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ロキ・ファミリア

ろきふぁみりあ

ロキ・ファミリアとは「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」に登場する団体である。
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概要編集

女神ロキが運営する探索系ファミリア。エンブレムは『道化師トリックスター)』。本拠名は『黄昏の館』。迷宮(ダンジョン)の到達階層は59階層と現探索系ファミリアの中では最高記録を誇る。派閥の等級は『S』。


オラリオ最強ファミリアの一角で、創設メンバーである『三首領』のフィンリヴェリアガレスを中心とした幹部7人の第一級冒険者と、彼らを支える幹部候補の第二軍メンバー、そして下位団員で構成されている。


本編の28年前に辺境の村『プレプリカ』でロキとフィンの出会いが切っ掛けでファミリアが結成される。主神の眷族を引き当てる強さや首脳陣の優秀さもあって、ファミリアが結成されて三十年足らずでオラリオでも最大派閥となった。ちなみに、女好きのロキの方針でファミリア内は女性冒険者の割合が多く、男性冒険者は肩身が狭い思いをしている。


本編にも主要な立ち位置で登場するが、主な活躍は外伝『ソード・オラトリア』で書かれている。


ファミリアの特徴編集

ファミリアの団結力が非常に強く、どちらかと言えば『個』よりも『組織』としての力を重視しており、連携力の高さは全派閥の中でも随一。その為、ダンジョン探索は勿論だが、『戦争遊戯(ウォーゲーム)』といった数が物を言う戦いにおいても、圧倒的有利に物事を進める事が可能。一方で、団結力が高すぎて仲間に頼りすぎる一面や甘すぎる一面があったり、主力である幹部陣と第二軍以下のメンバーとの実力には大きな開きがあるという弱点も抱えている。


メンバーは基本的に善人揃いだが「極端な考え方をする」「嫉妬深い」「人の好き嫌いが激しい」「自分より能力や立場が上の相手に依存や妄信する」といった精神的危うさが、多かれ少なかれ見受けられる。また、団員の中には都市最大派閥の所属という事で増長している者も少なからずおり、本編序盤では自分達の不手際のせいで危機に陥ったベル酒の肴にして笑いものにするなど、冒険者以前に人として問題のある言動もしている。


主神であるロキは、眷族想いの性格と神々の中でも屈指の切れ者である事もあって、団員達からの信頼は厚い。但し、普段は軽薄な振る舞いが目立つので、尊敬は全然されていない(呼び方も全員呼び捨て)。ちなみにファミリアの方針の最終決定を下す主神の立場にあるのだが、団長であるフィンへの個人的な思い入れもあってか、基本的にファミリアの活動方針には口を挟まずフィン達に任せている。


『三首領』のフィン、リヴェリア、ガレスはオラリオでも屈指の実力者で、『狂乱の戦譚(オルギアス・サガ)』後に、三人揃ってLv.7に昇格するという快挙を遂げている。特にフィンは統率力、人望、指揮能力と全てに秀でており、団長としての能力は全派閥の中でも随一と言える。もっとも、ファミリア全体がフィンに依存しがちな節があり、地の文ではフィンに何かあった場合【ロキ・ファミリア】は再編不可能になると書かれている。


幹部陣のアイズティオネティオナベートの四人は、若く才能に溢れており、優れた先達がいたとは言え、単純なランクアップの速度ならフィン達より速い。もっとも、四人とも若さゆえの精神的未熟さや壮絶な過去を持っている事もあってか、一人で問題を抱え込んで単独行動に走る事もある。このように人を束ねるには不向きな性格をしてる事もあってか、フィンは次の団長候補に幹部である彼らではなく、古株で人望も厚い第二軍メンバーのまとめ役であるラウルを推している。


第二軍から下のメンバーは良くも悪くも普通の人間が多く、才能や素質に恵まれた者はほとんどいない。団結力の高さと幹部陣の優秀さもあって上級冒険者の数こそ多いが、実力は同Lv.帯の中では精々中堅クラス。精神的にも強いとは言い難く、幹部陣に比較して才能のない自分たちを卑下する様子なども見せており、第二軍メンバーの多くは己自身を高めようとする「向上心」を半ば放棄してしまっている節がある(例外はレフィーヤぐらい)。この点に関しては、誰もが最強を目指し、己自身を高めようとする【フレイヤ・ファミリア】とは対照的と言える。


また、指揮官であるフィンが異常事態に陥ったり、戦力が分散されてしまうと、上述の通りメンバーの実力差が激しい事もあって、Lv.の低いメンバーは冷静な対処をしきれず、生存率が極端なまでに低下する傾向がある。実際、『人造迷宮クノッソス』を舞台とした『闇派閥(イヴィルス)』との戦いでこの弱点を露呈し、団員の中から複数の犠牲者が出てしまう事態となっている。


良くも悪くもフィンの判断でファミリアの方針が決まるのだが、フィン自身が一族の再興という野望とファミリアの利益を優先するあまり、周囲の目や結果を気にしすぎて選択を狭めてしまう悪癖があった。しかし、ミノタウロスを前に助けを拒否し戦ったり『異端児(ゼノス)』を巡る騒動で周囲から罵られようと蔑まれようと自分の信念を貫くベルの姿に感銘を受け、フィンもまた殻を破り、彼のような『本物の英雄』になる事を決意する。それに伴い、ファミリアの方針も変わっていき、作中では『異端児』と結託するなど、少しずつではあるが変化が見られるようになっていく。



メンバー編集

ファミリアの主神。

エセ関西弁で話し、貧乳がコンプレックス。


Lv.5→Lv.6

二つ名:【剣姫】

ファミリアの幹部を務めるヒューマンの少女。本作のメインヒロインの一人にして、外伝『ソード・オラトリア』の主人公。


Lv.6→Lv.7

二つ名:【勇者(ブレイバー)】

ファミリアの団長である小人族(パルゥム)。高い実力と明晰な頭脳を有する。ロキの最初の眷族。


Lv.6→Lv.7

二つ名:【九魔姫(ナイン・ヘル)】

ファミリアの副団長。エルフの王族出身。都市最強の魔導士。ファミリアでは母親的な存在。


Lv.6→Lv.7

二つ名:【重傑(エルガルム)】

ファミリアの最古参のドワーフ。都市で一、二を争う屈強な肉体の持ち主。


Lv.5→Lv.6

二つ名:【怒蛇(ヨルムガンド)】

ファミリアの幹部を務めるアマゾネスの少女。ティオナの双子の姉。フィンに惚れている。元【カーリー・ファミリア】団員。


Lv.5→Lv.6

二つ名:【大切断(アマゾン)】

ファミリアの幹部を務めるアマゾネスの少女。ティオネの双子の妹。ロキ同様、貧乳に悩んでいる。元【カーリー・ファミリア】団員。


Lv.5→Lv.6

二つ名:【凶狼(ヴァナルガンド)】

ファミリアの幹部を務める狼人族(ウェアウルフ)の青年。好戦的な性格で、弱者に容赦ない言葉を浴びせる。元【ヴィーザル・ファミリア】団長。


Lv.3→Lv.4

二つ名:【千の妖精(サウザンド・エルフ)】

アイズを慕うエルフの少女。非常に稀少な魔法を有し、魔導士としての潜在能力は高い。ベルの事を一方的にライバル視している。


Lv.4

二つ名:【超凡夫(ハイ・ノービス)】

第二軍の中核メンバーを務めるヒューマンの青年。派閥内では古参でフィンからの信頼も厚い。次期団長候補。


Lv.4→Lv.5

二つ名:【貴猫(アルシャー)】

第二軍の中核メンバーを務める猫人の女性で、ラウルとは同期。作中でLv.5にランクアップし、派閥内で8人目の第一級冒険者となるが、幹部入りは今のところ保留中。


Lv.4

二つ名:【純潔の園(エルリーフ)】

第二軍の中核メンバーを務めるエルフの女性。ファミリア年長者でみんなの姉的存在。


Lv.3

二つ名:【道化の魔書(ロモワール)】

レフィーヤのルームメイトで、同じ魔導士の少女。自称「誰とでも仲良くなれるエルフィちゃん」。


Lv.2

二つ名:【道化の侍者(ロコライト)】

ベートに好意を寄せている治療師の少女。『闇派閥』のヴァレッタの手にかかり死亡するが、『ダンメモ』では展開が変わり生存する。


Lv.4

第二軍の中核メンバーを務めるヒューマンの女性。59階層へのアタックにも参加している。


Lv.4

第二軍の中核メンバーを務める犬人(シアンスロープ)。59階層のアタックにも参加している


  • ラクタ・ハーゼ

Lv.2→Lv.3

最近ランクアップしたばかりの兎人(ヒュームバニー)。地図作成者(マッパー)としての素質がある。


  • スターク

Lv.3。

槍を得物にする男性冒険者。ウェーブがかかった髪型が特徴。コミカライズでは、ベル・クラネルの異常なまでの成長速度に嫉妬していた冒険者の一人。


  • シャロン

Lv.3→Lv.4

拳闘士の少女団員。コミカライズで自分と同じLv.3の団員がベル・クラネルに嫉妬するのに共感はしているものの、都市最大派閥である【ロキ・ファミリア】の団員として誇りと自信を持てと叱責している。しかし、その後のクノッソス戦で彼等の幾人かと死別する羽目になった。


  • オルバ

Lv.3→Lv.4

恐らく獣人の男性団員。作中の評価からして、主にサポーターの役割を担っているようだ。ライオンの用な髪型が特徴で、クノッソスの最初の侵攻作戦では【噴化招乱(バーサーク)】によって激怒したティオネに、クルスと共にビビり散らしていた。


  • アークス

Lv.3→Lv.4

大柄な体格の男性冒険者。頭部の額当てが特徴で、大剣と盾を用いて戦う。クノッソスの最初の侵攻作戦でティオネと共にガレス班から外れ、毒妖蛆(ポイズン・ウェルミス)の毒を受けてしまう。ステイタスなどの詳細は不明。


  • ロイド、クレア、アンジュ、リザ、カロス、レミリア

Lv.3

クノッソス戦にて『闇派閥』との戦闘で死亡。


  • ケビン

アイズの少女時代、酔ったアイズに斬られた団員。ステイタスの詳細、現状は不明。


Lv.4

改宗によって、【ロキ・ファミリア】団員となった冒険者。

冒険者としてはフィンたちよりも先輩にあたる、老齢の団員。

【暗黒期】の『大抗争』最終日に闇派閥との戦いで決死の特攻を行い、三人とも死亡。「アストレア・レコード」にて、その顛末が描かれている。


正確には眷族でないが、記載する。リヴェリアの従者にて親友であるエルフ。

故郷であるアルヴの王森を飛び出したリヴェリアに同行し、結成間もない【ロキ・ファミリア】に眷族ではないがリヴェリアの従者として、行動を共にしていた。後にヒューマンの男性と結婚し、二児を産む。


来歴編集

外伝1巻の遠征では、未到達階層開拓前に、ディアンケヒトからの冒険者依頼で51階層にある「カドモスの泉」の泉水確保のため実行組を2チームに分かれるが、未知のモンスター・巨蟲(ヴィルガ)の大群が襲来し、待機組のキャンプも襲撃される。何とか撃退することが出来たが、物資の多くを駄目にされてしまい、遠征失敗として地上に帰還することとなった。


外伝5巻の遠征では、59階層でタイタン・アルムに寄生し大量の魔石を取り込んだ『精霊の分身(デミ・スピリット)』と対峙、精霊由来の力にフィン達は追い詰められるも、フィンの鼓舞に奮起したアイズ達の突撃により、精霊の分身を討伐する。また24階層の騒動と合わせた情報からダンジョンの第二の出入口があることと敵の目的が『精霊の分身』の地上召喚によるオラリオの破壊と推測する。


調査結果からダンジョンのもう一つの出入口がダイダロス通りにあると推測。捜索する中で地下水路に人造迷宮クノッソスを発見。罠の可能性を認識しつつ内部へ侵入するも、迷宮内の罠によりパーティは数人規模の集団に分断される。怪人や闇派閥らに追い詰められる。何とか合流するも、パワー・ブルに寄生した『精霊の分身』が出現。仲間達を逃がす為に殿を務めるガレス、ティオナ、ティオネ達の奮闘で『精霊の分身』の討伐に成功。団員達の数名の死者が出る。


異端児騒動後は、クノッソスの本格的な攻略をするべく、フェルズと協力関係を結ぶ。ウラノスとロキとの間でも協力関係が成立し、クノッソスの地図作成(マッピング)を目的としたクノッソス攻略の『第一進攻』を計画。【ヘルメス・ファミリア】、【ディアンケヒト・ファミリア】、【ディオニュソス・ファミリア】を加えた派閥連合は地上から、フェルズが率いる異端児の部隊は18階層から挟撃する形で侵攻する。クノッソスの設計図の奪取に成功するも、突如出現した緑肉が内部を覆われディオニュソスの眷族達が緑肉を喰われ全滅。タナトスの送還で穿たれた穴からロキたちは脱出し、逃げ遅れたフィンもレイの間一髪で助け出される。


その後、これまでの情報とベルの邪竜ニーズホッグに関する話から、『都市の破壊者(エニュオ)』の計画が大魔法「精霊の六円環」によるオラリオの破壊であることを各派閥に伝える。オラリオの主要派閥と異端児による部隊がクノッソスへ進攻、各部隊が六体の精霊の分身と交戦する。【フレイヤ・ファミリア】、【カーリー・ファミリア】、アステリオス、【ヘスティア・ファミリア】の後続の援軍の参戦もあり、全ての精霊の分身を撃破。エニュオの切り札のニーズホッグはベルの【英雄願望(アルゴノゥト)】の一撃により消滅し、レヴィスはアイズの止めを刺され、ベートの魔法で瀕死にされたエインはレフィーヤにより魔石を砕かれ、エニュオの企みを完全に阻止することに成功した。


『派閥大戦』では【フレイヤ・ファミリア】との潰し合いで都市戦力の喪失を恐れる『ギルド』から参戦を禁じられる。


他派閥との関係編集

同じ探索系ファミリアの【ヘスティア・ファミリア】とは主神同士の仲は悪いが、幹部陣は団長のベルの事を高く評価(ベートは表にこそ出していないが)し、アイズやティオナはベルと個人的な交友を続けている。フィンに至っては、親子ほど年の離れたリリに求婚したこともあるなど、少なくとも幹部陣はベルや【ヘスティア・ファミリア】の事を好意的に思っている様子。


コミカライズ28巻おまけにてエルフィのインタビューの形で一般団員からの印象が語られており、18層で保護した時は新人冒険者が無謀な行為で自ファミリアに迷惑かけたと認識していた事と他所の派閥の冒険者でありながらアイズに気に掛けられていたことや(ヘルメスに騙される形ではあるが)女性陣の水浴びを覗いてしまった事あって目の敵にしていたものの、その後事情を把握すると同時に得たLv.1でミノタウルスの単騎討伐の情報や【アポロン・ファミリア】との『戦争遊戯(ウォーゲーム)』、『異端児』を巡る騒動とアステリオスとの一騎討ちを経てベルを1人の冒険者として認めている模様(特に何人かの女性団員からの好感度はかなり上がっている)。しかし、同時に「(死ぬから)絶対真似しちゃダメ!!」と全員一致で断言している。


都市内で勢力を二分する【フレイヤ・ファミリア】とは敵対関係で仲が非常に悪く、オラリオ全体が危機にでもならない限り、協力する事は絶対にない。主神同士は同郷のため、裏を読み合いながらの会話もしばしば。『ギルド』(というかギルド長のロイマン)としては、二大派閥には手を組んでダンジョンを攻略して欲しいため、二大派閥のこの関係は悩みの種である。

作中で【フレイヤ・ファミリア】は【ヘスティア・ファミリア】率いる派閥連合との『派閥大戦』で敗れて解体されたが、【フレイヤ・ファミリア】の団員は全員オラリオに残っているので、対抗意識は未だある模様。しかし『派閥大戦』後、よりにもよってそれなりに懇意となりつつあったはずの【ヘスティア・ファミリア】が、【フレイヤ・ファミリア】と関係を深めてしまうという、フィンからしてみればこの上ないレベルでの厄介な事態となっている。


ヘファイストス・ファミリア】からは、ドロップアイテム確保の協力を条件に不壊属性(デュランダル)の高級武装を容易に調達し、【ディアンケヒト・ファミリア】からも、薬剤を買い占めるだけでなく、団長でありオラリオ最高峰の治癒師であるアミッド・テアサナーレを即座に派遣させられる影響力を持っている。


『闇派閥』との戦いにおいても、最大の要として『ギルド』から大きな信頼を得ており、『人造迷宮クノッソス』を舞台とした一大決戦でも、【ヘルメス・ファミリア】、【ガネーシャ・ファミリア】、【カーリー・ファミリア】等を従える形で活躍している(協力する形で参戦している【異端児】は、あくまで外部戦力として独自に行動し、【フレイヤ・ファミリア】は元より従う意思など皆無で、それぞれ勝手に行動する形で戦闘している)。


関連タグ編集

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか ダンまち

ソード・オラトリア

ファミリア(ダンまち) ヘスティア・ファミリア











ここから先は、ネタバレを含みます。










【ヘスティア・ファミリア】を中心とする『派閥連合』と【フレイヤ・ファミリア】による『派閥大戦』での壮絶な戦いの終結後、ロイマンとの「『派閥大戦』には一切参加しない」という取引を受け入れたフィンは、60階層の「千蒼(タリア)の氷園」に関する情報と進攻(アタック)の許可を得て、【ロキ・ファミリア】が、8ヶ月ぶりの遠征を実行に移す事になった。

だが、それはあくまでも表向きで、真の目的は未到達階層の更新ではなく、60階層に潜んでいると思われる『狂乱の戦譚(オルギアス・サガ)』の元凶『穢れた精霊』の討伐にあった。


今回は、前回の遠征に参加した【ヘファイストス・ファミリア】の椿だけでなく、【ディアンケヒト・ファミリア】のアミッドや元【フレイヤ・ファミリア】のヘグニ達も加える形での『派閥連合』を結成。『穢れた精霊』がアイズを狙っているという不安要素がありつつも、正に盤石の体制の状態で、総勢89名の派閥連合は迷宮(ダンジョン)へと挑む事になった。

アイズもまた、久しぶりにベルの訓練をするのだが、彼が「浮気(?)」をしている事に拗ねながらも、強くなった事を嬉しくも思い、一時の安らぎの日々を得るのだった。


遠征が実施されると、他派閥から第一級冒険者を二名も加え、エニュオとの戦いでフィン、リヴェリア、ガレスの3人がLv.7にランクアップしたおかげもあって、以前よりも順調に階層を進んでいき、50階層でキャンプを築いた後、厳選された派閥連合の進攻メンバーは60階層に到達。そこで目の当たりしたのは、『氷園』の面影が無い蒼白い肉壁で覆われた『魔界』と呼ぶにふさわしい異様な空間だった。

進攻メンバーは警戒しながら進んでいると極彩色のモンスターが襲来し、人に寄生して成長する女体蜘蛛「寄生蜘蛛(ヴァラサイト)」や空間の上部から散布される光粉による『魅了(チャーム)』による同士討ち、『精霊の分身』が寄生した『ヴェノムスカイ・センチピード・ドラゴン』等によって苦しめられるも何とかに対処して乗り切る。

そして、60階層最奥部の広場で遂に『穢れた精霊』の本体を発見。人の脳のような肉塊から生えたラミアに似た醜悪な姿に加えて不気味に笑う『穢れた精霊』にフィン達進行メンバーが臨戦態勢を取る中、アイズと再会した事に狂喜する『穢れた精霊』は「会わせたいオトモダチがいる」と「レヴィス」を呼ぶのだが、そこに現れたのはクノッソスで戦死したはずの【ディオニュソス・ファミリア】副団長のアウラ・モーリエルだった。


死んだ後、フィルヴィス・シャリアと同じく怪人(クリーチャー)にされて「レヴィス」の意志を埋め込まれた彼女は、詠唱を始めようとした為にフィンがベートに指示して仕留めさせるも、それこそが『穢れた精霊』によって仕組まれた罠であった。

「死ぬ事で発動する」という極めて特異な呪詛である【テスタルス・リーイン】が発動してアイズに襲い掛かり、レヴィスと魂が重なり合い、怪人となる前の彼女の最期の光景を目の当たりにしたアイズは発狂。それによって自らの力を暴走させてしまったアイズにより嵐が巻き起こり、味方が誰も寄せ付けない中、『穢れた精霊』がアイズを捕食しようとするが、フィンとリヴェリアとガレスが『穢れた精霊』を怯ませて嵐を突破し、アイズに手を伸ばそうとする。

しかし、60階層の本来の姿であった『氷園』の防衛機能が発動して氷壁がフィン達を阻み、アイズを氷に包み込む。その隙に『穢れた精霊』が氷ごとアイズを捕食する形で取り込んでしまう。


自らの悲願を成し遂げた『穢れた精霊』は感情を爆発させて狂喜し、アイズを捕食をしたことで得た風の力を縦横無尽に振るい、さらにアイズに似た少女達を次々と生み出して彼女達も風の力を使い、ヒリュテ姉妹に深手を負わせる等、進攻メンバーを蹂躙する。

だが、フィンが渾身の力を込めた投槍魔法【ティル・ナ・ノーグ】を『穢れた精霊』に投擲し、命の危機を感じた精霊は全ての魔力を『風』に転化して破滅的な爆風で防ごうとしたが、左腕と脳のような本体の一部をえぐられる深手を負う。

しかし、爆風の衝撃で床の底が抜けてしまい、フィン、リヴェリア、ガレス、ベート、ティオネ、ティオナ、アキ、椿、アミッド、ヘグニ等の中核・主力メンバー全員が奈落へ落下してしまう最悪な事態となり、更に深手を負った『穢れた精霊』が暴れたことで広場が崩落し、広場への道が崩れた肉壁で塞がれてしまう。


爆風によって広場の外に飛ばされて落下を免れたラウルやレフィーヤら第二軍メンバーとメルーナ達『強靭な勇士(エインヘリヤル)』は、ラウルが指揮官代行となる形で進退の決断を迫られる。

ラウルはあまりに荷が重すぎる決断を強いられながらも、本心では今すぐにでも尊敬する団長達の元へ向かいたい気持ちが強かった。だが…


【ラウル。『英雄』に酔うな】


60階層に挑む前、フィンから受けた言葉を思い出したラウルが選んだのは『撤退』―――。

その非情な決断にみんなが息を呑み、レフィーヤは冷静さを失って激昂するが、「卑怯者」と責め立てられたラウルはレフィーヤを壁に叩きつける形で制止する。

「自分達では団長達を助けられない」という非情で残酷ながらもどうにもならない現実と向き合って答えを導き出したラウルは、つまらない見栄や意地の為に無謀な勇気を出し、「誰も救わないカッコ良いだけの自己満足によって『無駄死』する形で『英雄』になる道」よりも、「『卑怯者』の誹りを受けようが一人でも誰かを救えるかもしれない『臆病者』になる道」を選んだのである。


「『英雄』に酔うな!!」

「『英雄』にっっ…酔っちゃあっ…駄目なんだっ…!!」


『勇者』が自分に教えた教訓を自分自身に言い聞かせようとするラウルの言葉に、彼を責めていたレフィーヤを始めとする仲間達はもはや何も言えなくなり、『勇者』になりたかった自分を殺したラウルの指揮によって、地上に帰還して援軍を呼ぶ為に、断腸の思いで撤退を実行する。


地上に向けて撤退を開始するラウル達だったが、深層60階層をスタート地点とするその撤退戦は、第一級冒険者が一人もいない彼らにとってあまりにも過酷過ぎた試練で、『穢れた精霊』が差し向けた極彩色のモンスター達やダンジョンの凶悪なモンスター達がラウル達に容赦無く襲い掛かる。

アステリオスレイを始めとする自分達を見守っていた『異端児』達が救援に駆け付けてモンスター達を足止めしている隙に、ラウルやレフィーヤ達は彼等が確保していた逃走経路を辿って地上への強行軍を敢行するが、既に他の派閥連合のメンバーが待機していた50階層のキャンプ地も極彩色のモンスターの襲撃を受け地獄絵図と化していた。

全ては『穢れた精霊』によって筒抜けとなっており、それでも全員を連れて必死に撤退する中、予めフィンと取引をしていたオッタルによって階層主であるバロールのいた49階層は無難に突破しつつも、モンスター達の絶え間ない襲撃に44階層からついに犠牲者が出始め、そこから次々と落伍者が出てしまい、同行していたメルーナ達もラウル達を逃がすために特攻して散って逝った。

30階層で限界が迫り、襲来する極彩色のモンスターに対し、ラウルはレフィーヤに後の事を託して命を捨てる覚悟をしたが、間一髪でウラノスが派遣した【ガネーシャ・ファミリア】が駆け付け、彼らに後を任せて強行軍を再開。27階層でようやく極彩色モンスターの襲撃は止まり、ラウル達は安全圏に達しても足を止めることはせず進み続ける。60階層での逃走から五日目、多くの犠牲を出して満身創痍になりながらも、遂に地上へ帰還を果たす。


遠征に挑む為の準備は確かに盤石の態勢で、フィン達のランクアップによってファミリア内が浮かれていたのは事実であったが、それでも決して油断はしない形で遠征は進んでいた。

だが、それでも『穢れた精霊』には都市最大派閥となったはずの【ロキ・ファミリア】の力は通じず、ウラノスに頼む形で一部始終を見ていたロキによって辛うじて生還を果たしたラウルら57名だったが、誰もが傷つき、身体の一部を失う者もいた。そして……


【ロキ・ファミリア】犠牲者8名

【ヘファイストス・ファミリア】犠牲者5名

【ディアンケヒト・ファミリア】犠牲者1名

【フレイヤ・ファミリア】犠牲者3名

残る派閥合わせ犠牲者4名


安否不明11名


21名も犠牲者を出し、「フィン達を見捨てて逃げ帰る」という未だかつて無いまでの絶望にラウル達は打ちのめされる。それでもラウルは自身を労わろうとしたロキの手を跳ね除け、「やることがある」と傷付いた身体を押しながら地上へ向かい、敗残者ともいえる無様な姿を群衆に晒しながらも、フィン達を助ける為に必死に叫ぶ。


「『遠征』は失敗!『遠征』は失敗!!60階層で、派閥連合は壊滅!!」

「早くっ、応援をっっ!!仲間がっ、団長達がまだ『深層』に――!!」


誰もが予想しなかった【ロキ・ファミリア】全滅という絶望的ともいえる事態に差し掛かる中、ラウル達と共に帰還したレフィーヤ。

頼れる先輩冒険者達を全て失うという現実を突きつけられながら、それでも『絶望』だけは受け入れようとしなかった彼女は、自分達を見つめる群衆の中に、ファミリアを救う為の『希望』となり得る、アイズからの教示を受け続けていたあの少年の姿を視界に捉えた。


【白光の大火と妖精の咆哮は、破滅を打ち砕き、『逆襲に打って出る』】―――。


深層に潜む『穢れた精霊』の「悪意」に囚われてしまった少女を救うべく、彼女を「憧憬」とする二人の少年少女の「勇気」が、今こそ試されようとしていた―――。

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