ベンゼン(benzene)
1.有機化合物の一種。
化学物質としてのベンゼン
「芳香族」と付いているだけあって、ベンゼンは他にはない特有のにおいを持っている。そのため、判別が容易。
概要
芳香族炭化水素において最も単純な構造を持ち、それゆえ化学工業において重要な物質となっている。
常温では液体。密度は水よりも小さく、約0.87g/cm^3。80℃で沸点に達する。
また、有毒で、発がん性。そのため、たいていの芳香族化合物は有毒。
ケクレ構造式で書くと不飽和結合をもつが、後述するようにπ電子(簡単にいえば二重結合)が非局在化しかなり安定化しているために、不飽和炭化水素の特徴である付加反応は起こりにくく、むしろ置換反応が起こりやすい。
構造
炭素6個、水素6個からなり、構造は炭素-炭素結合による六角形の骨格が基礎になっており、各炭素が1個の水素と結合している。
学校などでは、単結合と二重結合が交互になっているように表現されるが、実際は非局在化しており、各結合は等価である。そのため、それらの結合が等価であることを強調したい場合、構造式を六角形の中に丸と書く場合もある。
ケクレの夢
ベンゼンの構造式においては、以下の有名なエピソードがある。
現在知られているベンゼンの構造式を提唱したのはケクレだが、ある日、ケクレが1匹の蛇が自身の尻尾に噛み付きながら回っている夢を見て、ベンゼンの構造を思いついたという。
これについては、事実かどうかが疑われている。
関連イラスト
楽曲としてのベンゼン
[nicovideo:sm5187481]
オワタPによる「ベンゼンシリーズ」の記念すべき第1作である。「癒し系洗脳ソング」。
なんだかよくわからないが人類には早すぎた。
関連タグ
芳香族化合物の仲間
ベンゼンの誘導体
- トルエン:シンナー遊び蔓延の元凶
- キシレン:三種の異性体がある
- フェノール:別名、「石炭酸」
- 安息香酸:ほら、君の持っている食べ物にも。
- サリチル酸:フェノールとカルボン酸の両方の性質を持っている。
- TNT:窒素を付加したベンゼンは爆発しやすい。
- アニリン:染料に用いる。
縮合多環芳香族(ベンゼンをいっぱい繋げてみる)
この他にも、フェナントレン、ピレン、ペリレン、コロネンなどいろんな種類がある。
複素芳香族(炭素と水素以外の元素を入れてみる)
- フラン:某吸血鬼とは一切関係のないのだが、その名前故ネタにされることが多い酸素を含む複素芳香族。反応性は極めて高く、危険。
- チオフェン:フランの硫黄バージョン。
- ピリジン:炭素を一つ窒素に置き換えた複素芳香族。強烈な悪臭を放つことで有名。
- ピリミジン:窒素を二個に増やしてみました。DNAを構成する塩基、シトシン、チミンの元になる化合物。
- プリン:某ポケモンじゃないよ、有機化合物だよ。DNAを構成する塩基、アデニン、グアニンの元になる化合物。