概要
『ザ・トラベルナース』とは、テレビ朝日系列で放送されているドラマシリーズ。主演は、岡田将生。
脚本は、同枠の『七人の秘書』や同局の医療ドラマ『Doctor-X』を担当した中園ミホ。ナレーションは、遠藤憲一が担当。
2022年10月~12月に第1シーズンが放送され、2024年10月~12月に第2シーズンが放送。
第1シーズン主題歌は、DISH//の「五明後日」。
第2シーズン主題歌は、斉藤和義の「泣くなグローリームーン」。
登場人物
- 那須田歩(演:岡田将生)
医師の指示で医療行為を行うことができるNP(Nurse Practitioner)の資格を持つフリーランスの看護師。フローレンス財団の要請でアメリカから帰国し、「天乃総合メディカルセンター」に赴任する。幼少期の頃に母親を亡くしており、その過去をきっかけに医者を志したが、医者を諦めナースとして患者を救おうと改めて志した。
NPの資格と経験からプライドが高く、九鬼からは「あなたには、患者さんへの思いやりが足りない。」と指摘されている。治療方針を巡り九鬼と衝突するが、彼の能力や意見を認めるようになる。
「歩ちゃん」と呼ばれることを非常に嫌がっている。
2年後、九鬼よりも一足先に「西東京総合病院」に赴任。ここでも病院内の派閥間の険悪な空気を呑み事なかれ主義を貫いたが、その点を日本に帰国した九鬼から散々いびられた。それに対して「あんたが治せばいいだろ!」と反論したため、口論に発展してしまう。
しかし、大田黒の容態が悪化した際には抜群のコンビネーションを見せている。
帰国後しばらくはホテル暮らしだったが、千晶のおかげで新居が見つかった…ものの、結局2年前とほぼ変わらないメンツで寮生活かつまたしても九鬼と同じ部屋だったため更にストレスが溜まる事態に。
それに加えて、今度は何者かが千晶のナース紹介所のサイトのクチコミに「那須田歩は患者を殺したことがある。那須田歩の言葉を信じるな。」と書き込まれていた。本人は「思い当たることなんて一つもありません。」と強く否定していたが、病院前には那須田に憎悪の視線を向けて拳を握りしめる人物が立っており…。
それと同時期に今度はアレルギー対応の患者・斉藤四織への配膳ミスを疑われてしまい、愛川からしばらく看護業務を休止するよう言い渡されてしまう。
しかし、後に那須田のアメリカ・シカゴの病院勤務時代に担当した患者・香奈が四織の娘だったことが送られてきたカルテで発覚。香奈は那須田達の懸命の処置も虚しく亡くなってしまったが、香奈にはもう余命僅かであることが(病院側の方針もあり)知らされておらず(本人は噂ながら把握していたが)、娘とのビデオ通話での僅かながらの情報で担当看護師として「那須田歩」の存在を知り、四織は彼を「娘に対して無責任に『頑張れ』と励ました人殺し。」「娘に治療の選択肢も与えない医療の傲慢を体現した人間」と一方的に恨みを持つようになり、今回のインシデントミスを故意に引き起こさせた。しかし、その事が看破されてしまい、因縁の那須田と対面した際、四織は彼に向かって「娘を返してよ!」とひたすら叫んでいた。
しかし、生前の娘・香奈から聞いていた彼女の意志と四織の生きる気力を保たせることを優先しあえて謝罪せず「僕はやってません。」と否定を突き通し訴訟も甘んじて受け入れることを宣言した。
- 九鬼静(演:中井貴一)
謎のスーパーナース。歩と同時期に「天乃総合メディカルセンター」に赴任する。
フローレンス・ナイチンゲールを尊敬し、看護師は「人を見て人を直す」との持論を持つ。
普段は紳士的な態度だが、患者の命より自分のプライドや利益を優先する医師や周りの患者や同僚の看護師に迷惑をかけるようなモンスターペイシェントには容赦せず、広島弁で捲し立て威嚇する。
患者の容体と適切な処置方法を瞬時に見極め、処置を実行、成功させるためにドクターや患者本人に嘘をつくことも厭わない。患者に意見し、適切な処置方法を見抜く域に達していない歩を「馬鹿ナース」と呼び、未熟さを非難する。
天乃院長とは現役時代にナースであるにもかかわらず医者である彼に代わって医療行為をし、患者を救ったという浅からぬ因縁があり、「ナースは医者の手下ではない」と告げ、歩を利用することをけん制する。
実は、「フローレンス財団」の理事長だったことが第5話で発覚した。そのため、歩とは同じ病院に勤務する同僚でもあり、フローレンス財団内での上司と部下の関係でもある形となっている。
だが、第6話で「マルファン症候群」という病気を患って徐々に悪化していることが発覚し、第7話ではついに心筋梗塞で倒れてしまった。何とか一命を取り留め、アメリカで手術をすることになった。手術の末、何とか根治に成功し退院したものの、歩の看護が雑だった件も含め入院生活について相変わらず散々文句を言っていた。
また、最終話にて那須田を幼少期の頃から支援していた「あしながおじさん」だったことが判明した。
2年後、日本に帰国しおにぎり屋「脈屋」をたま子とともに開店。大田黒の件を那須田から聞き、彼を「ガチクソナース」と罵ったため口論になるも、大田黒の容態が悪化した際には相変わらずの抜群のコンビネーションを見せていた。
また、神山と大田黒の師弟関係も把握していたようで神山に大田黒の手術を依頼していた。
愛川にはその真意を明かしており、「もっと成長して欲しい」という親心だったことを吐露している。
その後、愛川の要請で歩に遅れる形となったものの「西東京総合病院」に赴任する。
赴任中に嘗ての同級生である五味武久と再会。彼からは「しず坊」と呼ばれている。九鬼の嘘も唯一見抜ける。彼の口から九鬼家がお金持ちの家系であることが判明した。
だが、五味は余命1ヶ月と診断されており、もはや手の尽くしようがないため何とか彼に受け入れてもらおうと奔走するがその心情が哀れみの表情として出てしまい彼から拒絶されてしまう。
しかし、諦めず彼の性根を自分の信念で治そうと決意。彼を説得し、性根を変えることに成功した。
天乃総合メディカルセンター
ドクター
- 天乃隆之介(演:松平健)
院長。経営第一主義で、重篤な患者よりVIP患者を優先することも厭わない。また技術や実績が優秀な医者であっても、自身の意向に従わない者は躊躇無く切り捨てる冷徹な一面を持つ。
九鬼とは、現役時代にナースであるにもかかわらず医者である自分に代わって九鬼が医療行為をし、患者を救ったという浅からぬ因縁があり、「ナースは医者の手下ではない」と告げられ、歩を利用することをけん制されるなど、弱みを握られている。
- 郡司真都(演:菜々緒)
外科医。大学病院の派閥争いや出世戦争に嫌気が差し、純粋に患者を救いたいとの思いから総合病院の「天乃総合メディカルセンター」に移ったが、目上の医者たちから下に見られ、パワハラやセクハラを受ける日々に苦悶する。歩や九鬼の仕事ぶりを見て、彼らに信頼を寄せるようになる。
- 天乃太郎(演:泉澤祐希)
内科医。隆之介の長男で跡取り。
手が空いている時間ができた際はナースステーションに駆け込み、ナース達に愚痴を零すのが日課。
ナース
- 愛川塔子(演:寺島しのぶ)
看護部長。熱心な指導で何人ものナースを育ててきたが、一方で何人ものナースに逃げられてきた。新たに赴任してきた合理主義の歩や、患者に焦点を置く余り働き過ぎな九鬼に手を焼くが、彼らを暖かく見守りフォローする。
2年後、何故か金谷、森口とともに「西東京総合病院」に勤務している。
- 金谷吉子(演:安達祐実)
看護師。クールビューティーな中堅ナース。バツイチ。男嫌い。頭に血が上りやすい上にネガティブな考えをしやすく、当初は素性の分からない九鬼にも強い不信感を抱いていたが徐々に信頼するようになる。
2年後、何故か愛川、森口とともに「西東京総合病院」に勤務している。
特に新人で仕事にも不慣れな柚子への指導が厳しく、思わずパワーハラスメントかつセクシャルハラスメントな発言をしてしまう。
後に愛川から「6秒ルール」を教わったり九鬼からナイチンゲールの格言を教えてもらったりしたことで落ち着きを大事にするようになるものの、今度は柚子が五味のパワハラに耐えかねて余命1ヶ月の宣告を受けていることを思わず口にしてしまったため、彼女にビンタしてしまった。
その結果、愛川の命令で当分業務を外れることになり、「あの発言は私の責任」という理由で柚子にも謝罪した。
その後、五味の「ナースの人たちは何も悪くない」という言葉と薬師丸に対する愛川の説得により何とか復帰した。
- 向坂麻美(演:恒松祐里)
看護師。心優しい「へたれナース」。
- 弘中すみれ(演:宮本茉由)
准看護師。医師か金持ちの患者と早く結婚して看護師を辞めたいと考えており、ロックオンした相手にはすぐさま色目攻撃し、同僚からも「婚活のために看護師をしている」と苦言を呈されている。
- 森口福美(演:野呂佳代)
看護師。井戸端会議と間食が大好き。独身から脱却するため婚活に励んでいる。
2年後、何故か愛川、金谷とともに「西東京総合病院」に勤務している。
事務
- 西千晶(演:浅田美代子)
事務長。経営面で院長の右腕となり、VIP患者の優先など様々な策を講じる。
2年後は事務長の職を辞し、独自にナース紹介所を立ち上げ社長に就任している。
ルスキニア寮
「天乃総合メディカルセンター」の看護師寮。寮名は別名「ナイチンゲール」とも呼ばれるサヨナキドリのラテン語名。2年後、建て替えにより閉鎖され愛川たちは追い出されてしまった。(一応、新たに寮が見つかったので事なきを得た。)
- 土井たま子(演:池谷のぶえ)
寮母。占いは得意だが、寮母として欠かせないはずの料理は下手。
2年後、おむすび店「脈屋」で働いているが、これは日本から帰国した九鬼と再会した際に彼の提案で始めたもの。
その後、再び「脈屋」上にあるマンションの寮母を担当することになった。
西東京総合病院
看護師
- 中村柚子(演:森田望智)
「西東京総合病院」に勤める新米ナース。看護学校を卒業してから、地下アイドルをやっていた。しかし、鳴かず飛ばずだったため、生活のために看護師に転身した。そのため、歳はアラサー真っ只中の27歳。現在は元アイドルで現役ナースという肩書を売りにして、SNS配信をしている。新米のわりにふてぶてしく、仕事は遅い上にカルテの誤字脱字等失敗ばかりだが一応申し訳程度に謝るだけで悪びれる様子もない。
一方で、パワーハラスメントやセクシャルハラスメントには理不尽には黙っていられないタイプであり、五味のパワハラに耐えかねて彼が余命1ヶ月の宣告を受けていることを思わず口にしてしまい吉子からビンタされた。
その後、吉子からのアドバイスで五味に謝罪したものの、逆に彼から「言い過ぎて悪かった。」と謝罪された。
その恩返しとして、部下が殆ど面会に来てくれない五味のために自身のファンを募集し、部下役に扮してもらおうとした。(上手くはいかなかったものの唯一来てくれたお茶汲み担当の部下が来てくれたため時間稼ぎには成功。)
- パク・イジュン(演:キム・ヒョンユル(Hi-FiUn!corn))
「西東京総合病院」で働く、勤勉かつ礼儀正しい2年目ナース。日本が好きで、韓国からやって来た。愛読書はフローレンス・ナイチンゲールが書いた『看護覚え書』。ナイチンゲールを心の師匠と崇めている。
出身が出身なのでK-POPアイドルグループにも精通しており、患者に実家から送られてきた自分のパンフレットを渡している。
医師
- 薬師丸卓(演:山崎育三郎)
新院長。前院長の不正が明るみに出たことで人事が刷新され、新院長に任命される。元外科医。院長に就任してからはカリスマ性を発揮、働き方改革を中心に院内の変革を推し進める。穏やかな物腰だが、自身の判断には絶対的な自信があり、意に反する者はすぐに切り捨てる。特に大黒田派の面々には分院への左遷や退職届の強制提出も辞さず、容赦の無さに拍車がかかっている。
基本的にお酒は適量しか飲まない。
愛川とは現場で勤務していた時からの知り合いで、院長という立場故に他人になかなか本心を明かせない彼にとっての良き相談相手となっている。
一時冷静さを欠いていた吉子を「患者の傍に置いておけない」と指摘したが、「看護師が感情的になってもいい。理不尽にはちゃんと怒っていい。」と説得したことで思いとどまり復帰させた。
- 大田黒勝一(演:内藤剛志)
前院長。声がでかく、騒がしい男。長い間、院長の座に君臨していたが、脱税疑惑が浮上。芋づる式に業者との収賄や不正など汚職が次々と明るみになり、最後はパワハラで訴えられて、病院長を解任された。医師時代は情熱もあり優秀だったが、院長になってからは病院を大きくしたという自負からか、私腹を肥やすことに甘んじてしまった。
現在は家政婦のマリアとともに過ごしている。
肺がんのステージ3Aと閉塞性肺炎を患っており、おにぎり屋で一悶着起こした那須田に助けられる。その後、特別室への案内を強要したが薬師丸からは突っぱねられ、離島の設備が不十分な分院への転院を勧められた。
しかし、帰宅途中に容態が急変。幸い那須田と九鬼が抜群のコンビネーションで西東京総合病院へ搬送(さすがに通常の搬送口だとバレてしまうため裏口に変更)された。その後、一番弟子の神山の執刀により手術は無事成功した。
- 神山直彦(演:風間俊介)
外科医。自分に厳しく実直で、手術の腕もいい。大田黒の一番弟子で、新米外科医だった頃に自分を鍛え上げてくれた大田黒に恩義を感じている。出世欲が高いわけではないが、新院長・薬師丸卓による新体制になってからは、そのことをおくびにも出さず、病院に残っている。
さすがに自分の立場を守るため大っぴらに大田黒に賛同できないものの、未だに尊敬の念は捨てておらず、大田黒の容態急変の際には九鬼からの要請もあって執刀医を務める決意を固め、無事成功させた。
しかし、大田黒を手術した責任を薬師丸に問われ、退職届の提出を命じられるが、ハナから覚悟していたのかそのまま退職届を出していた。
- 大貫太(演:マキタスポーツ)
消化器外科医。元院長の大田黒派が一掃されたため、出世のチャンスが回ってきた。この機会を逃すまいと必死。“医者至上主義”で、態度もでかく、部下には高圧的。看護師の意見は聞かず、名前も覚えない。
薬師丸の方針には表向きは従っているものの、裏では「青臭い理想論」とバカにしておりタスクシェアといった彼の改革にも懐疑的。
- 小山衛(演:渡辺大知)
外科医。上から任せてもらえる機会が少なかったため、今なお医師として自信が持てないでいる。患者に寄り添う優しい男だが、「上に確認します」が口癖で、看護師からも信頼が薄い。
那須田から患者に対する処置を指示するよう指示されたことで屈辱を感じたものの、そこから自分だけでも自信を持って判断ができるようになることを決意。見事、その目標を成し遂げ一歩前に進むことができた。
- 半田一(演:松本大輝)
外科医。まだ臨床研修を終えたばかりの新米医師。医師として仕事を覚えたいという熱意もありつつ、上司から振られた仕事をこなすのに手いっぱいで、いつも寝不足気味。