複数のスクリーンを有しつつ、ロビーや売店などを共有させた映画館のこと。
日本において原義的な意味でのシネコンは古くから存在しており、2~3スクリーン程度のものがどの街にも点在していた。
これらの「映画館」は多くはスクリーン数が限られていることもあり(母体の映画会社によって優先的に配給される)特定の制作会社による作品しか上映できなかった。
これを解決すべく10弱からそれ以上のスクリーンを備えた大型の複合映画施設が作られ、これが現在「シネマコンプレックス」と呼ばれているものである。
多数のスクリーンを備えるため、様々な制作会社の映画を楽しむことができ、従来型の小規模な映画館を駆逐しつつある。
更に2000年代以降においては、映画施設のみ単独で建てられるよりも、ショッピングモールなどの一施設としてシネコンがテナント入居する事例がほとんどになっている(特にイオンシネマはほとんどがこの形態である)。
なお日本の統計でシネコン施設に計上されるのは「一つの敷地内に5スクリーン以上備えるもの」とのこと。日本のシネコンはサイト(一つの施設全体)で8~12程度のスクリーンを備えるものが多いが、これは日本の主要配給会社が13程度であることに起因するといわれている。
(一例として、「TOHOシネマズ新宿」が12スクリーン、「新宿ピカデリー」が10スクリーン、「新宿バルト9」が9スクリーン。いずれも2019年8月現在。)
日本一スクリーン数が多いのは愛知県豊橋市にある「ユナイテッドシネマ豊橋」の18スクリーン。なお、海外では30スクリーンもの数を擁する巨大シネコンも存在する。
かつての映画館のスクリーンの最大座席数は1000席を超えるものも多数存在したが、現代のシネコンにおいてはサイト内の最も大きなスクリーンでも400~600席程度が多い(いわゆる「大箱」)。これに200~390席級のスクリーンを1~3スクリーン程度(いわゆる「中箱」)、60~190席級のスクリーンをそれぞれ5~8スクリーン程度(いわゆる「小箱」)、それぞれ組み合わせたものが、現代日本の一般的なシネコンのサイトの様相といわれる。
2010年代半ば以降、ドルビーシネマ、IMAX、TCX、ULTIRAなどの高性能をうたうスクリーン形態がいくつも登場していることなどから、特に都市部を中心に大箱及び中箱のスクリーンが2~4箱程度設けられるケースが多くなってきている(ドルビーシネマ、IMAXは対応できる作品が限られており[ほとんどが洋画]、対応できないが集客が多く見込める作品[主に邦画、アニメ]を別の大箱で対応する必要があるため)。
シネコンの中には「別館」などと称してメインのチケット売り場・入場口と全く違う場所に同名のサイト名を名乗るスクリーンを用意するところがあるが、これは古い映画館の改修や、別の映画館の買収・譲渡・統合などによる結果で、こうしたスクリーンが発生するサイトは元の単館系映画館が発展的にシネコンになったものも少なくない(一例として「TOHOシネマズ梅田」「TOHOシネマズなんば」「MOVIX京都」など)。