爆散鍵を唱えることで、魔法を爆散する事もできる。
- ヒュゼレイド・ファラーリカ
詠唱式:【誇り高き戦士よ、森の射手隊よ。押し寄せる略奪者を前に弓を取れ。同胞の声に応え、矢を番えよ。帯びよ炎、森の灯火。撃ち放て、妖精の火矢。 雨の如く降りそそぎ、蛮族どもを焼き払え】
炎属性の広域攻撃魔法。数百数千にも及ぶ炎の矢を雨のように降らせる。レフィーヤの素質もあり、その範囲と威力は絶大で、深層域のモンスターの群れすら焼き尽くしてしまう。
- エルフ・リング
詠唱式:【ウィーシェの名のもとに願う。森の先人よ、誇り高き同胞よ。我が声に応じ草原へと来れ。繋ぐ絆、楽宴(らくえん)の契り。円環を廻し舞い踊れ。至れ、妖精の輪。どうか――力を貸し与えてほしい】
レフィーヤの二つ名の由来でもある召喚魔法(サモン・バースト)。エルフの魔法に限り、詠唱とその効果を完全把握していれば、他者の魔法を使用できるという前代未聞のレア魔法。
通常、魔法のスロットは一人最大でも3つまでしか存在しないが、彼女はこの魔法によって数多の魔法を行使することができ、スキル「二重追奏」の発現によって、その戦術は更に広がることになる。
ただし、【エルフ・リング】の詠唱を行ってから次に使用する魔法の詠唱をしなければならないので時間を要し、精神力も【エルフ・リング】と使用する魔法の二つ分消費する必要があるなど、燃費がかかる。
装備
- 森のティアードロップ
魔術師が好んで使う特殊鉱石『白聖石(セイロス)』が本体の材料にされた、魔導士専用の杖。第二等級魔装に相当し、魔法の威力を高める効力がある。先端に据えられた魔法石の生成には『千年樹の滴』と呼ばれる貴重アイテムが使用され、エルフの魔力に高い融和性を示し、装備者の魔力に反応して青白く発光する。一応打撃武器としても使えるが、レフィーヤの『力』のアビリティが低い上に性能は低いため、そういった扱いは滅多に行わない。値段は3780万ヴァリス。
長らく扱っていたが、第二次クノッソス戦での戦闘にて破壊されてしまう。
担当絵師のはいむら氏曰く、モチーフは花の蕾、…が現在の愛称はアスパラガスだとか。
- シルバーバレッタ
レフィーヤが身に着けている、軽量の銀製の髪留め。防御力は無いが、保護の力を宿す冒険者用装身具(アクセサリー)。対麻痺効果がある。
- 双杖のフェアリーダスト
『短杖(ワンド)』と『長杖(ロッド)』を合わせた、一対の魔杖。『可変』及び『連結』機能を備え、レフィーヤが「魔法剣士」として行動する時は『短杖(ワンド)』、「後衛魔導士」として砲撃する時は『長杖』と『短杖』を連結して使用する。連結時、双方の杖の魔法石が共鳴し、魔力を大きく増幅し魔法の威力が跳ね上がる。
短杖はフィルヴィスの遺品『護手のホワイトトーチ』を元に作り直し、長杖は『森のティアードロップ』の残骸を利用した。未練と言われようが、共にあることを誓って。
前身の武器があった為、魔法石を含め値段は2400万ヴァリス。
- テイアーペイン
フィルヴィスの遺剣。ガレスに研ぎ方を教わって研ぎ直し、レフィーヤ自身が整備した。
刃の表面にはうっすらと白い灰を浴びたような光粒の跡があり、『不壊属性(デュランダル)』に近い性質を併せ持つようになった(フィルヴィス最後の願いが叶ったのだろうか…)。
前世
『メモリア・フレーゼ』の2周年特別イベント「アルゴノゥト」にて、レフィーヤと容姿の似たハーフエルフの少女フィーナが登場する。
アルゴノゥトの義妹であり、愚かな兄のお付け目役としていつも尻拭いに奔走しており、度が過ぎる時は強烈なツッコミを入れ、制裁を加える。当時はハーフエルフに対する差別が強かった為、モンスターに襲われた際にも誰からも助けてもらえなかったところをアルゴノゥトに助けられ、以降共に暮らすようになった。
余談
作者のインタビューによると、本編でのアイズの設定の回収や感情移入のし辛さから、掘り下げ役としてレフィーヤを設定したという。外部リンク
実際外伝では、レフィーヤ目線からアイズや仲間達の設定が掘り下げられる部分が多い。
原作者の他作品である杖と剣のウィストリアにはエルノール・リヨス・アールヴにフィルヴィスと似たエルフと共に彼女に似たエルフが仕えている。名前もレフィーヤだがこれが単なるスターシステムなのかそれとも並行世界の話なのかについては今のところ不明。
関連タグ
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アイズ・ヴァレンシュタイン ベル・クラネル フィルヴィス・シャリア リヴェリア・リヨス・アールヴ
白井黒子…流石にあそこまで酷くはないが同類。
御坂美琴…ベルに対する態度は、殆どこれに近い。
ツムギ(プリコネ)…誰に対しても丁寧語で憧れの女性には恋愛感情に近いものを抱き、主人公に対しては目の敵にしている点など上記の二人より色んな面が似ている。