武蔵野

むさしの

関東地方の地域名。原野（近世以前）、もしくは田園（近代以降）がイメージされる。

概要

武蔵国にかつて広がっていた原野や田園を示す地域名。武蔵国は、現在の東京都（島嶼部は除く）、埼玉県の全域に加え一部神奈川県北部に当たる。

「武蔵野」像の変遷

古くは「荻」が武蔵野の枕詞とされ、中世にはどこまでも萩やススキが生い茂る寂しい原野であった。江戸時代に開発が進み、畑や雑木林からなる農村となったが、詩歌や絵に描かれる武蔵野像は中世の「荒涼とした秋の野に上る月」というものであった。

明治時代、国木田独歩は随筆『武蔵野』を表し、"今の武蔵野"を人の営みが息づく田園として描き、近代的な自然観を示すものとして好意的に受け止められた。現在の「武蔵野」観は基本的にこの国木田独歩の描いた武蔵野像の流れの上にあるといってよい。

農村であった武蔵野も、大正時代から住宅開発が本格化。昭和末までには住宅がひしめくベッドタウンに変わっていったが、往年の武蔵野の名残もまだそこここに見かけられる。

関連

なお、東京都には武蔵野市があるが、JR武蔵野線は市内を通らない。

武蔵野アニメーションや武蔵野第一高校、東京都立武蔵野学園高校は架空の法人である。