概要
「シネマコンプレックス」の略称。
複数のスクリーンを有しつつ、ロビーや売店などを共有させた映画館のこと。
日本においても原義的な意味でのシネコンは古くから存在しており、2~3スクリーン程度のものがどの街にも点在していた(東京テアトルが運営し「日本初のシネコン」と謳っている東京都品川区にあるキネカ大森も同様)。
これらの「映画館」は多くはスクリーン数が限られていることもあり(母体の映画会社によって優先的に配給される)特定の制作会社による作品しか上映できなかった。
これを解決すべく10弱からそれ以上のスクリーンを備えた大型の複合映画施設が作られ、これが現在「シネマコンプレックス」と呼ばれているものである。
多数のスクリーンを備えるため、様々な制作会社の映画を楽しむことができ、従来型の小規模な映画館を駆逐しつつある。
更に2000年代以降においては、映画施設のみ単独で建てられるよりも、ショッピングモールなどの一施設としてシネコンがテナント入居する事例がほとんどになっている(特に流通系資本のイオンシネマはほとんどがこの形態である)。
日本での現状
日本では、業界団体の日本映画製作者連盟(映連)の統計でシネコン施設に計上されるのは「一つの敷地内に5スクリーン以上備えるもの」である。日本のシネコンはサイト(一つの施設全体)で7~13程度のスクリーンを備えるものが多いが、これは日本の主要配給会社が13程度であることに起因するといわれている。
大都市でシネコンが特に集積している場所の例として、東京・新宿では「TOHOシネマズ新宿」が12スクリーン、「新宿ピカデリー」が10スクリーン、「新宿バルト9」が9スクリーン、「109シネマズプレミアム新宿」が8スクリーンを持ち、大阪・梅田では「TOHOシネマズ梅田」が10スクリーン、「大阪ステーションシティシネマ」が12スクリーン、「T・ジョイ梅田」が7スクリーンを擁している(いずれも「109シネマズプレミアム新宿」が開業した2023年4月の時点)。
日本一スクリーン数が多いのは愛知県豊橋市にある「ユナイテッド・シネマ豊橋18」の18スクリーン。なお、日本国外では30スクリーンもの数を擁する巨大シネコンも存在する。
かつての映画館のスクリーンの最大座席数は1000席を超えるものも多く存在したが、現代のシネコンにおいてはサイト内の最も大きなスクリーンでも400~600席程度が多い(いわゆる「大箱」)。これに200~399席程度のスクリーンを1~3スクリーン程度(いわゆる「中箱」)、60~199席程度のスクリーンをそれぞれ5~8スクリーン程度(いわゆる「小箱」)、それぞれ組み合わせたものが、現代日本の一般的なシネコンのサイトの形態といわれる。
2010年代半ば以降、ドルビーシネマ、IMAXなどの高性能をうたうスクリーン形態がいくつも登場していることなどから、特に都市部を中心に大箱及び中箱のスクリーンが2~4箱程度設けられるケースが多くなってきている(ドルビーシネマ、IMAXは対応できる作品が限られており[ほとんどが洋画]、対応できないが集客が多く見込める作品[主に邦画、アニメ]を別の大箱で対応する必要があるため)。
シネコンの中には「別館」などと称してメインのチケット売り場・入場口と全く違う場所に同名のサイト名を名乗るスクリーンを用意するところがあるが、これは古い映画館の改修や、別の映画館の買収・譲渡・統合、あるいは規模拡張が必要になったが既存スペースでは対応できないことなどによる結果で、こうしたスクリーンが発生するサイトは元の単館系映画館が発展的にシネコンになったものも少なくない(別館を持つ例としては、「TOHOシネマズ日比谷」「TOHOシネマズ錦糸町」「TOHOシネマズ梅田」「TOHOシネマズなんば」「MOVIX京都」「ミッドランドスクエアシネマ」など。TOHOシネマズが多い気がするって? 君のような勘のいいガキは嫌いだよ)。
主なシネコン
チェーン系
日本国内で複数の地方に2桁のサイトを持つ主要な8社のチェーンを挙げる。
- イオンシネマ:イオン系。イオンエンターテイメントが運営。日本最多のサイト数を持つ。
- ワーナー・マイカル・シネマズ:ワーナー系(現在はイオンシネマへ統合)。
- TOHOシネマズ:東宝系。同名企業または別の阪急阪神東宝グループの企業2社が運営。
- ヴァージンシネマズ:ヴァージングループ(現在はTOHOシネマズ)。
- ローソン・ユナイテッドシネマ:ローソン系。同名企業が運営。
- ユナイテッド・シネマ:上記企業の旧称。2024年4月時点で多くの館がこのブランドだが、将来はローソン・ユナイテッドシネマに統合予定。
- シネプレックス:角川系(現在はユナイテッド・シネマに吸収。ブランドは継続しているがローソン・ユナイテッドシネマに統合予定)。
- MOVIX・ピカデリー:松竹系。松竹マルチプレックスシアターズが運営。
- 109シネマズ:東急系。東急レクリエーションが運営。
- T・ジョイ:東映系。ティ・ジョイが運営。
- シネマサンシャイン:佐々木興業が運営。
- ディノスシネマ:北海道の地場のシネコンチェーンだったが倒産後の整理により佐々木興業が継承。
- コロナシネマワールド:コロナワールドが運営。愛知県中心の展開で、ここに記載した8社で唯一、東京都内への出店がない。
独立系
pixiv百科事典に記事があるものを主体に挙げる。