概要
RTAとは、リアルタイムアタック(Real Time Attack)の略語で、ゲームスタートからクリアまでのプレイ時間はもちろん休憩や食事にかかった実時間(現実の所要時間)の短さを競うもの。
TASはエミュレータでツールを使用するのに対し、このRTAは人間が実時間最速を目指すものである。RPG系のゲームは名前を入力し終わってからの計測が多い。
従来のタイムアタックはセーブやリセットを使いタイムを短縮させていたが、このRTAではセーブやリセットは基本行わないか、あるいは最小限である(後者の場合はセーブ&リセットをした方が早い場合に行われることが多い)。
近年のゲームは様々な機種に対応しているものが多く、それ故に機種間の性能差(ロード時間の差)などでタイム差が出ることがあるため使用した機種を載せることが必要になっている。明らかな差が出る場合、PC版最速・CS版最速 という様に機種ごとに分類される。基本的に実機によるプレイが普通であるが、エミュレータ上のRTA記録が認められている作品もある(当然、レギュレーションは実機とは分かれている場合がほとんど)。
コントローラーは入力を維持できるものなどは禁止されているが、連射機能の取り付けは許可されている。またコントローラーごとに操作性や入力方法が違うため一部ゲームにおいて、あるコントローラーではやりやすく、あるコントローラーではやりにくいプレイなどがある。しかしあくまでやりやすい・やりにくいであり、練習すればできるものなので気にされていない。
余談
このRTAでも人気を誇る「スーパーマリオワールド」というタイトルにはステージの途中で特殊な作業をすると突如エンディングに飛ぶ、というエンディングを呼び出すバグがある。しかしこれは非常に難易度が高くRTAでの使用は無理だと考えられていた。
しかしある日、海外のRTAプレイヤー・SethBlingさんが、なんと実機でそのバグを成功させた。これにより、約6分でクリアするという圧倒的な世界記録を出した。後日再チャレンジしたところまたしてもバグを成功させ世界記録を塗り替え、4分49秒という記録をマークした。
TASの領域に初めて足を踏み入れた人間としてRTAプレイヤーの間で大きな話題になっている。
ちなみに初回成功時SethBlingさんは「どうせできないし、なんか話そうぜ。」という様なテンションでプレイしていた。しかしバグが成功した際は視聴者も含め誰もが驚きを隠せなかった。
上記の様にスーパープレイもRTA動画の見どころだが、RTAは人間が行なっているものである。そのため時々ミスプレイが起こることもあり、そこもRTA動画の面白さの1つである。
かつては「最速記録更新した場合に投稿」「記録の証拠物件としての投稿のため動画時間が非常に長い(経験値稼ぎなどの普通のプレイ動画ならカットされる部分も等速で使用される)」など、映像作品というよりは映像記録としての側面が強いため、事情を知らずに見るする者はおらず、検証目的以外で視聴するにはハードルが高い面があった。
しかし、日本ではある男の登場により、2012年以降は「プレイが面白かったら、あるいは自己ベストを更新したら投稿する」「RTA動画に倍速編集を入れる(証拠用として別途で処理なしの動画を投稿する場合もある)」「先駆者のいない不人気ゲームのRTA(レギュレーションを比較的自由に設定できる)を積極的に開拓し世界記録を自称する」「そのゲームを知らない者にもプレー内容が分かるよう解説音声を入れる」「退屈しのぎにゲーム本編と関係無いジョークを動画や音声で挿入する」などの、過去のRTAにおける常識を打ち破る特徴を備えたエンタメ志向のRTA動画作品がニコニコ動画を中心とした動画投稿サイトでヒットする。
これにより製作者・視聴者ともに新規参入や鑑賞へのハードルが低くなり、プロ・アマ、ガチ勢・エンジョイ勢を問わない愛好者の増加に繋がった。
派生
ブラウザゲームやスマホアプリなどで、期間限定イベントの開始と同時に最速攻略を目指す熟練プレイヤーを指す場合がある。
こうしたプレイは単なる自己満足という面もあれば、リアル事情から休暇等との兼ね合いで速攻クリアを強いられている、新規追加キャラクターやアイテム等のドロップ率を鑑みてそちらを優先するため、などのパターンもあったりと様相も十人十色である。
ただこうしたRTA勢の残したデータが、後続の熟練プレイヤーによって収集・解析されることで、より確実なゲーム攻略法を生み出す土壌となってくれるため、一部では感謝と敬意を払われる。