概要
19世紀後半に流行したスタイル。
腰当(バッスル)を着用しオーバースカートの裾をたくし上げて、ドレスのヒップラインを強調したもの。
日本でも明治時代、鹿鳴館の舞踏会を描いた浮世絵でバッスル・スタイルの女性が描かれている。
バッスルスカート、バッスルドレスの名前で現在もロリィタファッションなどに見ることができる。
鯨の髭などで作った輪を組み合わせた骨組みをスカートの内側に仕掛け、大きく膨らませたクリノリンは、優美な反面、暖炉の火が燃え移ったり、座ったときに骨組みが足に食い込んだりといった事故やけがが絶えない代物だった。そこで、女性の魅力を強調する別な方法として新たに流行したのがこのバッスル・スタイルであった。バッスルそのものは大量の布で形作ったり、金属の骨組みで膨らませるなどの工夫が施されている。
バッスルが最も流行したのは1870~1880年頃である。
森薫の代表作エマのコミックス第5巻では、主人公の恋人、ウィリアム・ジョーンズの母親であるオーレリアの若き日の姿が描かれているが、そのファッションがこのバッスル・スタイルである。『エマ』本編は時代が20世紀に移ろうとしている頃であることから、すでに本編では尻を強調するバッスルは廃れ、コルセットで胸を押し上げて強調するスタイルへと移り変わっている。
いずれにせよ、コルセットでウエストを締め上げたうえでのファッションには変わりなく、当時の女性たちはこのコルセットがもたらす健康被害に悩まされ続けていた。
女性がコルセットから解放されるには、現代型ブラジャーの発明と流行を待つことになる。
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