概要
CV:石谷春貴
【ロキ・ファミリア】所属のヒューマンの男性冒険者。21歳。
主力メンバーを支える二軍メンバーの一人でありその中でも中核的存在。
主力メンバーだけでなく下位団員達の指示や意見などを聞き入れるなど、苦労の絶えない中間管理職的な立ち位置。
Lv.4の実力を持ちながらも腰が低く、どこか頼りないがファミリア内では「器用有能」と呼ばれるなど、一目置かれている。
本編にも登場しているがあまり出番はなく、主な活躍は外伝『ソード・オラトリア』である。
人物像
彼を一言で言えば凡夫であり、二つ名も【超凡夫(ハイ・ノービス)】と呼ばれている。
農家生まれの三男であり、見た目も雰囲気も至って平凡。
美男美女揃いの【ロキ・ファミリア】では数少ないどこにでもいそうな人間で、モブとして溶け込んでも可笑しくないレベルである。
しかし、それ故にとても接しやすくファミリアメンバーからも親しみを持たれている。
頼りないながらもどこか放っておけず、支えてあげなくてはいけないと思わせる人物で、フィン達とは違う方向で仲間の士気を上げる事の出来る才能の持ち主。
フィンやアイズ達には決して追いつくことが出来ないと感じながらも必死で彼らの背中を追いかけようとする芯の強さも持っており、そういった面も彼が信頼されている要素の一つである。
前に魔石の換金をちょろまかしたことがあるらしいが、そんなことをしでかしても変わらず信頼されている辺り人望の良さが窺える。
ちなみにちょろまかした理由は娼館で女に引っ掛かったかららしい。
といっても本人の性格上、手をつなぐので精一杯だったようだが。
同期のアナキティとは自分と違い貫禄のある人物として尊敬しているが、彼女の方もラウルの実力と人柄は買っており、漫画版ではその辺りの細かい描写が加筆されている。ソシャゲ版では周囲からよくその仲を邪推されており、息の合った連携や色気のなさからか「老夫婦」と称されることも。
また、ソシャゲ版のストーリーなどで、その仲に進展が見られるようになった。
ステイタスの方は、なんと魔法はおろかスキルすら一つも発現していない。
さらにアビリティも0の魔力を除いてもオールC評価でほぼ同数値と、逆にどうすればそうなるんだと問いたくなるようなステイタスで、【超凡夫】の二つ名は伊達ではなかったと多くの読者を驚愕させた。
本人もフィン達のお零れでランクアップしてきたと思っており、実力に自信を持てずにいる。一方で二軍メンバーのリーダーを任されるだけの能力は確かに備えており(そもそも魔法やスキルがなくとも、Lv.4の第二級冒険者となれば大抵のファミリアからは喉から手が出るほど欲しい人材である)、59階層へのアタックにはサポーターとして同行し、道中エインの襲撃を受けた際に矢を当てるなどの活躍を見せ、その後は無事に生還している。
クノッソスの最初ではフィンが負傷したことで士気の下がってしまった仲間達を勇気づけるために自ら前に出て戦うなどして、結果仲間と共に境地を脱する事に成功するなどまさにやる時はやる男である。
いざとなれば自らの感情を押し殺しフィンの様にファミリア全体の為に「卑怯者」や「臆病者」にもなることが出来るのが強み。こういった感情のコントロールは他のファミリアメンバーにはできないことである。
漫画版では武器の扱いも二流ながら、大抵武器なら何でも扱う事の出来るという活躍をみせている。
『メモリア・フレーゼ』のイベント「創造神らの戯画騒動(クリエイターズ・ギガクライシス)」では、ヘスティア達が漫画を流行らせたことでロキも便乗した際、意外にも自分に漫画家の才能があることが判明し、ロキに作画を任される。その際、才能を見出されたことに覚醒して熾烈な性格に変貌し、落書きみたいな絵を描いたアイズに痛烈にダメ出ししたことで、アイズに「漫画、こわい……ラウル、こわい……」と慄かせて落ち込ませた。
作中の活躍
異端児(ゼノス)編では、小隊を指揮していたがフィンに変身したリリに団員の配置情報などを教えてしまい、偽の指示に従って持ち場を離れてしまったことで異端児達の突破を許してしまう。その後、騙されたことに知りフィンに謝罪するが、逆にその時のやり取りで敵の狙いを知ることが出来たとフィンに許される。
クノッソス攻略戦の『第二進攻』では、『都市の破壊者(エニュオ)』に囚われている【デメテル・ファミリア】を救出する予備隊を指揮していた。しかし、十一階層でエニュオの切り札である『第七の精霊』の邪竜・ニーズホッグと遭遇。その存在に絶望しかけるが、そこに歌人鳥(セイレーン)のレイに運ばれたベル・クラネルが到着し、彼が【ロキ・ファミリア】を憧憬の対象とした【英雄願望(アルゴノゥト)】を発動しチャージを始め、溜まるまでに「僕を守ってください」と頼まれると、すぐさま予備隊にベルの死守を号令し、チャージが溜まるまで守り通した。ベルが放った『英雄の一撃』でニーズホッグが完全に消滅すると、歓喜を挙げて他のみんなとベルを讃えた。
60階層の遠征でもサポーターとして進攻(アタック)のメンバーに参加。50階層のキャンプ地での待機中、相変わらず不安と緊張で怖気付いている様子をアキ達に呆れられて励まされる。そこにフィンがやって来て、ラウルはフィンに「何を心がけて『冒険』に挑んでいるのか?」と無性に知りたくなって尋ねると、フィンから「勇気に酔わないようにしている」と返答される。フィンから勇気と無謀は紙一重であることを語られ、フィンに「『英雄』に酔うな」と諭される。
60階層でアイズを取り込んだ『穢れた精霊』の蹂躙で進攻メンバーは壊滅し、床が崩落したことでフィンを含めた第一級冒険者達が奈落へ落下。その際、フィンから「ラウルゥ! いけぇ!!」という指示を受ける。落下を免れた残存メンバーがレフィーヤ、アリシア、ナルヴィ、クルス、メルーナ達『強靭な勇士(エインヘリヤル)』のみという絶望的状況に陥る。ラウルはなし崩し的に指揮官となり、自分達の進退の決断を迫られる。自分の決断がフィン達延いてはファミリア全体の運命を左右する『岐路』に立たされていると悟り、あまりにも荷が重すぎる決断を問われる。ラウルはフィンの最後の言葉がどういう意味だったかも悩み、本心では今すぐにフィン達を助けたいと衝動に駆られ、英雄として相応しい決断に傾きかけるも、50階層の休憩の時フィンとの会話の「『英雄』に酔うな」の言葉を思い出し、『英雄』ではなく『臆病者』として撤退を決断。
その決断にレフィーヤは激昂するも、レフィーヤを胸ぐらを掴んで壁に叩き付けて制止し、自分達ではフィン達の元へ向かっても無駄死にして救えないと判断し、少しでもフィン達を救える可能性があるなら『卑怯者』という汚名を甘んじて受けても地上へ帰還し、フィン達を助けるために援軍を呼ぶべきだと叫んだ。
ラウルの判断にみんなが従うこととなり、キャンプ地の待機メンバーを含めた全員を引き連れて地上への強行軍を敢行するも、モンスターの襲撃で次々と犠牲者が出ることに自責の念に苦しめられながら、『異端児』や他派閥の救援等に助けられて命辛々地上へ帰還。地上に辿り着いたラウルは、自らの決断でフィン達を見捨てた上に多くの仲間を失ったことの罪悪感に嘔吐し、心身共に深く傷ついていたが、フィン達を助けるために満身創痍の身体を押して遠征の失敗、派閥連合が壊滅、フィン達が深層に取り残されていることを涙ながら叫び、フィン達の救うための援軍を求めた。
『アストレア・レコード』
『大抗争』の時は新米の冒険者で先達のノアール達に面倒を見てもらっていた(猥談に絡まれることもあったが…)。『大抗争』では想像を超える戦場の凄惨さに怖気づき、まだ対人戦闘の経験がなかったことでノアールに市民の避難誘導などを任されるが、足手纏いの自分に不甲斐なく思っていた。
小説版では、『大抗争』三日目に精神へのプレッシャーから吐いていたところをアナキティに休むように提案されている最中に槌の音を聞いて、アナキティと共に音の発生する場所へ赴くと、『英雄橋』でゴブニュが破損した橋と三十一体の英雄の彫像を修繕しているところを目撃する(ちょうど仮面を被った小人族の英雄の彫像を修繕している最中で、それを目撃したラウルとアナキティは理由もわからないまま、涙を流していた)。その直後、槌の音を聞いて襲撃してきた『闇派閥(イヴィルス)』の雑兵たちをアナキティと共に迎撃し、Lv.2へ至る『偉業』を成し遂げた。
ステイタス
Lv.4
力 | 耐久 | 器用 | 敏捷 | 魔力 |
---|---|---|---|---|
C601 | C602 | C603 | C604 | I0 |
狩人 | 耐異常 | 逃走 | ||
H | H | I |
発展アビリティ
- 狩人
Lv.2ランクアップ時にのみ発現するレアアビリティ。
一度交戦し、経験値を獲得したことのあるモンスターとの戦闘時に能力値が強化される。
短期間に大量のモンスターを撃破することが達成条件の為、入手は困難とされている。
- 耐異常
状態異常の症状を防ぐ事の出来るアビリティ。
- 逃走
Lv.4以降のランクアップ時でなければ発現しないレアアビリティ。
逃走時における速度に対して高い上昇補正がかかる。
しかし、発現条件が多くの逃走を繰り返すことで会得できるというものなので、一部では『不名誉な技能(アビリティ)』と言われている。
余談だがベル・クラネルもこのアビリティを持っている。
装備
- プロタゴニスタ
標準サイズの片手剣。
過去に娼館に入れ込み、遠征収入をチョロまかす程に金欠だった彼をみかねて、アキが渡した品。
特別な力は何もないが、頑丈で良く斬れる。
ちなみに、ラウルはこれを貰ったことを気にしてアキに【ゴブニュ・ファミリア】作の片手剣《ガットネロー》を返礼品として贈る。アキは呆れつつも大切に扱っていたが、ある時に親切心で「強い武器に買い替えては」と言ってアキを本気で怒らせてしばらく口をきいてもらえなかった。
- ノーブル・ボウ
木製の弓矢。
エルフの職人が作っており『高潔な弓』という意味がある。
リヴェリアが献上された品を、フィンが計らって与えた。
ベートには「名前負けしている」と言われたらしいが、現在でも愛用し続けている。
前世
『メモリア・フレーゼ』の五周年偉大冒険譚『ナイツ・オブ・フィアナ』では、ラウルの前世と思われるラザル・ディアミッドが登場している。
その側にはアキの前世と思われるフェリスがおり、前世からの付き合いということになる。
余談
キャラクターデザインはコミカライズ版ソード・オラトリアを担当する矢樹貴氏によるもの。
初期の設定ではダンジョンで一人動けなくなったラウルを異端児のハーピィが助けてくれたことでそのハーピィに惹かれ、二人の関係が人類と異端児の融和のかけ橋になるという設定があり、アキがいなければ【ロキ・ファミリア】の中で異端児寄りの人間になったと思われる。
この没になった関係は本編ではアリシアとレイに引き継がれている。