データ
学名:モロス・イントレピドゥス Moros intrepidus
(名前の由来は『破滅の先触れ』。属名はギリシャ神話の破滅の化身モロスからであり、種小名は後に現れるティラノサウルスへと繋がることを意味している)
白亜紀後期セノマニアン(上部シダーマウンテン層)に米国ユタ州に生息した小型のティラノサウロイドで、北アメリカ大陸で発見された最古のティラノサウルス上科であり、これは今まで同大陸で最古とされていた標本から約1500万年遡る空白期間の9600万年前のものである。それゆえにティラノサウルス類の短期間での急激な進化や大型化を解明する10年に唯一の重要な存在である。
大腿骨・脛骨・第4中足骨・第2中足骨・第4指の趾骨が含まれる後肢と前上顎骨の歯1本が発見されており、ティラノサウロイドとしては非常に細長い後肢をもっていた。大腿骨と脛骨の比率は、北米のオルニトミムス類、アレクトロサウルス、大型ティラノサウルス類の幼体と最も似ている。
小型の体躯を持つ走行に適した姿であり、体重78キログラム、体高1.5メートル足らずと人間サイズだったと推定される。一見幼体のようだが、発見された個体は6 - 7歳と推定されており、成体に近い亜成体だった模様。
系統解析から、アジアに生息していたシオングアンロンなどのティラノサウルス上科が北アメリカ大陸に渡ってきたものとされる。しかし、当時はまだアロサウルス上科のシアッツが生態系の頂点に君臨しており、彼らが気候変動などにより一掃されるまでティラノサウルス上科が頂点捕食者になることは叶わなかった。