CV:津川雅彦
概要
細田守監督のアニメ映画「バケモノの子」の登場キャラクター。本名は「卯月」。
白兎のバケモノである老紳士で、人口10万人のバケモノ界屈指の大都市「渋天街」を束ねる街の長であり、温厚かつ慈悲深く寛大というその役職を務めるのに相応しい徳の高い性格から、街の住人皆から慕われている。
その性格故か、幼い頃から親なしで不遇であった熊徹をどこか気にかけている節があり、彼がバケモノとは対をなす人間の子供である九太を自らの弟子として育てようとした際も、彼が闇を宿しバケモノ界を脅かす可能性を孕んでいながら、二人が共に切磋琢磨し合い成長することを見込んで「全ての人間が闇を宿す訳ではない」とそれを許可している。
高齢からその役職を辞し神への転生を決意したことから、街で屈指の武芸の達者である熊徹と猪王山との跡目争いが繰り広げられることになる。
最終的に9年悩み抜いた末「決断力の神」に転生することを決意するも、紆余曲折あって後継に決定した熊徹の要求に応えて転生の権利を譲渡したことによって、引き続き宗師の役目を続行することになった。
役職について
バケモノ界の各集落の中で、一際徳が高いと認められた者だけが就くことが出来るバケモノ界での最高位の役職で、役目を終えた後は、神への転生が出来る特権を持つ。徳の高さが求められる以上、高い品格や素行などを持つことが望ましいとされる。
劇中では卯月以外にも各集落の宗師が登場しており、役職特有の余裕や世の中の理を誰よりも把握している故か、皆温厚かつマイペースな性格をしている。
しかしいくら徳が高くともそれからくる欠点も存在し、必ずしもその本人が完璧と言える訳ではない。例えば渋天街現宗師の卯月は彼が不遇だったことへの憐れみがあったとはいえ日頃から粗暴な態度が多かった熊徹にどこか甘かった他、現職以外でそれを体現したバケモノである猪王山はバケモノ界を脅かす可能性のある孤児を慈悲心から自らの子としてバケモノ界に身を留めさせている。またその徳の高さの基準も従来のバケモノ界の価値観や文化、風習に基づいている節が強く、マイノリティな存在への配慮が行き渡りきれない側面がある(卯月が熊徹を目に掛けていたのは、従来の風習に囚われない彼の思考を重宝するためとも考えられる)。それらが結果として後の大惨事を引き起こす要因に繋がってしまっている。