概要
「獄門島」とは横溝正史による「金田一耕助」シリーズの一つである。
戦友・鬼頭千万太(きとうちまた)の遺言で、獄門島を訪れた金田一耕助が殺人事件に巻き込まれるストーリー。
芭蕉や其角の俳句に見立てた連続殺人が行われる。
犬神家の一族とならび戦後色が強い作品。
作品の根幹に関わる部分に関するとある事情から有名な作品でもある。
登場人物
金田一耕助:私立探偵
磯川常次郎:岡山県警察部の警部。
清水:獄門島駐在巡査。
鬼頭嘉右衛門:本鬼頭家の先代当主。現在は故人。晩年は老いによる病と後継者問題に悩んでいたことから、島民には「太閤(豊臣秀吉)」と呼ばれていた。
鬼頭与三松: 嘉右衛門の息子で本鬼頭家当主。現在は精神病を患い座敷牢にいる。
お小夜:与三松の妾で女役者。現在は故人。
鬼頭千万太:与三松の息子。金田一の戦友で、共に戦争を生き延びるものの、帰りの船の中で病死。彼の必死の遺言で金田一は獄門島に赴いた。ある理由で自分が生きて帰らないと妹たちが殺されるため、なんとしても戦争から生きて帰ろうとするなど、妹思いの兄だった。
鬼頭月代:与三松の長女。お小夜の娘で千万太の腹違いの妹。祈祷が得意。美人だが、かなりエキセントリックな性格。
鬼頭雪枝:与三松の次女。お小夜の娘で千万太の腹違いの妹。姉妹同様エキセントリックな性格。
鬼頭花子:与三松の三女。お小夜の娘で千万太の腹違いの妹。
鬼頭一:千万太の従弟で本鬼頭分家。
鬼頭早苗:一の妹。月代たち三人姉妹に代わって本鬼頭を切り盛りしている女性。
勝野:嘉右衛門の妾。頼りない性格のため、家のことは早苗に頼り切っている。
鬼頭儀兵衛:本鬼頭のライバルである分鬼頭の当主。嘉右衛門の功績は評価しているが、嘉右衛門の悪ノリな遊興は嫌っていて、付き合いの場に出るのを断っていた。そのことで嘉右衛門の怒りを買い、長年対立している。分鬼頭は本鬼頭をしのぐ勢いにあることから、島民からは「権現様(徳川家康)」と呼ばれている。
鬼頭志保:儀兵衛の妻。野心家な女性で、最初は本鬼頭家の嫁になるつもりだったが、脈がないと思いきや、分鬼頭の儀兵衛にすり寄り、彼の妻になった。さらに鵜飼章三を使って月代たち三姉妹を誘惑して家の金品を持ち出して貢がせるなど、本鬼頭をひっかきまわしている。そういった様子から、島民からは「淀君」と呼ばれている。
鵜飼章三:分鬼頭の居候で復員軍人。美青年。志保の命令で、月代たち三姉妹に言い寄り誘惑して金品を貢がせたりしていた。事件解決後、志保にあっさり見切られて追い出され、金田一が乗った船に一緒に乗って島を出た。
荒木真喜平:獄門島村長。本鬼頭の後見人の一人。
了然:千光寺の和尚。本鬼頭の後見人の一人。
了沢:千光寺の典座。
村瀬幸庵:漢方医。本鬼頭の後見人の一人。
竹蔵:本鬼頭に所属している潮つくり。
清公:床屋。