概要
適齢期からそれを過ぎていると思われる年齢もいまだに実家の子供部屋にいるとされる男性。
もともとはネット発の言葉。2014年に2ちゃんねるの格闘ゲーム板の「ウメハラ総合スレ」において、当時放映されたテレビ番組に出演していた梅原大吾の部屋について「まるで子供部屋だ」と住人から評され、それに対し「実家暮らし子供部屋おじさんがプロゲーマーのライフスタイルに説教垂れるって歪んでない?w」というレスがつけられたのが初出とされる。
明白に揶揄的なニュアンスを持ち、単に「実家暮し」「子供時代に自分の部屋だったところに成人後も住み続けている」事を指しているわけではない。
経済的、精神的に親から独立できず、そうせざるを得ない人物を指している。
2019年の春頃から再び注目を集めるようになり、5ちゃんねるでは自虐的に自分の部屋の画像を晒す人々も現れた。
そして同年、この単語を用いた記事がメジャーなネットメディアでも取り上げられることになる。
・生涯結婚しない「子ども部屋おじさん」が急増 日本が「存続の危機」にさらされている?(東洋経済オンライン、8月)
・90万人割れ、出生率減少を加速させる「子ども部屋おじさん」(経済誌「日経ビジネス」のネット版である「日経デジタル」、10月)。
少子化との結びつけ
日経デジタルの上記記事において、シンクタンク・ニッセイ基礎研究所の天野馨南子准主任研究員の論が引用されている。
出生数が90万人を切ったことについて語る文脈で、天野は「20~40代の独身男女の6~7割が親や親族と同居している。子どもを手元に置いておき、仕事や結婚に関してまで口を出す親が昔より増え、自立できない若者が増えている。結果、結婚しようとしない若者の“増産”につながっている」と語り、男性層の多さから、彼等について「子ども部屋おじさん」と呼称している。
既に結婚した夫婦が産む子どもの割合はあまり変わっていないことから、本記事では20代の未婚を防いだほうが少子化対策には有効、と語られている。
東洋経済オンラインのほうの記事でも取り上げられているのは天野研究員の論である。20~40代の未婚男女・既婚男女の意識調査で、既婚男女のほうが必要と思う最低世帯年収に「400万円以上」をあげる人が多いことをあげ、未婚の人が勝手にハードルをあげてしまって控えている可能性がある、という論調である。
既に結婚してそれぞれの環境での生活からの展望を語る人と、これから結婚する上でまだ見ぬ新しい生活について展望を語る人の語る条件に違いが出るのは当然なのだが……
本記事の最後には、親から子への結婚希望年齢についてのアンケートにおいて、母親から息子への要望が「30代前半まで」で一位になっており、そして30代前半には未婚女性とのマッチングや初婚が難しいとし、息子の同居をいつまでも許してしまう母、そしてその状況に無関心な父という背景がある可能性が、という主張が展開される。
以上の主張は、経済新聞やビジネス書を売る立場の人間が、主読者である「経済人」相手にむけて提示している論、という前提で見るとどめたほうが良いだろう。