概要
実家(の子供部屋)で暮らす、中年の独身男性のことを指すネットスラング。「こどおじ」の略称で呼ばれることも多い。女性の場合は「子供部屋おばさん」と呼ばれる。
パラサイトシングルとの比較
子供部屋おじさん | パラサイトシングル | |
年齢 | 30代~50代ぐらい | 30代~50代ぐらい |
暮らし | 親と同居 | 誰かと同居 |
結婚 | 独身 | 独身 |
勤労 | 不問 | あり |
家事の積極性 | 不問 | 消極的 |
「独身であること」と「同居の人がいる」という共通点がある。
子供部屋おじさんは、勤労しているかの事実は問われない。その為、働きながら家族の世話をしている人もいれば、無職で何もしない人もいる。
パラサイトシングルは、勤労している事実はあるが、同居の人に支援されている事実(家事をしてもらっている、生活費のほとんどを負担してもらっている等)がある。
発祥
発祥は2ちゃんねると見られる。
2014年に格闘ゲーム板の「ウメハラ総合スレ」において、当時放映されたテレビ番組に出演していた梅原大吾の部屋について「まるで子供部屋」と一部の住人から酷評され、それに対し「実家暮らし子供部屋おじさんがプロゲーマーのライフスタイルに説教垂れるって歪んでない?w」とレスがつけられたのが初出とされる。
2019年の春頃から再び注目を集めるようになり、5ちゃんねるでは自虐的に自分の部屋の画像を晒す人々も現れた。
背景
成人男性の実家での同居が増えているのには、経済的な背景がある。
「若者の貧困」と言われるようになって久しい通り、バブル崩壊以降、日本人の給与水準は殆ど上がっておらず、反対に税金・保険料・年金・物価などの負担は増え続けている。このため経済的余裕の無さから一人暮らしをしたくても出来ず、いつまでも実家暮らしを続けざるを得ない人が多いのである。同じ理由で晩婚化と少子化も進んでおり、昔であれば20代で早々に結婚して実家を離れる所が、現在では結婚資金の調達もままならず男女ともに実家で私生活をこなすのに精一杯という事情もある。
また、今に始まったことではないが、持病があったり体が弱いため、独身のうちは実家で同居した方が家族に頼れて安心という人もいる。パワハラなどで精神疾患を患って退職し、無職のまま療養を余儀なくされる場合も同様である。
経済的(健康的)余裕のない社会的弱者と見るか、それとも頼れる実家があるだけ幸せ者と言えるのかは見方が割れるところである。
なお、逆に子供に十分な経済力があるが、親が経済的・精神的に子供に依存しているため別居できなくなっている場合も少なくない。さらには家業や地域・親族の事情、空き家対策、家族の介護のために実家暮らしを選ぶ人もいる。つまりは、このように同居をもって解決が期待される問題もいくつかあるのだ。単に外から見える事象のみをもって非難や揶揄の対象にする事は許されないことである。
「子供部屋おばさん」が比較的叩かれにくいのは、(実態はともかくとして)女性は家庭内で介護や家事を担うイメージがあることによるだろう。なおTwitterや5chのなんでも実況jで女性へのカウンターとして「子供部屋未使用おばさん」なる洒落にならない悪質な単語が考案された。
諸外国の事情
日本に生活環境や経済感覚、家族の距離感の捉え方が近く、また若者の失業率が高い韓国では、成人しても実家暮らしの人が多いとされる。
香港やシンガポールなど家賃が高額になるような都市では、やはり独立できない人が多いという。
また台湾やイタリアのように家族関係を重んじる国では成人しても実家に住む人は多く、むしろそれがバカにされるという風潮はない。 そもそも、日本でも戦後直後(高度経済成長前)までは長男もしくは長女(とその夫)、あるいは次男次女以降の子の誰かが、家業を継いだり親の介護をするためなどの理由から実家にそのまま同居する、というのは広く見られた家族形式であり、時代の変遷でそこから離れてしまった、と言える。
逆にアメリカ合衆国やドイツのように日本以上に実家からの自立を求める風潮が強い国でも、日本と同様に経済・健康面での事情から実家から独立できない男性はいる。
イギリスでは、日本なら子供部屋おじさんやニートになっているような若い層がホームレスになっていることも多いという。
類義語
パラサイトシングル:日本における子供部屋おじさんの類義語或いは前段階。
部屋住み:江戸時代までの武家社会などで見られた他家の養子になれなかったり分家できなかった次男以下の存在がそれに似ていた。
トウィックスター:アメリカにおけるパラサイトシングルの類義語。
マモーニ(マンモーニ):イタリアにおけるパラサイトシングルの類義語。