概要
朝鮮戦争終結以降、半世紀以上に及ぶ朝鮮の南北分断を象徴する地。冷戦中、同じ分断国家であったドイツのベルリンの壁と並んで冷戦の象徴とも評されていた。
南北の両国が何度も会談を開いている場所であり、いまだ戦争中(朝鮮戦争は休戦状態であるだけでまだ正式に集結していない)ため、対立を続ける両国にとっては唯一両国が交流する場であり、休戦協定に抵触する問題を何度か発生させた場所である。
周辺の居住区
軍人境界線周辺は休戦協定で民間人統制区域として定められており、民間人の居住はおろか、立ち入りすら許可されていないがいくつかの例外を紹介する。
臺城洞
自由の村。軍事境界線から500mほど韓国側にあり、休戦当時の村民とその直系子孫のみが居住を許されており、ほとんどの村民が農業を営んでおり、韓国人の三大義務中、納税と徴兵を免除されている。
村民は農作業の際に軍人の監視及び警備を受けねばならず、一年間に八か月以上村にいなければ自動的に居住権が剥奪されるといった厳しい制約が課せられている。
さらに民間人統制区域であるために、普通の民間人は観光ツアーなどでなかれば立ち入ることすら許されていないなど、自由の村と評される割にはなにかと制約の多い村である。(対立中の勢力圏の境目にあることを考えれば無理もない話であるが)
機井洞
平和の村。軍事境界線上の北側にある。200世帯ほどが住む模範的な集団農場の村で、保育所・学校・病院を完備しているとしている――というのが北朝鮮側の主張である。
しかし韓国側の主張によると建物は窓も内装もないがらんどうであり、電気は夜に一斉について一斉に消えるというどう考えてもおかしい村で、北朝鮮がプロパガンダのために建設し、韓国人の亡命を促す宣伝村に過ぎないとのことである。
都羅山駅
韓国側が建設した駅。太陽政策によって融和による南北統一を実現した際、北側の鉄道と連結させて自由に南北両側を行き来できるよう2002年に建設された。
駅構内には「南北出入境管理事務所」が設置されており、保安検索台や出入境審査台、税関、そして南北直通列車用のホームがある。なんで「出入国管理」じゃないかというと、東西ドイツと違い、南北分断から現在に至るまで両国が互いを国として認めない姿勢をとっているためである。
名前の由来
俗説だが、休戦協定の時、近くに「ノル門里」という店があり、中国軍の軍人が北朝鮮軍人に「ノルってのは板って意味」と教えられて色々誤解して広めてしまったため、「漢字で書くと板門店」というのが定着してしまったからだとか。
因みにハングルで発音すると板門店は「パンムンジョム」である。ノルどこいったし。