概要
日本軍第7師団歩兵27聯隊の少尉。故人。日露戦争旅順攻囲戦において同隊旗手を務めた。
元第7師団長である花沢幸次郎と正妻との息子で、尾形百之助とは腹違いの弟にあたる。
初登場は11巻の尾形の回想。
尾形の口から「高潔な人物」「屈託のない笑顔を向ける」人であることが分かっている。
二〇三高地にて後頭部を撃ち抜かれて死んだ描写がある。
人物
※以降、単行本17巻ネタバレを含みます※
「ひとりっ子育ちでずっと兄弟が欲しかった」と腹違いの兄である尾形を、規律を無視しても「兄様(あにさま)」と呼んで慕う。
眉目秀麗・成績優秀・品行方正が求められた役職である「旗手」に選ばれていることから、顔ははっきりと描写されていないが、イケメンであることが予想される。
また、165話の本誌掲載のあおりでは
旗手なる者。
眉目秀麗。
成績優秀。
弾に中らぬ処女童貞。
……とある。
軍旗は神聖なものであり、旗手はゲン担ぎの為に童貞であることが好まれたという習いに勇作は従っていた。
164・165話
尾形と鶴見が共謀して勇作を利用しようとしていたことが判明。
尾形は勇作の「高潔な人物」に疑問を感じていたのか、花街に誘い、遊女を抱くように提案している。
尾形に「男兄弟は一緒に悪さをするものでしょう」と言われるも勇作は丁重にお断りしている。
このことから聯隊旗手として誠実にあろうとした人物であることが伺える。
鶴見中尉は勇作に対し、「高貴な血統のお生まれ」と称し、味方に引き入れることは難しいと感じていたようだが、尾形は「血に高貴もクソもない」と言っている。
戦争時においては味方を鼓舞し、果敢に敵地に突入している。
鶴見中尉は当初、勇作を殺す予定であったようだが、この戦争で勇作の評価を見直し、「勇敢な人物、人の心を掴む」と評し、殺さない方向に見直している。
しかし、尾形は勇作に「人を殺すところを見たい」と手を汚させようとするなど、最後まであきらめなかった様子。
その際、勇作は尾形に「人を殺して最悪感を微塵も感じない人間がこの世にいて良いはずがないのです」と涙ながらに諭していた。
だが、尾形には響かず、尾形は最後まで崩れぬ勇作の高潔さを目の当たりにし、二〇三高地にて勇作を撃ち殺した。