概要
逃げる事が出来ない絶体絶命の状況を指す。現在では故事成語として日常会話で使われる事もある。大体の場合は絶体絶命の状況を必死で乗り切るという意味合いで使われる。
元々の由来は中国の漢と趙が戦った井陘(セイケイ)の戦いに於いて、圧倒的に兵力が少ない漢軍が趙軍の城を攻めあぐねた際の出来事。漢軍の指揮官だった韓信は別働隊を隠して城に攻撃を仕掛け、敗走を装って川を背に戦う(即ち逃げ場が無い)という戦術を取った。趙軍は圧倒的に有利な状況に気を良くし、城には僅かな守備隊を残すのみで手勢の大半を率いて漢軍を追撃。守りが薄くなった城を別働隊が陥落させて漢軍が勝利を収めた、というものである。
この故事から絶体絶命の状況下を乗り切ろうとすることを背水の陣を敷く、背水の陣で臨むと言う事があり、日常会話でも度々使われる事がある。
しかしながら、この戦術の要は「相手に有利な状況をわざと用意して油断を誘い、別方向から相手の弱点を突く」という点にあり、すなわち本質的には陽動作戦(囮戦術)である。
一般的な用法での「背水の陣を敷く」という表現は、「追いつめられた状態で戦う」という韓信の策の最も目立つ部分にしか着目できていない。したがって「背水の陣」と言いつつもカウンターアタックをかける伏兵=余力の用意がない多くの実行者はたいていの場合、韓信の成功という幻影に縋ったまま溺れ死ぬことになる。
戦術は見かけだけ似せても意味が無いのだ。
一般的な使用例
- テスト前日だけど全然勉強してない。背水の陣で臨まないと。
- 赤ちゃんの身に危険が来た時にやむ得なくキャラチェンジすること。